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跳べたことを自慢するな、いい仕事を自慢しろ #聞いてよ20歳

20歳に伝えたいこと。
うーん、どんな話も突き詰めると「それぞれ好きなように20歳を過ごしたらいいんじゃないかな」という話になってしまって、これといって言いたいことなど無いのですが、きっと「働く」ことについてお悩みの人が多い世代だろうから仕事論でもかましておきましょうか。 


20歳のころ、映画の撮影所でアルバイトをしていました。
商業映画の撮影所なので役者さんも監督さんも著名人です。 一緒にバイトをしていた仲間の中には有名人を見てのぼせ上がってしまう人もいましたが、そういうことをするのはなんだかダサい気がして私はとにかく粛々と仕事をしました。 

役者さんやスタッフさんにも2種類の人種がいるようでした。

「どうせおまえら、有名人が見たくてここに来ているんだろ?」と言わんばかりに学生バイトに対してファンサービス的な態度、もしくはつっけんどんな態度をとる役者さん。「華やかで刺激的な毎日を送っている俺はおまえら一般人とは違う世界の人間なんだ。」と言わんばかりにバイトやエキストラやロケ先の野次馬にさげずむような目線を送るスタッフさん。 

一方で、カンヌやアカデミー賞(日本アカデミー賞じゃない本家のほう)で賞を獲得した映画監督に対する態度と同じ丁寧さで学生バイトに接してくださる役者さんやスタッフさんもいました。そのような方々はバイトや若手スタッフの緊張を感じたとき、スマートにくだけた雰囲気を作るのも上手でした。

誰に対しても丁寧だった役者さん方は、偶然か必然か、やはり10数年経った今でも第一線で活躍されています。そうでない役者さん方は、偶然か必然か、いまそのお名前を耳にすることはないな。 

バイトでも役者でもスタッフでも「みな同じ作品を作りあげるチームの一員である」という意識がある人とない人がいて、それは仕事ぶりにも表れていたように思います。 


大学卒業後、そのまま撮影所で働く選択肢もありましたが私はIT企業に就職しました。
(映画業界は刺激的でしたが、休暇が取りやすくキッチリ給料とボーナスが出る環境を選びました。だって勤務時間が不規則で徹夜が当然な職場では身体を壊しそうだったし、好きな場所に、ある程度好きなタイミングで、お金を気にせずに旅をしたかったから。) 

会社で数年働いて思いましたが、会社でも撮影所でも「できる人の仕事のやり方」は一緒です。
周りをおとしめたり持ち上げたりしない。自分の仕事を粛々とこなす。
シンプルですが、それを遂行している人って意外と少ないんですよ。
権力者に媚びたり、自分を大きく見せたり、周りと自分とを比べたり、小手先の仕事術を片っ端から試して迷子になったり。 
目の前の仕事に向き合えば、そんなことをする暇はないはずなのに。

撮影所で見た「一流の役者さん」(あえてこう言いますがほんとうに一流の方々)は、今振り返ると自分の仕事に集中していたからこそ関係者すべてに丁寧に接していたのだろうなと思います。仕事に向き合い、仕事にまっすぐだからこそのフラットなまなざしだったのだろうな、と。 


映画撮影所でバイトしていた私はIT系会社員を経て専業主婦となり、noteを書いています。
どの場所でも一緒だと思いました。 
すべきことを粛々とこなし、できれば楽しく過ごせるように環境を整える。それができれば日々の満足度は高くなる。
「働く」ことって業種や職種に憧れを抱きがちで、地味な仕事に就く自分はつまらないと思いがちだけど、華やかに見える場所で働く人も日々やることはたぶん一緒です。 (成し遂げた仕事が世間に及ぼす影響の大小、とかは違う、もちろん。)

自分の肩書きがなんであれ、すべきことに対していい仕事をすることが幸せにつながるんじゃないかな。 少なくとも私はそう。
世間にデッカく爪痕を残したい人は生き馬の目を抜くような環境で食らいつけばいいし、マイペースに心穏やかに過ごしたい人は自分にとって心地良い環境を作ることに力を注げばいい。


このnoteで言いたいことの本筋とは外れるけど、どうしても派手に見える場所に行きたいならさ、ぴょんって跳ぶだけだから跳んでおいでよ。
結局「華やかな業界」で働くことを選ばなかった私が偉そうに言うのもなんだけど、変に憧れを拗らすより少しでも興味があるなら早いうちに跳んだ方がいい。
その世界を覗くことと、その世界で働き続けることや成功することとは別の話なんだ。 
ちょっと見てくるぐらいならすぐにできるからさ、行動しておいでよ20歳。

くれぐれも、ぴょんって跳べたこと自体を自慢するような人に憧れちゃダメだよ。どんな場所であれ、いい仕事をしている人に憧れてね。

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