名古屋フィルハーモニー交響楽団 第523回定期演奏会〈仲間を失う悲しみ〉

日時:2024年5月18日(土) 愛知県芸術劇場コンサートホール
会場:15:15
開演:16:00
終演:18:20

演奏:名古屋フィルハーモニー交響楽団
指揮:アンガス・ウェブスター
ヴィオラ:パク・ハヤン
プログラムノート:水野みか子

【曲目】
・ニュー・エヴリ・モーニング(J.ウィアー)※日本初演

・ヴィオラ協奏曲(W.ウォルトン)【1961年版】
 第1楽章「Andante comodo」
 第2楽章「Vivo, con molto preciso」
 第3楽章「Allegro moderato」

~ソリストアンコール~
・無伴奏ヴィオラのための3つの組曲より第1番から(M.レーガー)
 第1楽章「Molto sostenuto」

—休憩20分—

・交響曲第7番(A.ドヴォルザーク)
 第1楽章「Allegro Maestoso」
 第2楽章「Poco Adagio」
 第3楽章「Vivace」
 第4楽章「Allegro」

 指揮者のアンガス・ウェブスターは1999年生まれ(25歳!)の若手指揮者。一昨年の501回定期演奏会で名フィルと初共演し、好評を得た為、今回も登壇する運びとなりました。いやはや、23歳で名フィルと共演し、25歳で再び共演とは凄いですね。

さて、幕開けの作品はウェブスターが是非この作品をという要望で日本初演された、ウィアーの作品。ニュー・エディンバラ・オーケストラの委嘱作品で2022年に初演されたばかりの作品。切れ目のない2楽章形式の作品で、プログラムノートによると、連続する二日間を表し、一日目は素早く日が暮れるのに対し、二日目は澄んだ空気の中へと少しずつ消えていくと表現されています。
亡くなったのオーケストラのヴァイオリニストの追悼のために書かれた作品だそうです。(2024年4月の名フィルプログラムノートより)
クラリネットの綿のような音色から導かれ、豊穣な美しい世界が広がっていきます。まるで、現地のエディンバラの美しい風景を切り取ったような世界が広がりました。

続いて、ウォルトンのヴィオラ協奏曲。スコアを眺めたことがありますが、けっこうな変拍子(16拍子は使っていない)。現代曲に造詣が深い方なら、これくらいの変拍子どうってことないだろと思われると感じますが、私は頭の中がパンク(笑)
その変拍子に支配され、音楽は流暢に流れるものの、楽団員も指揮者も必死さが伺えた。だが、独奏ヴィオラから導かれる中音域の音色が何とも心地が良い。
アンコールは、レーガーの作品を。大規模な作品の一部を垣間見えたと同時に、全く知らない自分の浅学さを痛感。いつか全曲を鑑賞したい。

メインはドヴォルザークの交響曲第7番。ウェブスターの本領発揮という演奏でした。ドヴォルザークの作品は、交響曲は全曲追えていないものの、弦楽四重奏曲は一通り拝聴したことがあります(音だけです。念のため)。彼はブラームスを尊敬していたのだろうと、本作から伺えると考えています。1楽章は特にそうですよね。熱量が尋常ではない演奏でした。

若干25歳の若手指揮者の演奏をプロオケで鑑賞したのは今回が初ですが、楽しい公演でした。今後の活躍が楽しみですね。

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