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低調すぎるメンバーで力差は出るのか? #フェブラリーS 予想

 2024年のGⅠが遂に始まりました。今年は川崎記念が4月開催になったので、物凄く久し振りな感はありますね。

 一発目のGⅠはフェブラリーSですが、年を追うに連れ年々メンバーレベルが低くなっていると思います。10年前なんてウマ娘が3人居ますからね。今年は過去10年でもぶっちぎりの最低レベルで、GⅡぐらいのメンバーになりました。

 メンバーが弱くなっているのは、トップホースがサウジアラビアに行くからであり、昨年のパンサラッサが10数億円持ち帰ったのを見ても、色気付いてる陣営も多いと思います。加えて、現在の米国ダートは古馬路線が非常に低調で、より日本馬が荒らしやすい環境にありますからね。

 出走予定馬を見ても、レモンポップ、ウシュバテソーロ、クラウンプライド、デルマソトガケ、メイショウハリオと正に一軍。デルマソトガケは滅茶苦茶強くなっていますが、1年以上国内で走ってないですからね。もう日本語を話せないと思います。

 それはさておき、フェブラリーSがレモンポップを抜きにして二軍決定戦なのかと言われればそうなんですが、シンプルにダートマイルの路線的に弱過ぎるという注釈は入ります。というのも、ドライスタウト以外マトモに走れる馬が居らず、かつ突き上げも無い現状なので。

 エンペラーワケアやウィリアムバローズ辺りが出れば多少は面白かったのでしょうが、前哨戦の勝ち馬は不在、何なら2着のオメガギネスを除けば全て着外からの参戦と、予想させる気が無いような出馬表になってしまいました。

 昨年は既存路線のトップホースが上位を独占しており、4着のドライスタウトも含めて力通りの決着になりました。メンバーレベルの低い昨年でこれなので、更にメンバーレベルが落ちる今回も、力通り選ぶのが定石に感じます。

 昨年は適性で選んで大敗したこのレースですが、今年は昨年の選び方で考えようかなと。とはいえ、メンバーレベルが低いという点で、昨年以上に適性が出る可能性はありますし、その逆もあります。最低でも二択になるように、能力はしっかりと分析したいです。

 今回は足りそうな馬が多すぎたので全頭評価にしました。今年も、上から順に高評価の馬となっています。コメント量は少なめです。

各馬見解

キングズソード

余力:11
トップスピード:8
持続性能:9
追走力:8
スタミナ:8
機動力:8

総合力評価:95点(S+)
末脚評価:S

 今回の最高評価はキングズソードとレッドルゼルです。JBCクラシックのパフォーマンスレベルが高く、初の1600m戦とはなりますが、それと同程度に走れるのであれば、ここでは勝ち馬候補と推察します。

 トップスピードが速いタイプではありませんが、余力を確保する追走力が非常に高く、4歳秋にかけてじっくり育てて来た分強くなっています。全兄キングズガードと似た距離適性だと思いますが、兄の方は短距離を使われてきたように、初マイルでも楽しみは大きいです。

 東京大賞典はウィルソンテソーロの後傾ラップが災いし切れ味勝負で劣ってしまいましたが、ペース的には流れるフェブラリーSの方がJBCの再現性は高いと思います。持っている数字的にはトップなのではないかなと。

レッドルゼル

余力:9
トップスピード:11
持続性能:8
追走力:8
スタミナ:5
機動力:5

総合力評価:95点(S+)
末脚評価:SS

 マイルは若干長いと思いますし、明確に勝ちきれていない点は見受けられますが、数字自体は高値で安定しています。このメンバーなら最上位の地力でしょう。

 元々スプリントを使われているので一定レベル以上の追走力は有していますし、末脚質も高いです。前が止まるレースで真価を発揮するタイプで、イーブンペースでしっかり差してきます。北村友一騎手は末脚を引き出すのが上手く、今のこの馬のスタイルには合っています

 馬場の恩恵はあるとはいえ、1400mで持っている数字は圧倒的ですし、4度目の挑戦で悲願なんてことも十分に考えられるかと。馬鈴による衰えも正直感じたり感じなかったりの所なので、今年も厚めに狙うのがセオリーでしょう。安田師の引退に花を添えられるか。

ドゥラエレーデ

余力:9
トップスピード:8
持続性能:9
追走力:11
スタミナ:8
機動力:8

総合力評価:90点(S)
末脚評価:A+

 芝ダート問わず2000m前後に適性を持っていますが、芝だとスピードが足りないのかダートに照準を合わせ安定感を誇っています。ダートでも末脚レベルには疑問が残りますが、追走力という強力な武器があります。

