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詩 5篇

もうダメだと思える自分を探している

 いつかの私はダメ人間だ
 人の気持ちに気づかずに、自分勝手に傷つける。
 だから私の人生はダメなんだと
 自分を理解できる言葉を探して、
 理解しただけでいい気になって、
 なんの行動にも起こさずに、
 大切な人を傷つけたままにしている。
 
 今も私はダメ人間だ
 人の気持ちが理解できずに、自分勝手な悩みに耽る。
 エゴのない人間など人間らしくないのだと、
 人間の本性という言葉で自分の思いを隠して、
 誰の気持ちも理解できずに社会にただ佇んで、
 なんの行動も起こさずに、
 大切な自分の価値を見下げたままにしている。

 これからも私はダメ人間だ
 不幸のどん底までいけば、気を取り直す自分を知っている。
 下手をすると人の不幸を欲してしまうから、
 自分の身の回りの人だけでも穏やかに、
 自分一人だけでもあの人の味方になるために、
 何か行動を起こしたいと焦りながら、
 大切な今を、大切にできないでいる。

ゆらゆら

 森は影絵のように僕のシルエットを隠し、
 工作の時間にみんなで作った行燈ゆらゆら、ゆらゆら
 ボクは一人ぼっちで空を見る。
 満月は優しく雲に抱かれ、
 木々の匂いに幼少期の母の化粧水の匂いを思い出す。
 風は冷たく孤独を知らせて、
 月明かりが心細いボクの存在にも小さな影を作る。
 森をグングン進むと大きな泉があり、
 泉の中心にはボートが浮かび、
 ボートは月明かりに黄金に輝き、
 黄金を求めて美しい蝶が匂いを探して、
 蝶を見つめるボクの視線の先では、
 満月が優しく世界を光で滲ませている。

声に出さずにいたこと

 夢みるように眠りたい
 まどろみの中で生きていたい
 明けない夜に花束を
 ゆりかごの中で暮らしたい

 要はただただ寝ていたい

続・声に出さずにいたこと

 腹が空いては戦はできぬ
 布団に入ったら三十秒でケリをつける
 覚悟をしっかり腹に落として、
 ボクはハーゲンダッツを夢見て雪見大福を食べている。
 トイレをすます前に少し飲み物をと思い、
 麦茶を飲んでコーラを半分のむ。
 マウスウォッシュをしっかりする。
 完璧なルーティンワークに酔いしれる。
 チクタクとなる時計の電池を外し、
 今日の考え事を忘れるために、
 スロージャズを流してみる。
 やり残したこととは何だったか。

 要はただただ彼女が欲しい



聴覚的メタファー


 くだらないの中に本当が

 どうでもいいの中に譲れないが

 面白いの中に閃きが

 疲れたから寝ようの中に賢さが

 どうにもならない不幸の中に大切が

 笑えるなぁの中に優越感が

 昨日とおんなじの中に将来の夢が

 癒えない後悔の中に信念が

 綺麗だなぁの中に下心が

 美しいの中に風が

 風の中に遠くの声が

 遠くの声の中に懐かしいが

 懐かしいの中にビー玉が

 ビー玉の中に光が

 光の中に愛が

 愛の中に憎しみが

 憎しみの中に本当が


 みんな何かに隠れてる

 アナタの傘の中にはあなたがいる

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