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その6 読めないとき

 メンタルが弱いので、すぐ落ち込むし生きる屍みたいになる。活字が頭に入らない。むりやり読んで狭い視野を広げようとするのも良いのかもしれないけど、本当に弱るとそれもできなくなる。でもこのまま眠ってしまうのも何か心もとない。そういうときに開くもの。

『Arne』
イラストレーターの大橋歩さんがつくっていた雑誌。2009年、30号で終了した。10冊くらいしか持っていないけど、大橋さんの手書きの文字や写真、レイアウトを見ているだけでもすごくほっとする。村上春樹邸やzuccaの小野塚秋良さん宅訪問とか、大貫妙子さんのインタビューとか、大橋さんの人脈と視点で書かれたほかでは読めなそうな記事ばかりで大事にしている。ぜひ手に取ってみてください、と言いたいところだけど入手難しいのかな。

『THE ENDLESS WITH THE BEGINNINGLESS』junaida
イラストレーターjunaidaさんの画集。いただいた本。本を贈ってもらうのって凄く嬉しい。布のひだとともに描かれた人物画が収録されている。大きな布に包まれたひとたちはみんな笑っていない。巨大な空っぽの部屋に放り込まれたような不安と魅力を感じる。黒の背景の絵がとても好き。

『頭骨図鑑』吉田賢治監修
哺乳類、爬虫類、魚類76種の頭骨が乗っている小さな図鑑。草食動物の角が好きで買った。頭骨や角は好きだけど、ハンティングトロフィーは好きじゃない。骨だけではなくて悠久の自然を感じるものって気持ちが休まる。

『ゆっくりさよならをとなえる』川上弘美
タイトルだけで少しほどける。擦り切れるくらい読んでいるので書いてあることは隅から隅まで分かっているのだけど、だからかフォントや文章を眺めていると安心する。薄い文庫なので手に馴染むし、匂いも好き。身体の一部みたいになった本がいくつかあるのは救いだなと思う。
そらまめとビールとか牡蠣とか湯どうふとか出てくる食べ物が美味しそう(またも)。川上さんの謙虚でしなやかな文章を読んでいると少し元気がでてきて、ああわたしも野菜を茹でようかな、と思えたりする。

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