 国内で芝ダート問わず最強クラスの追走力を持つレモンポップとデルマソトガケを2番手から追走して着内に残していますし、見た目以上に余力を感じます。実際、チャンピオンズCは前で残したのはレモンポップ、テーオーケインズ、ドゥラエレーデのみですし、追走経験が乏しいメンバーが揃う今回では有力に感じます。

 スピードレンジの観点では高く評価できないものの、走破時計を詰めるのに必要な追走力は魅力的です。ダート成績は複勝率100%とまだまだ底は見せていませんし、期待したいです。とはいえ、逃げ馬ありきの追走力なので、ドンフランキー次第という所でしょうか。

ウィルソンテソーロ

余力:10
トップスピード:9
持続性能:7
追走力:6
スタミナ:8
機動力:8

総合力評価:90点(SS)
末脚評価:S

 東京ダート1600mは2戦2勝、追込も逃げも出来る素晴らしい馬ですが、ここではどう戦うのかが考え所です。前述のように、チャンピオンズCは前残りというのは結果論で、前に居た馬が強く、追走力を有していました。中途半端な位置からでも追走にリソースを割き過ぎたので結果追込が通りました。

 東京大賞典は後傾ラップを刻んだように、完全に逃げたこの馬の作戦勝ちでした。勿論展開が向いただけとは思いませんが、JBCクラシックと東京大賞典の走破時計を比較すると、キングズソードやノットゥルノに比べ振れ幅が少ない事が分かります。ペースも馬場もより遅い条件で、です。

 要は、JBCクラシックでは追走負けしていたという事なのですが、果たしてGⅠ級のマイルでどう転ぶかというのは未知数な点があります。上に挙げた3頭は既に高いレベルで担保されています。勿論末脚は強力ですし、数字的にも最上位ではありますが、ある程度積極的に乗る松山騎手との相性も考えると、最高評価とまではいかないです。

ガイアフォース

余力:9
トップスピード:9
持続性能:10
追走力:11
スタミナ:7
機動力:8

総合力評価:85点(A++)
末脚評価:S

 初ダートではありますが、走れさえすれば最上位候補だと思います。85点はあくまで下限値。安田記念や天皇賞秋のパフォーマンスレベルを考えれば100点でも良いぐらい。

 非常に高いレベルの追走力とスピード持続性能があり、ピリッとした流れのマイル〜2000mぐらいでは高いレベルの走破能力を持っています。ダラっとした流れは得意ではないので、ペースが流れやすいダートマイルはベストの条件でしょう。

 キタサンブラック産駒は当然ウィルソンテソーロなどを輩出しており、牝系からもダートでよく走っています。初ダートという点を除けばあらゆる点で非の打ち所が無いです。爆発力はありそうですが、流石にピンがパーかという印象は否めず5番手評価が妥当です。

オメガギネス

余力:8
トップスピード:9
持続性能:7
追走力:4
スタミナ:7
機動力:5

総合力評価:85点(A++)
末脚評価:A+

 この馬はガイアフォースとは逆に、見える範囲の数字の上限値として設定しました。連対をキープしていますし、まだ底が見え切ったとまでは思わないので。

 1800mは至って普通のオープン馬という印象ですが、浅いキャリアというのを考えれば十分すぎるほど走っています。その上で、前々走のグリーンチャンネルCは圧巻で、ハマると力で圧倒できるだけの潜在的な能力には目を見張るものがあります。

 とはいえ、今まで楽な追走ができたのも事実です。これまでのレースはいずれも前傾値が低く、先行するにもそれなりに楽なペースだったのは事実です。今回はこれまでとは比べ物にならない速い流れになりそうですし、今まで以上に底力が試されるのは事実です。低調なのでアッサリ、というのはありそうですが、軸では買いづらいかと。

ドンフランキー

余力:8
トップスピード:11
持続性能:9
追走力:15
スタミナ:4
機動力:6

総合力評価:80点(A+)
末脚評価:A

 スプリントの逃げ馬というのはありますが、このメンバーだと群を抜いて追走力が高く、かつ2F目が10秒台で走れる事からトップスピードも非常に高いです。逃げ馬なので末脚性能は低く見積もっていますが、スプリントのカテゴリではリメイクと並び世界で戦えると思います。

 今回のメンバーなら流石に労せず逃げられると思いますが、この馬が飛ばして追走できそうなのは前述のガイアフォースとドゥラエレーデ、後述のペプチドナイルになると思います。キングズソードはやや怪しい辺り。先行〜中団辺りが想定される馬は正直切りになるかなと。

