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ウサミン星は火星より近いが、千葉ではない

ウサミン星の公転周期が地球の1.58824倍である場合、地球における27年はウサミン星の17年に相当する。

さて、それではウサミン星はどこにあるのだろう。

『アイドルマスターシンデレラガールズ』に登場するウサミン星出身アイドル安部菜々は、アイドル業のためにウサミン星から地球に通っているようだ。恐らく太陽系外ではなかろう。太陽に最も近い恒星アルファ・ケンタウリすら、光の速さで往復8年以上かかる。仕事のたびに通う距離としてはいささか遠すぎると言える。やはりここは、ウサミン星は太陽系内の惑星であると仮定しよう。

惑星の公転周期と公転半径には密接な関係がある。ケプラーの第三法則によれば、ある恒星の周囲を回る惑星の公転周期の二乗と平均公転半径の三乗との比は常に一定の値を取る。つまり、公転周期をT、平均公転半径をRと置くと、
 T^2/R^3=C
である(ただしCは定数)。

太陽系の場合、公転周期を年(y)、平均公転半径を天文単位(au)で表すと、地球の公転周期が1年、平均公転半径が1天文単位であるから、C=1である。太陽系の他の惑星についても計算してみよう(数値はWikipediaから引用)。

ケプラーの法則が確かに成立していることがお解りいただけるだろう。

さて、ウサミン星の公転周期が1.58824年であるならば、T=1.58824としたときのRの値を求めることで、ウサミン星の太陽からの距離が判る。実際に計算すると、次のようになる。

つまり、ウサミン星の平均公転半径は1.36127天文単位と推定される。意外と近い。地球から見ると火星より近い。

さて、天文学の力でウサミン星の公転半径が判明したところで、次はこの広い宇宙から実際にウサミン星を探し出す作業に移りたい。一体どのようにして探せばいいだろうか。予想される公転軌道の範囲に天体望遠鏡を向けてみる?

否。その必要はない。実は、我々人類は既にウサミン星を発見している可能性があるのだ。しかもただ発見しているだけではない。無人機による探査まで実施している。

2003年に打ち上げられた小惑星探査機はやぶさは、地球と小惑星イトカワとの間を往復して2010年に帰還、史上初となる小惑星からのサンプルリターンに成功した。何を隠そう、このイトカワの平均公転半径は1.324天文単位、公転周期は1.52年である。地球における27年はイトカワにおける17.76年に相当する。

賢明な読者諸氏はもうお気づきであろう。私は小惑星イトカワこそがウサミン星に他ならないと考えている。

安部菜々がアイドルとして我々の前に姿を表したのは2012年。安部菜々がなんらかの方法で"はやぶさ"と共にウサミン星(=イトカワ)から地球へと飛来し、2年(ウサミン星時間で1年ちょっと)の潜伏期間の後に華々しいアイドルデビューを飾ったとすれば辻褄は合う。

ネット上では安部菜々が落花生と深い縁を持つことから「ウサミン星は千葉」などと頓珍漢な説を唱える向きもある。しかし、ウサミン星と落花生が結び付けられるのは別に落花生が千葉県の特産品だからではない。落花生はウサミン星のシンボルなのだ。それは"はやぶさ"が撮影したウサミン星(=イトカワ)の画像を見れば明らかである。ごつごつの岩石に覆われた地表、中央のくびれた細長い輪郭は、どこから見ても落花生そのものではないか。

結論。小惑星イトカワこそウサミン星に他ならない。我々人類は随分前からウサミン星を知っていた。サンプルリターンまで成し遂げていた。高い夜空を見上げれば、ウサミン星は星々の合間を今夜も漂っているはずだ。

……え? ウサミン星は地球から電車で一時間? 銀河鉄道か何か開通してるんじゃないの。知らんけど。

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