話が横道に逸れがち

 幼稚園児くらいの頃からど忘れが多かったような気がする。この部屋に何しに来たのか忘れたり、何か考えてたはずなのに思考が迷子になったり。そういうときはたいてい来た道を戻って景色をみると思い出せたからずっとそうしてたんだけど、脳がまだ若かったから思い出せていただけなのかもしれない。

 私は物心ついたときからまあまあ記憶力があったはずだ。母と買い物に行くときは「メモ係」をしていたことを覚えている。母はよく忘れる人で、何か忘れてる気がしていればまだ良い方で、目的のものをすっかり忘れて帰ろうとすることもあったので「私の方が記憶力あるんじゃね??」と思っていた。とんだクソガキである。大人を舐めくさっている。こんなに世の中を舐めていたらまともな大人にはなれそうにない。

閑話休題

 今日もこうしてnoteを書こうとしてブラウザを開いたのに、次の瞬間にはポケ森に気を取られてブラウザを開いたことを忘れていた。そしてmacの画面が暗くなってはじめて思い出す。そういえば何かしようと思って開いたんだった。次はポケ森のことを思い出せなくなる。ポケ森はログイン画面のまま暗くなり、太腿の上の小さな深淵が一方的に私のことを覗いている。ブラウザに何の用があったか思い出せずふと俯くと、深淵と目が合う。ぎくり。しかし暗闇にポケ森の残り香があり、それを嗅ぎつけてロックを解除するとログイン画面が私を出迎える。そうこうしているうちに、私はとうとうすべてを忘れてしまうのだ。notoを書こうとしていたことはおろか、ブラウザを開いたことも今日の晩ごはんも明日の朝一番に大事な用事が入っていることも、大学時代の友達の本名も任天堂Switchがほしかったことも昨日風呂に入りそびれたこともYouTubeでみた隕石についての雑学も先行研究もすべて忘れてしまう。そしてポケ森のことだけがわかる。ポケ森だけが煩わしい現実を忘れさせてくれる。お金がなくてSwitchが買えないことも忘れさせてくれる。次にそれを思い出すのは花江夏樹さんのチャンネルを見たときだ。それまでは私の森に博物館がないことも、珍しい魚がいないことも忘れていられる。箱庭のような狭い森と島をぐるぐると回り続けているときには外の世界などとるに足らない。

こうして人はだめになっていくんですね。反省反省。ところで本当はこの記事で何を書きたかったんだろう。迷宮入り。

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