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「スト女」と呼ばないで

男性ファンがメインと思われるようなカテゴリに女性が目立つようになると「〇〇女子」的な呼び名を付けられるのはなんでだろう?
「歴女(歴史)」「鉄子(鉄道)」「スー女(相撲)」「プ女子(プロレス)」、そして「スト女」。 

ストリップがメディアで語られる際に「かつての男の楽園に、今は若い女性が!」という表現が目に付く。あの雑誌も、あの新聞も、あの番組も、枕詞のように「若い女性が!」と言う。まあ、目につくのは(というか、目に入れたいのが)若い女性なんだろうけど、そうじゃない女性だってストリップを楽しんでるのになあと思ってしまうのは、「若い女性」ではなくなった私の妬みなんだろう。
私の妬みはさておき、大好きなストリップを「若い女性にこんな趣味が!」みたいに扱われるのは、なんだか流行に乗った一過性の趣味で、女はすぐに興味を失って次の対象に行く、と言われているようで悲しい。
ストリップはタピオカじゃないのに。

仲良くして頂いているストリップ友達の女性達は、ストリップという文化に惚れて、踊り子さんを心から愛して尊敬し、時には推しのステージを見る為に地方へ飛ぶことも厭わない人が多い。基本的なスタンスは、男性のストリップファンと同じだと思う。もちろん年齢も様々。そんな彼女たちが「女性」というだけで、なんだか男性ファンに比べて軽く呼ばれてしまっているように見えるのは寂しい。私達、なんとなく流行ってるから、話題になってるからというだけでストリップを見に来ているるわけじゃないから!って言いたくなる。
もちろんメディアで取り上げられているのを見て、劇場に足を運ぶ女性もいるだろう。そういう人を否定する気持ちはないし、「初めてなんです」って話しかけられたらうれしくて、たくさん楽しんで帰ってほしいと思う。

以前劇場で、初めてストリップに来たという男性に「女性はどういう目でストリップを観るの?」と聞かれたことがある。
「自分と同じ女性の裸がこんなにとりどりに綺麗なのに驚いたし、衣装やダンス、踊り子さんが持つそれぞれの世界を観れるのが楽しい」と答えた。それにプラスして「でも、同性だからってエッチな目で見てないわけじゃないですよ」とも。
男性の目線とは違うかもしれないけど、私は女性として同性の「魅せるエロさ」を楽しんでいる。煽情的なステージに男性のようにわかりやすくムラムラしたりはしないけど、「うっわ、エッロ!!」とひそかに鼻の穴を膨らませたりはしているのだ。とはいえ「あんな風に男を誘えばいいのね」なんて感情はみじんもないし、私だってあれくらい!なんてまったくもって思わない。ただただ、美しく可愛くエロい、踊り子さん達が作る世界にうっとりしているだけ。

ストリップを楽しむことに、性別は関係ないと思う。
だから簡単に「スト女」なんて流行りっぽい名前を付けないで欲しい。
年齢も環境ももちろん性別も違う、同じ劇場に集うだけの私たちが一つだけ同じなのは「ストリップが好き」という気持ちだけ。そこに男女の別はないと思う。
ストリップ劇場に通う女性達に名前を付けたいなら男性ファンと同じように「ストリップファン」と呼んで欲しい。
どうしても男女を区別したいというなら、そのまんま、「ストリップファンの女性」でいい。

そして私達が劇場に行くことに、勝手に適当な理由を付けないで欲しい。なにか理由がないと女性がストリップに行くことが許されないわけではないでしょ?
女性客がみんながみんな、何かを求めて劇場に行くわけじゃない。
少なくとも私は、自分にないものを踊り子さんに投影してるわけでも、ゲージュツだなんだとかの高尚な理由があるわけでもない。

好き。

それだけじゃダメ?
男性だって、宝塚やジャニーズが好きな人はいるだろう。それをあれこれ勝手に理由づけて「ヅカ男子」や「ジャニ男」なんて呼ぶかと言ったら、答えはNOでしょう。私達が劇場にいることは特別な事じゃない。理由なんてあってないようなもの、隣の席の男性客と同じだ。

ただ、ストリップに出会ってしまっただけ。

とは言え、「スト女」ってわかりやすくて便利な言葉だなとは思う。
だからいつか私が「スト女」という言葉を使っても、どうか非難しないでね。