映画「彼女は夢で踊る」
ずっと公開を楽しみにしていた、ストリップ劇場が舞台の映画「彼女は夢で踊る」を見てきました。ストリップの儚さと美しさだけを集めて作られた「夢」のような映画でした。
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ヒロインの「サラ」の危うく妖しい美しさ、若き日の広島第一劇場の社長「木下」の不器用な純粋さ、誰もが胸の奥にそっとしまってあるような戻れない日々を若い二人の俳優さんがとても優しく繊細に演じていて、傍観者のつもりで見てた私が、映画館の座席でいつの間にか「サラ」や「木下」になってしまっていた。
サラが橋の上で木下に不器用に生きることしかできない自分をさらけ出す場面は胸が苦しかったし、目の前で泣き笑いのような表情を作るサラを抱きしめたいと思った。
「サラ」を演じた岡村いずみさんのストリッパーぶりは、明日にでも劇場に立てるんじゃないかと思うくらい切ない美しさにあふれていて、とても素敵だった。
現代パートの木下社長の加藤雅也さん、不動産屋での場面、元社長に会う場面、ラストがとても印象的だった。決まってしまっている劇場の閉鎖、自分で決めた事なのに何度も葛藤する姿。木下が初めてストリップを観た時から何十年たっても変わらない不器用さが愛しかった。
やさぐれて荒ぶれた雰囲気の社長を演じる加藤雅也さんがなんとも言えずかっこ良かった。一緒に観劇して、その後広島の街に飲みに連れてって欲しい笑
そして「ヨーコ」。ラストステージの後、ヨーコは社長と生きていくのかな?とも思ったけど、私にはふたりは戦友の様に見えた。男と女だから寂しさを埋めあうような夜もあるかもしれないけど、つかず離れずでいつかまた会った時には、笑って昔話をしたりするんだろう。でももしかしたら二度と会うこともないのかもしれない。
「ヨーコ」のラストステージは、一番涙が溢れた。今まで劇場でお会いした沢山の踊り子さんが「ヨーコ」に重なって見えた。
初めてのストリップで一目惚れした踊り子さん。「はじめまして」が「さよなら」になった踊り子さん。身体の痛みをこらえながら、ステージが好きだからと踊り続ける踊り子さん。ストイックに身体と演目を作り続ける踊り子さん。お会いする度に美しく艶っぽくなっていく、まだ若い踊り子さん。ヨーコの登場シーンはそう多くないけど、リアルな「踊り子」の存在感が確かにあった。
「ヨーコ」を演じた矢沢ようこさんにはまだ劇場でお会いしたことがないけど、実際に目の前でステージを見ているような…スクリーン越しでも観る人を魅了するようこさんに、今すぐにでも会いに行きたい気持ちになった。
「恋はいつの日にか愛に変わる」なんていうけど、この映画はそんなお話だったのかなと思った。踊り子に恋をして、それがいつのまにか劇場やストリップという文化への愛へとつながる。
私はストリップ劇場に行くたびにステージの上の踊り子さんに恋をしていると思うし、斜陽に向かいつつある劇場の為に、いつでも何かしたいと思う気持ちは愛なのかもしれない。
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広島第一劇場には何度か行ったことがあって、閉館騒動やそこから復活した経緯も知っているから余計切なく映画を観てしまいました。
赤い絨毯敷きの独特な形の花道と盆、高い天井、鏡張りの壁面、外壁のモチーフと半分ついていないネオン。
映画を見て改めて、広島第一劇場は美しい劇場だなと思いました。
映画では2019年で広島第一劇場は閉館したとあって実際その予定だったけど、2020年10月現在も営業しています。
この映画をきっかけに、広島は勿論、各地のストリップ劇場に足を運んでくれる方が増えるといいなと思います。
私のホームであるA級小倉劇場も、とても素敵な愛すべき劇場です。
ストリップ劇場は、燃える命を目の前で見れる場所。命を燃やしながら踊る美しい人たちを、たくさんの人に自分の目で見てほしい。
この映画を見て、私の愛するストリップ劇場が一日でも長く続いてほしいという思いが新たになりました。
映画館まで自転車で行ったら、ちょっと道に迷って最初の10分くらい見損ねたし、ラストのクレジットに、見覚えのある踊り子さんの名前が!!
DVD発売まで待てないので、色々確認しにもう一度映画館に行こうと思います。
私も今夜は夢で踊ろう。