地元の銭湯がサウナになったらしい話

すこしむかしばなし

2年前だったかな、高校から早く帰れた日があった。
暑かったのか寒かったのか覚えてないんだけど、帰る前に背中を流して湯船に浸かりたい衝動に駆られた。あの日は偶然タオルを2枚持ってたから、ビバノンロックを歌いながら近くの超々レトロ銭湯『龍城温泉』へ自転車をカッとばした。龍城ってのは銭湯の近くにある岡崎城の別名。余談だが、この由来について気になる人はお城横の龍城神社に訊いてみるといい。参拝者が少なければ隠しギミックのスイッチを入れてくれるかも。


超々レトロって何だよって?
建物がめちゃんこ古くて、目印はたっかい煙突なの。で、脱衣所のロッカーなんかは現存しない近隣店舗の広告が書かれてる。お湯はもちろん釜炊きで、常連のおっちゃんが浴室奥のドアから釜炊きのおばちゃんにもっと熱くしろって注文したりする(あれされると熱すぎて入れない)みたいな。ふたむかし前の古典派銭湯だね。ハァ~ビバノンノ!


んで銭湯に着いて、なんだか様子がおかしい。草が嫌に伸びてて、暖簾がかかってない。で、よく見たら「休業中」の札。アレーッ?
周り見てたら釜のところからおばちゃんが出てきて、「ごめんねぇ」って。話を聞くと釜が壊れて水漏れするけど修理が不可能でどうにもできないと。
設備を守るためにもおばちゃんたちが入る最低限だけは沸かしてるっぽいことは聞き出せたけど、全部水風呂が許容される世界線じゃなきゃ再営業はまず無理だろうなって感じだった。さらば岡崎の歴史、寂しい気持ちでいっぱいになりながら帰宅した。

ファンクラブが動いてるっぽい

なんかできないかなって調べていたら、龍城温泉ファンクラブなるものを発見。時々見学会なんかもやっていたようで、日程さえ合えば参加したかった。そんなこんなしてるうちに2年半も経ってしまった。2年半という月日は長くて、まだ隠れ名店っぽさが残っていたラーメン屋とかから揚げ屋がえげつい大行列店になったりした。あと治安の悪い観光客が増えたね。
いいことばっかりじゃなかったけど、ひとつの観光都市として新たな客層を取り込めるようになったことが龍城温泉の未来を変えた。これは今だから言えることで、当時は到底気付かなかった。

なんかできてる

𝕏Twitterを見ていたら、岡崎にさうなを作りましたーってのが流れてきた。は?そんな建物建ててたっけ?と見てみると、『龍城さうな』、な、なんだこれは、龍城温泉じゃあありませんかと。すげぇ。サウナって水風呂がカギを握るじゃないですか。お湯を沸かせなくなった銭湯が浴場として喜ばれるカタチで再生を果たしたんですよ。これは本当にすごい。
でね、内覧動画みたいなのを見てみたんですよ。サウナとして最新鋭の設備を備えつつ、龍城温泉が龍城温泉として残されてる。一目見て「うん、龍城温泉だね」ってなるように整備されてる。やみくもに意識高い系魔改造をしてるんじゃなくて、歴史と文化へのリスペクトを感じる。どこぞの旧型客車カフェとは大違い。そして外気浴スペースがまたすごい。釜炊きの空間が改装されている。銭湯を銭湯たらしめてきた心臓部がサウナに欠かせないスペースとして再生している。そんでこの入り口は常連さんがお湯もっと熱く!ってコンコンしてたあのドア!入れなかったちっちゃいドアに入れるようになってるの、普通にワクワクしますよね。男の子ってほんとこういうの好きだよね。そうだよこういうの好きだよ。
これだけでももう万々歳なのに、物販スペースには龍城温泉としての歴史も展示しているんだとか。
これはもう行くしかねぇなって。すっごいよ。これ。

っていうのをどっかに書きたくて書きましたよと。
それじゃまた龍城さうなで会いましょう👋


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