リールとバックラッシュ
リールとバックラッシュです。
バックラッシュはベイト特有ではなく、スピニングでも発生します。今回はそれぞれの原因と防ぐ対策について知っている限りで説明してみます。
結論編
長くなりますので、結論を箇条書きにしておきます。詳細は興味がある項目を読んでみてください。
・バックラッシュはラインの放出スピードとスプールの回転スピードの不一致、スプールの回転スピードが上回ってしまった場合に発生する→原因の項目
・回避策としてはタックルバランスが最も重要→タックルバランスの項目
・ロッドをしならせて、反発力とルアーの重さで飛ばすことを心がける→投げ方の項目
・着水時点でのサミングは結構必要→サミングの項目
・ブレーキは最初強くしておいて徐々に緩めて飛距離を伸ばす→リールの項目
・スピニングでもサミング(フェザリング)は必要→スピニングの項目
ベイト編
-バックラッシュの原因
ベイトリールのバックラッシュの原因は、ルアー(あるいはリグあるいは仕掛けもですが、以降、便宜的にルアーに統一します)が射出されて飛行し着水するまでのラインの放出スピードと、スプールの回転スピードの不一致です。
史上最高のバックラッシュ
ラインの放出スピードが常にスプールの回転スピードを上回っていればバックラッシュは発生しない(はず)です。いくつか例を見てみます。
-キャスティングの場合
バックラッシュの発生ポイントは大きく三つです。射出時、飛行時、着水時です。
射出時は、ルアーがガイドに絡んだりしていて、ルアーが飛んでいないのにスプールだけが回転してしまう場合です。
飛行時は、急な向かい風や横風を受けて飛行スピードが大きく変わった場合(たぶんレア)や、ルアーが高切れを起こしてラインは放出されないのにスプールだけが回り続けるような場合です。
着水時は、通常図のように飛行スピードが落ちて着水するケースが多いと思いますが、飛行スピードが落ちないままルアーが着水しブレーキがかかり、スプールが回り続けた場合です。
バックラッシュの重症度で言えば、射出時、着水時、飛行時の順でしょうか。
-バーティカルの場合
こちらは潜行時と着底時に発生するかと思います。
キャスティングに比べ少ないですが、重たいルアーを使っていて、沈下速度が早い場合は要注意です。サミングしながら落としましょう。
-バックラッシュ回避のための具体策と順序
以下、回避策を順番に見ていきます。
-射出時
・ラインがロッドやガイドに絡んでいないか確認。
見えにくいですが絡んでます。スプールをフリーにした際、スムースに垂らしが伸びないなど、何かおかしいと思ったら竿先を確認してみましょう。このまま投げるとバックラッシュの原因になります。
-飛行時
・スプールの回転スピードは徐々に落ちていきます。飛行途中でなんらかの事情により軌道が変わる、あるいは変えなければいけないような場合はサミングしてスプールの回転を止めます
-着水時
・スプールの回転スピードが落ちてくると着水が近づいていることは察せると思いますが、ルアーによっては初速と終速にそれほど差がない場合もあります。飛行速度が落ちないまま着水すると急ブレーキがかかり、そこでサミングしないとバックラッシュします。ですので、ルアーの軌道をよく見ておくのが大事ですが、夜は飛んでいくルアーは見にくいものです。なのでベイトリールは夜には使いにくいと思います。
-具体的な対策
次に具体的な回避策です。
-タックルバランスの精査
これが一番重要だと思います。ロッドの強さと、ラインの太さ(細さ)と糸巻き量、リールの回転とブレーキ性能、ルアーの重量のバランスです。これらがマッチすればベイトタックルでもびっくりするくらいルアーは飛びます。ただし、マッチするスイートスポットが非常に狭いように感じます。
キャスト可能なルアーウェイトの表示です。この範囲内であれば、キャストで壊れることはそれほどない、あるいは快適にキャスト出来る範囲、というものです。画像は7-40gと幅があり、このロッドは汎用性は高いもののスイートスポットを見つけるのが難しかったりもします。
-ロッド
まず、ロッドですが、その時点で用いるラインとリール、ルアーを使うと、どれだけしなり復元力があるか、これを見極めるのがポイントです。しならせるのは釣り人の力の入れ加減次第ですが、復元力は素材次第です。グラスのようなびよんびよんする素材、柔らかい素材はしならせやすいですが復元力が弱いため、ライナー性の軌道を出しにくくなりますし、スプールのリリースタイミングを間違えるといい感じにバックラッシュしてくれます。初めて使うロッドや、扱いが難しいロッドでキャストする場合は、なるべく力を入れず、オーバーヘッドキャストでふわっと投げるのがバックラッシュ回避のコツです。
-ライン
太すぎると誤差かもしれませんが空気抵抗が増える気がします。高切れしない適度な太さが飛距離を出し、トラブルを未然に防ぐ要因かと思います。
また、糸巻き量(=スプールに巻いてある糸の重さ)も相関があると思います。糸巻き量が多いリール=スプールが重い、ですので、糸巻き量が少ない場合に比べてスプール回転させ始めるのに力がいります。この場合、ロッドの反発力を強くするか、重いルアーを使わないと回り始めに苦労します。
出自:シマノ
12lbを100m巻くか、165m巻くか、単純計算でもラインの重さが1.65倍になってるので影響はありそうですね。
強いロッドで糸巻き量が多めのリールで軽いルアーを投げようとしても飛ばないのはこのためです。また、糸巻き量が多いと慣性が働き、回転スピードは落ちにくくなります。重たいルアーで糸巻き量が多いリールを使っていると、後半伸びるように感じるのはこのためです。
