蒔田裕也作曲個展Vol.3

日時:2024年5月3日(金) 電気文化会館ザ・コンサートホール
会場:14:00
開演:15:00
終演:17:05

作曲:蒔田裕也

【曲目】
<第1部>
・明日の歌
・B.CLとPf.のためのロマンス ※初演
バスクラリネット:井上幸子
ピアノ:久米涼子

・Ob.とPf.のための3つの演奏会小品
オーボエ:安原大武郎
ピアノ:秀平雄二

・希望
ファゴット:依田嘉明
ピアノ:秀平雄二

・Ob.とFg.Pfのための三重奏曲 ※初演
オーボエ:安原大武郎
ファゴット:依田嘉明
ピアノ:秀平雄二

・愛する君へ
テノール:岡田尚之
ピアノ:蒔田裕也
詩:岡田尚之

・Sop,のための演奏会用アリア「おしどり」
・いとしのピアニスト
ソプラノ:小林史子
ピアノ:重左恵里
詩:山岸千代栄

・バスクラリネット協奏曲
バスクラリネット:井上幸子
ピアノ:久米涼子

—休憩20分—
<第2部>
・男声合唱組曲「五つのきせき」 ※初演
合唱:男声合唱団 Ein Prosit!
指揮:水野勝
ピアノ:蒔田裕也
詩:山岸千代栄

・音楽劇「ねずみのお経」
ばあさま:林美予子
お坊さま:鈴木健司
どろぼう:滝沢博
ヴァイオリン:波馬朝加
チェロ:山田真吾
ピアノ:重左恵里
台本:近藤加奈子

・オペラ「メドゥーサ」より
 序曲
 大地の全てを震撼させる
 一幕間奏曲
 青銅の城に閉じ込められた
 ゼウスの黄金の雨が
 二幕間奏曲
 私だけが永遠の命を持たぬ女神

メドゥーサ:山田知加
ポセイドン:高橋洋介
アテーナ:井口侑奏
ベルセウス:岡田尚之

演奏:メドゥーサ室内合奏団
 指揮:柴田祥
 フルート:星の奈菜美
 オーボエ:安原大武郎
 クラリネット:井上幸子
 ファゴット:依田嘉明
 ヴァイオリン:波馬朝加
 チェロ:山田真吾
 ピアノ:重左恵里
 打楽器:加藤史也

 作曲家の個展に足を運ぶのは、吉松隆先生の古希コンサート以来です。
 作曲家の蒔田裕也さんは、名古屋芸術大学大学院を修了されて、現在は同大学の非常勤講師と名古屋二期会登録ピアニストでもあります。Vol.3ということで、個展を開催するのは今回で3回目。第一部は主に器楽作品、そして第二部は蒔田さんが得意としている歌曲という構成です。器楽作品を拝聴して感じたことは、ピアノの扱いが素敵だったなと感じております。独奏楽器の伴奏ではなく、作品の色彩を豊かにするピアノの書法は惹かれました。

まずは、バスクラリネットとピアノのための作品で幕開けです。5分ほどの小品が2作品ですが、旋律とピアノの絡みが何とも美しい。井上幸子さんは、バスクラリネットの作品を国内の作曲家に数多く委嘱され、ネクサス音楽出版さんから作品集が3枚販売されています。
Vol.1「https://www.nexuss.net/cd/ncd004/
Vol.2「https://www.nexuss.net/cd/ncd008/
Vol.3「https://www.nexuss.net/cd/ncd010/
Vol.4は今秋を目途に発売予定(・・だったはず)で、今回初演されたバスクラリネット協奏曲も収録されるそうです。X(旧:Twitter)で蒔田さんからクラリネットを演奏されていたと伺い、楽器の機能を知り尽くしたからこそ、優美な旋律が描けるのではないのかなと感じました。

蛇足ながら、井上幸子さんの作品集が5枚目が販売されるようなら、吉松隆先生の「鳥ステップ」をバスクラリネットで演奏して頂きたいですね。作曲当時のブログはこちら。可能であれば、「卒塔婆小町の3つのワルツ」も演奏して頂きたいですね(おい)。

続いて、Ob.とPf.のための3つの演奏会小品。24歳の時に作曲した作品で、当時、現代曲ばかり書いていたので箸休めということで書かれた作品ですが、箸休めとは思えないほど、丁寧に創られた作品だったかなと感じております。オーボエの妖艶な響きが心地よいです。

Ob.とFg.Pfのための三重奏曲は3楽章形式の作品。昨年、プーランクが没後60年というメモリアルということで、3楽章は氏の2つのクラリネットのためのソナタが引用されています。ただ、完成したのが今年1月上旬ということで、プーランク没後61年となってしまったそうです(笑)
本作が一番印象に残りました。プーランクの作品、もっと探究するべきだったなぁ・・。

第二部は、合唱・音楽劇・オペラとボリューム満点のプログラミング。恥ずかしながら、合唱や歌曲は歌詞と音楽が同時に処理できないという頭の悪さで作品の真価が自分には処理できなかったのは猛省点ですね。少しずつ積み上げていくしかないと痛感。
ただ、音楽劇は楽しかったです。吉松隆先生の「トラウマ氏の一日」を始めとする小市民シリーズや西村朗さんの「山猫飯店」を想起しました。お客様に笑って頂く・・寄席というべきでしょうか。演出も面白かったです。音楽はシンプルにまとまっていました。

蒔田裕也さんの個展に足を運んだのは今回が初でしたが、次回も個展を開かれるようでしたら、可能な限り足を運びたいですね。
(その時は歌曲や合唱がより深く楽しめるように勉強しないと・・)
個人的には、現代曲ばかり書かれていた作品を拝聴してみたいです。

今回の公演の一部は、蒔田裕也さんのyoutubeチャンネルにupされていますので、興味ありましたら鑑賞されてみては如何でしょうか。

https://www.youtube.com/@user-pd8yr7zc6l

~蛇足~
電気文化会館に足を運んだのは今回が初です。開演ベルが現代的な響きで、そちらも楽しめました。

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