 展開の鍵を握りますが、この馬自身はマイルがどうかと言われると少し厳しそうな印象。他馬も正直合うかどうかで考えると疑問が残るので、飛ばして追走負けさせる利があるだけでも優位性があると思います。今回は抑えで狙います。

ペプチドナイル

余力:7
トップスピード:9
持続性能:7
追走力:11
スタミナ:7
機動力:7

総合力評価:80点(A+)
末脚評価:A++

 初のワンターンマイルとなりますが、これまでもスピードを生かしたレースが上手く、追走力も末脚も高いです。気性的な問題があり、逃げ戦法しか出来ませんでしたが、戦術に幅が広がりを見せて前進しました。

 兎に角揉まれるのが苦手で、内枠より外枠で好走が目立ちます。中枠奇数はベストとは言い難いですが、両隣が追込馬で、ドンフランキーまでの間に自分より前に行きそうな馬が居ないのはベスト。追走もそれなりに可能なタイプなので前に行き過ぎない程度なら追走負けは無さそうです。

 マリーンSの末脚レベルから考えるなら、中盤で少し緩むのが理想的なのでしょうが、弛まないペースでもしっかりと脚は残っているので、後はメンバー的に通用するかどうかという所でしょうか。

タガノビューティー

余力:8
トップスピード:9
持続性能:9
追走力:6
スタミナ:6
機動力:6

総合力評価:80点(A++)
末脚評価:SS

 出が悪く、追走する気が無いのか付いて行かないですが、追込む脚は目を見張るものがあり、東京コースで堅実に差しており、追走力が足りないメンバー的にチャンスがありそうです。前走は歴史的スローペースで何も出来ませんでしたが、少なくともドンフランキーの逃げなら見せ場はありそうです。

 能力的に足りる馬だとこの辺りまでになるかなという見立てです。それ以下の馬は力的に足りないので展開の助けが絶対に必要になるレベル。今オッズを確認していると、複勝5人気とかになっていたので正直買いたくないですが…

 この馬の最高出力はレモンポップの4着の根岸Sで、それを除けばここ3年ぐらい同じぐらいのパフォーマンスしか出せていないのは気掛かりです。そこまで走れば来そうっちゃ来そうですが、だてん打点を更新し続けている上位4頭には…という印象です。

イグナイター

余力:7
トップスピード:8
持続性能:6
追走力:10
スタミナ:6
機動力:7

総合力評価:75点(A)
末脚評価:A

 スピード能力を考えれば少し低く見積りすぎな感は受けますが、この辺りが妥当かなと。前走は展開に恵まれたとは思いませんが、今まで見せている能力的には特筆して高いパフォーマンスが出ている訳でもないので、大幅な更新が必要に映ります。

 追走力は高いので、内枠からロス無く前を追走し切れば南部杯の再現はありそうです。流石に後ろが何も出来なさ過ぎるのが前提なので、これに関しては望み薄な展開ですが。

ミックファイア

余力:7
トップスピード:8
持続性能:7
追走力:4
スタミナ:8
機動力:6

総合力評価:75点(A)
末脚評価:A++

 余力で差すタイプの馬で、無敗街道を進んでいる時はスピードレンジの違いで勝っていましたが、展開が前走で大敗してしまいました。恐らく馬場的に砂を入れ替えた新大井は向かないのでノーカンと捉えたいですが、追走力はまだまだです。

 東京1600mは恐らくかなり適しているコースですが、正直強くなり切っていない現状で他馬と同斤量は厳しそうな印象を受けます。来年、再来年辺りでもっと強くなっていると思いますし、翌年以降に期待ですね。

スピーディキック

余力:7
トップスピード:7
持続性能:6
追走力:8
スタミナ:8
機動力:7

総合力評価:70(A)
末脚評価:A++

 昨年6着の物差しで考えればもっと走れてもおかしくないですが、牝馬限定戦でもちょっと力差を感じるなという印象で、イマイチ勝ちきれないレースが続いています。

 この馬も余力で差すタイプで、かつ地方馬は追走力を上げやすい環境にあります。地方馬3頭はそれぞれ武器があり、中央勢と比べても遜色ない能力ではありますが、最高打点として劣ってしまっている以上は抑えも難しい現状かなと。

