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私とラジオのおつきあい 第2回

「私とラジオのおつきあい」第2回目は、1978年ころから興味を持ち出したBCLとの出会いについて簡単に書いておこうと思う。

前回もご紹介したように、小学4年生の誕生日に買ってもらったナショナルのポケットラジオ「RF-508」でラジオにのめり込んだ私。
東京に住んでいた私は、在京のラジオ局を毎日毎晩聴いていたのだけど、とある夏の日の夜、ニッポン放送からラジオ関東の方にダイヤルを回していたら、普段ダイヤルを止めたことのないところからいろんな放送が聴けることに気付いた。野球中継だった。

雑音の中から聴こえる野球中継に耳を澄ましてみると、大好きな中日ドラゴンズの試合をやっていた。そしてイニング間には名古屋の中古車ディーラーのCMが流れていた。
私は直感的に「あ!名古屋のラジオ局を聴けているんだ!」と思った。
これは面白いなあと思った。
今で言うとスマホくらいの大きさの安いラジオで300kmも離れた場所の放送が聴けるのだから。

私は普段聴いているラジオ局の間を狙っていろいろと聴いてみた。昼は全く聴こえないのだが、夜になると、ちょっとだけダイヤルを動かしただけでいろんな放送を聴くことができる。以前は雑音にしか思っていなかったのに、よく聴くと大阪の放送だったり、広島の放送だったり。海外の放送も聴くことができるのだ。自分の世界が広がった気がした。

その後入手したのが実業之日本社から発売されていた「BCLブック」。BCLファンの間では神のような存在とも言われる山田耕嗣先生が監修した本である。

先日兵庫県にある父の生家でこの「BCLブック」を発掘していたが、背表紙は取れボロボロになっていた。

表紙がなくなっており、BCLファンの間では良く知られているヨゼフ・ナジ氏の写真が表紙代わりになっている。
文化放送の紹介ページ。甲斐よしひろ、落合恵子、谷村新司、せんだみつおの懐かしい写真が。

この本は、日本国内の中波ラジオ局の説明が詳しく載っていてとても参考になったのだが、私は海外の短波放送で行われている日本語放送についての記事が気になってしまった。
海外から日本に向けて飛んでくる日本語放送の電波を受信する。何とロマンのある話だろうと思い、短波放送を聴く憧れが強くなってきた。

しかし私には短波放送を聴くラジオがない。「BCLブック」の巻末に掲載されているBCLラジオの紹介を見ると、一番安い、あまり性能の良くないものでも1万円する。中級機ともなれば3万円クラスだ。1970年代、庶民家庭にとっては、小学生に買ってやるものにしてはまあそこそこの価格帯である。

当時目星をつけていたラジオは、ソニーのスカイセンサー5900 (ICF-5900)。
デジタル式ではないが、機械的に周波数を読むことが可能なBCLラジオとして、ナショナルのクーガ2200と人気を二分していたラジオである。

スカイセンサー5900 (ICF-5900)

そこで私は父方の祖母におねだりをして買ってもらおうと作戦を立てた。私のことをかわいがってくれていたし、多分おねだりしたら買ってくれるだろうと思っていたからだ。
ただ、電話で言うのは恥ずかしいし親に怒られるかも知れない、だからといって直接お願いしに行くにしても、父の実家は兵庫県。お願いしにちょっとでかけてくる距離でもない。

そこで私は母に便箋と封筒をもらい、祖母に手紙を書くことにした。
手紙の文面は詳しくは覚えていないが、当時流行していたソニー製のスカイセンサー5900 (ICF-5900) に目星をつけていた私は、

「おばあちゃんへ
お元気ですか?ぼくは元気です。
ぼくは今、お金をためてBCLラジオを買おうと思っています。
買おうと思っているラジオは、ソニーのスカイセンサー5900です。」

みたいな手紙を書いたのだった。
今にして思えば、まるで「スカイセンサー5900を買ってください」と言わんばかりの露骨なおねだりレターだったわけで恥ずかしいことこの上ないのだが、とにかく母から切手をもらって郵便ポストに投函した。

手紙を送って3週間ほどしたある日。
私宛に小包が届いたのだった。祖母からだった。
正直、まさかこんな簡単にスカイセンサー5900が手に入るとは!と私はウキウキしながら包みを開けた。

スカイセンサー5600 (ICF-5600)

あれ?ちょっと違う…
祖母から届いたのはスカイセンサー5600という、5900の2世代前のラジオ。
確か3-4年前に発売されたラジオで、BCLラジオにしては受信できる短波の周波数帯がかなり狭いラジオ (3.9MHz~12MHz)であり、当然のことながら私の欲しいラジオ候補には上がってもいないものだった。

嬉しいやら悲しいやら。孫にプレゼントを送ってあげようと選んでくれた祖母に文句など言えるはずもなく。
一応短波放送も聴けるし、性能は今まで使っていたナショナルのポケットラジオよりはずっと良いみたいだから使っていこうと決め、祖母にお礼の電話をしてしばらくは愛機として使用した。

正確な周波数が読み取れないので、短波放送を狙い撃ちで聴くことは難しかったが、BCL雑誌などに書かれている番組情報を見て、北京放送とかモスクワ放送など、大出力の日本語放送は聴けるようになった。中波の国内放送も以前よりぐっと聴きやすくなって、それはそれは新鮮な経験だった。

ラジオの裏に外部アンテナを取り付けるネジがついていたので、部屋のカーテンレールにエナメル線を這わせ、より遠くの放送を聴こうとか、そういったこともやった。
ラジオにイヤホンを接続して寝ながら聴いていたら寝落ちしてしまい、寝返りをうったためにラジオがテーブルから落ちてポップアップ式のロッドアンテナが折れるという悲しい経験もした。
とにかく、小学5-6年生の頃はこのスカイセンサー5600で楽しいラジオ生活を送ったのだった。

BCLブックを購入したあたりからベリカードを収集し始めた。
受信したラジオの番組内容、受信状態、感想などを書いて「受信報告書」として放送局に送ると、その受信内容が正しかった証明としてベリカードというものを返送してくれる。
現在私のアメブロでベリカード紹介をやっているので、興味の湧いた方は1970年代〜1980年代あたりに集めたベリカードを紹介しているので見て頂ければと思う。(期待するほどの量はないけれど)

いずれ、このベリカード紹介をnoteに移植してくるかも知れない。


ということで今回はここまで。
次回は、私の人生で一番大きな出来事、そしてその頃のラジオ生活について書こうと思う。

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