エフェメラル/一瞬しかないの振り付け

一瞬しかないというアイドルグループが好きなのですが、今年の頭に2年ぶりくらいの新曲が発表された。現在のメンバーでは初の楽曲。
タイトルからしてEphemeral=刹那の、儚いという意味で、まさに一瞬しかないというグループ名タイトル曲。

エフェメラルは音源リリースがまだな事もあり、聴くためには現場か配信でライブで観るか、ファンの方がアップする動画しかないのですが、わたしはライブでその振り付けの独特の感じに惹かれている。分析系のキモオタなので色々勝手に意味を読み込んでいたりする。

わたしがこの曲聴いて最初に思ったのは「ガンダムのOPテーマ…」だった。なんだその感想は、という感じだが、曲のキラキラ感が深遠な宇宙を感じるし、どこか物悲しい感じが戦いを避けられない人間の性(さが)を表現しているようで、割と本気で思っている。(そうなってくると現衣装の緑タータンはイギリスの兵士の軍服が由来らしいのでさらにこの衣装は戦闘服…、ということになるのですが)繰り返し現れる両腕を前で重ねるポーズも武闘家の構えのようにも見える。なおこの構えの時のメンバーの表情、すずめさんとなずなさんは切ないような表情、ハオさんと瞳子さんが不敵な笑みを浮かべる、という対称になってることが多いけど、変化もあるので注目ポイントだと思っている。

一瞬しかないの振り付けは手を繋いだり、見つめあったりする温かい振り付けが多いのですが、この曲はその対局にある気がする。あまり顔を合わせない。手を繋いで、という歌詞でも手を繋いでいない。天を指差し探しに行こう、と前向き歌詞のところで、すずめさんが悲しそうにふと後ろを振り返る。
サビの部分の舞のような振り付けも、届かないものに手を伸ばしたり、何かを拒絶したり、解放をしたり、見方によってはもがき苦しんでいるようで。

この振り付け、タイトル含め、個の集まりとしての一瞬しかないを表現してるのでは?と思った。前体制でメインだったトークコーナーでの寸劇が今はなくなり、どちらかと言うと個の力を押し出したトークが多い気がしている。”手を繋いで”で手を繋いでないと書いたが、ラストでは空と手を繋ぎながら、ひとりひとりが前を向いて歩いている姿に勇壮さを感じている。見えないかもしれないけれど、その手は誰かと、何かと、繋がれている手だと思う。

冒頭や途中で入る一瞬しかないポーズの変形がものすごくいい。何かに例えたいのだが、なんだろう、押し流されるようなビートの中で、それでも一瞬しかないの残留思念が刻み込まれているような。表の顔としてのアイドルグループのお決まりの挨拶決めポーズがインナーサイドという異世界に姿を変えて露出しているいうか。

まだまだ時間が経つごとに見方は変わってくるかもしれない。ハオさんがおもむろに最前に躍り出て言い放つカモンベイベー、構成された抽象的な世界観を唯一突き破るような異質なパートで、この曲に魂が宿る瞬間なのかなと思った。

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