ルロウブラスオルケスター 第30回定期演奏会

日時:2024年6月16日(日) 愛知県芸術劇場コンサートホール
会場:12:45
開演:13:30
終演:15:20

演奏:ルロウブラスオルケスター
指揮:遠藤宏幸

~プレコンサート~
・オーディションのための6つの小品より(J.M.デュファイ)

【曲目】
・エンジェルス・ゲートの日の出(P.スパーク)

・セレブレイト(清水大輔)

・風がきらめくとき(近藤礼隆)

・交響詩「鯨と海」(阿部勇一)

—休憩20分—

・This Cruel Moon(J.マッキー)

・宇宙の音楽(P.スパーク)

~アンコール~
・メルヘン(酒井格)

ルロウブラスオルケスターは、1993年に結成し、小牧市を拠点に活躍されている吹奏楽団です。毎年の定期演奏会は御楽団のお膝元である、小牧市市民会館で開催されておりますが、昨年の11月から1年間かけて改修工事のため、ホールが使えず愛知県芸術劇場での開催となりました。
愛知県に在住している私ですが、小牧市市民会館はアクセスの都合上、気軽に足を運べる場所ではなかった為、今回、愛知県芸術劇場で開催して下さったのは有難い限りです。

プレコンサートとして、クラリネットのメンバーがデュファイの作品を演奏して下さいました。全日本アンサンブルコンテストで多くの楽団に取り上げられる作品ですね。
ただ、本作品を全曲拝聴したことがなかったので、色々と調べていると原典版がクラリネット三重奏になると考えられますね。その辺の考察と、デュファイのその他の作品も折に触れて探究してみたいですね。
作品名通り、練習曲の要素が強い現代曲というべきでしょうか。くっついたり、離れたり、追いかけたり・・と様々な手法が要求される作品だと感じますが、現代曲特有の響きを創り上げて下さいました。
同じ路線で選曲されるなら、磯崎敦博さんの「野宮」か「兜率の憂い」を拝聴してみたいですね。楽譜が絶版なので中古品を探す手段しかありませんが・・。

まずは、スパークの作品で幕開けです。本作品は、今回が初。いつも通りのスパークという印象が強いですが、大編成向けの作品ではなかったのかなと考えております。故に、バリバリ鳴らしまくる作品ではなく、スパークもこういう作品も書かれるんだという印象を抱きました。引き出しが広いですね。
続いて、清水大輔さんの作品。スウェアリンジェンやバーンズから影響を受けているとのことですが、その片鱗が掴めなかったです。そういえば、高校生の時にこの作品を好んで拝聴していたことを思い出しました。懐かしい作品というのが自分の印象です。
風がきらめくときは、今回の公演で一番印象に残った演奏でした。御楽団は弱奏とフレーズの処理が美しく、本作品と演奏が絶妙にマッチしておりました。
第一部メインの「鯨と海」は各ソリストの皆さんに拍手を。フルートのソロを担当された方が印象に残りました。変化に富んだ楽想を丁寧に仕上げて下さいました。

第二部はマッキーの作品で幕開けです。ワインダーク・シーの2楽章を改作した作品とのこと。存じ上げませんでした。まだまだ知らないことばかりですね。お恥ずかしい限りです。

最後に、宇宙の音楽を。スパークで始まり、スパークで終わる公演でした。宇宙の音楽のみ、就職や進学で卒団されたOB・OGの方が何名か参加されておりました。(中には高知県から参加された方もいるそうです)

アンコールは酒井格さんのメルヘンで幕を閉じました。

アマチュア吹奏楽団のプログラムは、
第一部:クラシック(吹奏楽オリジナル含む)
第二部:ポップス
(第三部:メインステージ(10分以上の作品or協奏曲))
という傾向が強いですが、全作品を吹奏楽オリジナル作品でプログラミングされているのは、とても良いなと感じております。
コアな吹奏楽ファンの方だと、全日本吹奏楽コンクールで人気の作曲家や作品ではないものを・・という声もあると思います。(私もその一人ですが)
ただ、吹奏楽を”鑑賞する”という公演はそれ以上に重要な事ではないかと考えております。(吹奏楽は演奏する音楽であって、鑑賞する音楽になっていないというお言葉を伺ったこともあります)

来年の定期演奏会は、小牧市市民会館・・ではなく、名古屋で開催するそうです。(愛知県芸術劇場ではないとのこと)

コンクールや、吹奏楽”部”を感じさせない公演を、来年も楽しみに待っています。


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