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FTインプレッション-31【破損について】

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もくじというか釣行記

どうもこんにちわ、ぼくのつりぐ紹介です。今回は破損した道具。

ルアーが無くなることは仕方がない。リールは壊れても治る。ただ、ロッドは折れたらそれまで、さよなら、それでおしまい。アルコールが飛んでしまい、少し前までは酒だった液体をシンクに流すことや、愛情が枯れた恋人に連絡しなくなるのと同じ。少しは悲しいけれど、仕方ない。人類はそうやって生きてきた。

ぼくはこんなスタンスです。なので、ロッドが折れたり、破損すると、とても悲しい。過去、自分で買ったロッドで壊れてしまったものを追憶してみます。

ダイワ リーディング73MH185MT
この竿を買うまで、釣りといえばブラックバスのオカッパリでした。その後なぜか沖釣りをするようになり、100mくらいの水深でやれるように、ということでシーボーグ201と一緒に買った、記念すべき沖釣りタックル第一号。アマダイ、オオモンハタ、カサゴ、アジ、等々、エサ釣りですね。ある日玄関先に置いておいたら、何者かによりドアに挟まれ破損。フロントセクションの真ん中あたりが粉々になっておりました。

昔、株式取引にて一撃で500万円くらい損した時ほどではないけれど、目の奥がなかなか痛くなるダメージでした。保証期間中だったので、免責で復旧。ただ、この「保証」ってやつ、そろそろどうにかならないものか。というのが、保証書がない限りどうにもならない、というのはなんとも古臭い話だと思うのです。ていうか、なくすじゃないですか、保証書なんて。プロダクトに個別ID振って、webで管理してくれたらユーザーは幸せになれると思いますけれども。

シマノ ワールドシャウラツアーエディション2752-R5
この竿は二回壊れています。最近、再読したレイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」の一節にこんなセリフがあります。

離婚も辛いのは最初の一回だけだ。二回目からは単なる財政的な問題に過ぎなくなるし、君にとっちゃそんなものは痛くも痒くもない。

なぜチャンドラーは65年も前に、ぼくのワールドシャウラが二度折れることを知っていたのでしょう。宇宙人か何かなのかな。ぼくにとっちゃ痛すぎるけどね。

一回目の離婚。2017年、サバを釣ったらフロントセクションが真っ二つに。その前に、船上で踏まれていたので、そこでクラックが入ったのでしょうね、きっと。

二回目の離婚。先月、後輩に貸したら、エギを巻き上げ過ぎて、ボリボリッとワールドシャウラ(以下、WS)が出せる限界の轟音を立ててフロントセクションが破損。2年ぶり、2回目。

琵琶湖でつったブルーギルやブラックバス(サビキ)、足を滑らせて水没した琵琶湖、飛び跳ねた小さなシイラ、シイラだと思って釣り上げたらカツオだった、パヤオ周りでオキアミつけてつった石鯛(サビキ)、サバの鱗がまだ落ちきっていないグリップ周り。

そんな記憶が走馬灯のように、初秋の芝生に散水するスプリンクラーのように、カタカタとリズミカルな音を立てながら猛スピードで脳内を駆け巡ります。

一回目は免責で4,000円で修理というか交換されました。二回目はさすがに保証切れなのでふつーに購入。13,000円くらい。高級品だな、おい!今更ですが、キャスティングでは扱えないらしいですね、WS。

以来、釣り道具を人に貸すのは極力やめる、貸すのであればあげたつもりで貸す、そのどちらも難しく貸さなければいけない時は、破損した場合は実費清算する念書書かせること、こうしようと思っています。

たぶん、構造というか高反発の素材の問題だと思うのですが、感度高めるために、遊びの少ない構成なのでしょうか。軽いクラックで真っ二つになるので、もし購入検討されている方は取り扱いには要注意です。

ダイワ ソルティガSJ61B-2

ロープ根掛かりからの、PEガイド絡みのトラップに陥いり、2,3,4番ガイドが損壊。バキバキバキ、とそれぞれの破損音が今でも耳に残っています。バカラのグラスが割れる時、乾いた金属音にも似たとてもいい音がします。聞きたくない音ではありますが、2度ほど聞いたことがあります。ガイドが壊れる時の音も、なかなかのものでした。

これ、何が悲しいって、釣ったのが、エソ・ギガアジ・サバを各1尾、タチウオを4尾、小学校に上がる前に命が尽きた子供のようでとても悲しい。。

とはいえ、ガイド破損は、治りはするので、まぁよし、と。何か大きなことを成し遂げる際には傷も負うし、何かを犠牲にしないといけない時もあるだろうし。すっかり目が覚めた。ベッドで出会えるあてのない夢の続きを待って二度寝を試みるのはやめようぜ。真夏の新緑の中に飛び出した方がいかしてるぜ。

そして、何かが壊れる時の音、何かが終わる時の音、たまに聞きますね。つり関係でいくと、悲しいのが、高切れの音。他、人間関係が終わる音とか、恋が終わる音とかも、よく耳を澄ませば聞こえて来る時があるんじゃないかな。耳をすまして聞いてみなよ。時に軋んだりして、限界まできたらバキバキいってるぞ、きっと。

まあ、壊れたらまた直せばいいことかもしれない。ただ、厄介なことに、世の中には一度壊れたら直せないものも結構あるようだ。形あるものは直っても、それが壊れたことによって玉突き的に壊れてしまったそれを取り巻く何かはきっと永遠に、元の形には直らないと思う。

それにしてもあれですわ、たかだか釣竿折れたとかで、人間関係がどうしたとか、熟己の(つくづくおのれの)矮小さを思い知らされます。だいたいマイケルジャクソンを見てみろ、と。heal the worldを聞くたびにそう思います。

Heal the world
Make it a better place for you and for me
And the entire human race

竿が折れて悲しい気持ちと、人類全体の幸せを願う気持ち、比較したところで何もおきません。それぞれに同居できるものだろうし。

そうはいってもMJくらいにならないと、ヒトという種族についてのコメントもままならないだろう、とは思うものの、圧倒的なスケール感の違いに、改めて自分の小粒感を悔やむ夜なのです。意味がなければスイングがないように、そこに誰かの心を震わせる何かがなければ、愚痴には何の意味もないのです。

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