 3頭ともまだまだ強くなれると思いますし、また来年以降見直したいですね。

セキフウ

余力:7
トップスピード:9
持続性能:6
追走力:7
スタミナ:6
機動力:7

総合力評価:70点(A)
末脚評価:S+

 末脚レベルが高く、一発の魅力はあるのですがムラが激しいタイプで兎に角買いづらいです。エルムSやマリーンSが非常に高いパフォーマンスなのですが、普通にマリーンSでペプチドナイルに負けていることからも、あまり高く評価はできないです。

 大駆けするシーンも多いですが、普通に力負けのシーンも多いですし、GⅠではこれまで全て1秒以上千切られている点からも、ここは見送ります。展開は向きそうですけどね。

アルファマム

余力:6
トップスピード:10
持続性能:6
追走力:6
スタミナ:5
機動力:6

総合力評価:70点(A)
末脚評価:SS

 レッドルゼルとタガノビューティーを差し置いて、このメンバーでは最強の末脚を持っていると思います。完全に展開待ちになってしまいますが、夢を見るならこの馬といったような印象。

 初のマイル戦となりますが、まあ1400mの余力を考えたらそこまで問題は無さそうです。シンプルに数字が足りないのでどうかですが、それ自体は伸び盛りではありますので、一発がノーチャンスという訳ではないと思います。

カラテ

余力:8
トップスピード:8
持続性能:9
追走力:7
スタミナ:9
機動力:7

総合力評価:65点(B+)
末脚評価:A++

 ダートが合えば面白いですが、追走力はあくまで芝2000mカテゴリで出しているものなので、正直どうにも言えないですね。血統的にはダートで走れそうです。

 芝でも1600mはある程度噛み合わないと一線級とは戦えませんでしたし、馬鈴を増すにつれ2000mの方に良績が集中してきた点からも、適性が無いと難しいなという印象です。差す脚はあるのでこれも噛み合えば、という所。

シャンパンカラー

余力:7
トップスピード:8
持続性能:8
追走力:4
スタミナ:6
機動力:6

総合力評価:50点(C)
末脚評価:A+

 芝GⅠ馬ではありますが、まだ追走力が足りていない印象で、末脚レベルも高くなく、ここでは流石に厳しいといったような印象です。数字も最低レベルで休み明けですし。

 個人的に、ソールオリエンスに負けはしましたが芝2000mぐらいが面白そうで、流れるペースを経験させれば強くなりそうです。安田記念からぶっつけという点から見ても、全く推せないのが正直な所です。

予想・買い目

◎キングズソード
○ドゥラエレーデ
▲レッドルゼル
△ウィルソンテソーロ
☆ガイアフォース

予想軸
能力40:TB20:展開40

買い目
⑪ 単勝1点
④⑦⑪⑬⑭ 馬連ボックス10点
⑪-④⑬-④⑤⑦⑨⑩⑬⑭⑮ 三連複13点
※⑪ 複勝1点(三連複を買わない場合)

 展開としてはドンフランキーが逃げ、それにドゥラエレーデ、ガイアフォース、ペプチドナイル、イグナイター辺りが追走すると考えられます、その後ろにオメガギネス、という並びでしょうか。

 そもそも追走できなさそうな馬は前に付けた順で脱落していき、追走できた組と差す組での決着ないしそのどちらか一方での決着と読めます。追込の戦術を取るのはレッドルゼル、タガノビューティー、アルファマム辺りだと思います。

 本命は追走力、末脚共に高いレベルのキングズソードです。今年のフェブラリーSでは、ドンフランキーと追込3頭以外は取る位置が不確定なので、どこからでも競馬が出来る強みのある馬から狙うのがセオリーかなと思います。

 対抗は追走力に底を見せていないドゥラエレーデです。位置が取れるかどうかは疑問ですが、そこまでテンに苦労していた印象は無いですし、2〜3番手辺りが取れればどこまでやれるか見てみたいです。

 3番手評価にレッドルゼルです。力通り走るとは思いますので、引退する安田調教師のためにも頑張って欲しいです。次点にウィルソンテソーロです。普通に差しに回ると思いますが、先行するなら大敗もあり得そうなので、騎手の特性も加味した結果です。

 5番手評価でガイアフォースです。今回はどの穴馬をどの視点で狙うかという点で考えましたが、普通に上から選んだ方が期待できそうなのでこの馬でいきます。長岡騎手は16人気のケイティブレイブを持ってきた事もありますし、強気なレースに期待します。

 この目で買いに行っても良いですが、キングズソードの複勝が3倍も付いているので、三連複を削って複勝でも良さそうです。今年は現状の実力差をベースとして組み立てましたが、低調なレースは何が起こるか分かりませんから、外れても文句は言えないです。とはいえ、2024年の始まりは景気良く勝っておきたいのが本音です。

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