糸巻き量に関しては、慣れないうちは気持ち少なめで、ラインの質としてはPEならばコーティングがしっかりされていてハリのあるものを使った方がバックラッシュは回避できると思います。
ハリがあり伸びにくい一例。
また、ラインの素材に関わらず、スプールに巻きつけける際はきっちりテンションをかけて巻きつけてください。
器具を使いましょう。
テンションは気持ち強めで、ナイロンラインならば伸びない程度にきつめにテンションをかけます。テンションをかけずにフッカフカに巻いておくと、スプール上でラインが浮き上がったり滑ったりしてバックラッシュの原因になります。
-リール
最初のセッティングとして、メカニカルブレーキ(スプールシャフトを押す力をかけるブレーキ)はスプールがカタつかない位置で止めます。一方、マグネットや遠心ブレーキはマックスに設定します。
シマノのエクスセンスの例。真ん中がメカニカルブレーキ、銀色のつまみがついた右側がDCブレーキの強弱で、下がブレーキ種類のセレクターです。
タックルに比べ重いルアーであれば、メカニカルブレーキは強めにしっかり止まる位置が良いと思います。スプールをフリーにしてロッドを振ってからラインが放出されるくらいがいいと思います。
この位置にマッチしたロッドとルアー、ラインであれば微調整を繰り返し、その時点でのタックルでバックラッシュせずにキャスト出来る最適な位置、つまりセッティングポイントを見つけることができます。
ブレーキセッティングのポイントは強→弱で操作することです。逆の段取りで、弱→強のセッティングを試みるとバックラッシュしやすくなると思います。ルアーチェンジの際もブレーキセッティングは面倒くさがらずに、ルアーの重さが2割程度変わるようであれば注意していた方がいいと思います。
セッティングが決まり、DCブレーキ等優秀なブレーキであればほぼサミングなしでキャストし続けることが可能になります。
-ルアー
そしてルアーですが、トラブルを少なくするためには、飛びやすいルアーで始めるのがいいと思います。飛びやすいルアーの特徴は質量が高いもの、空気抵抗が少ないもの、プラグであれば重心移動システムが入っているもの、です。メタルジグやバイブレーションは投げやすいですね。一方、ノーシンカーワームや羽根ものルアーは飛ばしにくいです。空気抵抗、風もバックラッシュの原因になりえますので気をつけてください。
-投げ方
バックラッシュ回避のためには投げ方≒ルアーの軌道も重要です。
重たいルアーをライナー性の軌道で投げると初速と終速の差が少なくなりますので、着水時点で急ブレーキがかかることとなるため、着水時点でのサミングは必須になります。
一方、軽いルアーや空気抵抗の大きいルアーを同様にライナー性の軌道で投げようとすると、失速しやすく、ルアーは止まるもののスプールだけが回り続けてバックラッシュにつながりやすいです。
投げる際は、その時点で使っているタックルに最適な軌道を見つけること、その軌道をトレースするための投げ方も重要です。
また、スプールから指を離すリリースポイントでも軌道は変わります。慣れないうちは極力オーバーヘッドでロッドのしなりを活かしてふわっと投げるといいと思います。手首だけを使ったサイドハンドは徐々に慣れていくしかないと思います。
-サミング
以上見てきた中で、ちょいちょい「サミング」が出ておりました。ロッドを持つ手の親指(thumb)でスプールを押さえるため、サミングというのですね。目的はスプールの回転スピードの調整です。
程度にもよりますが、ラインを直接押さえてしまうと、たるみの原因になりますので、極力スプールエッジでサミングするのが良いと思います。
これは慣れですし、面倒ならラインを直接押さえてもいいと思います。ただし、ラインを直接押さえるサミングを多用するのであれば、釣行後はラインを巻きつけ直した方がいいと思います。
スピニング編
スピニングでもバックラッシュはします。スプールは回りませんが、ラインの放出に慣性がかかり、一箇所で止まってしまったような場合、ラインがぐちゃぐちゃになる所謂「パーマ」や、エアノットが発生します。
-ラインシステム
スピニングの場合、ベイトとは違いラインによるトラブルが発生します。ガイドに絡まったまま投げた場合や、ノットシステムを組んでいる場合、ノット部分がガイドにぶつかってトラブルが発生します。投げる前にラインがガイドやロッドに絡んでいないか、ノットの位置をリール側から見て最初のガイドの向こう側にしておくという二つに注意すればだいぶ解消されるおt思います。
-フェザリング
バックラッシュとは関係ありませんが、着水時点でフェザリング(サミングをスピニングではこう呼びます)はした方がいいです。特に重たいルアーを使う場合は強いリーダーを使っているでしょうから要注意です。下図のような状況になると思います。
エアノット(キンク)が出来たまま釣りを続けてると、魚がかかるとあっさり切れることがあるので要注意です。
このように人差し指でスプールを押さえてラインを止めます。
スピニングの場合、キャストできなくなるようなトラブルではないので軽視されがちですが、魚がかかってからラインブレイクするのはルアーもロストしますし結構ショックが大きいです。
まとめ
以上、とりいそぎまとめです。
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