穴馬ギャンブラーともよ 第10話「追走力か、末脚か、イン突きか #マイルCS 予想」
予想・買い目
予想軸
能力40:TB30:展開30
今年のマイルCSは混戦という訳ではなく、上に挙げた4頭が明確に強いです。元々、ソングラインやソダシ、後はサリオスも含めたマイル路線では、シュネルマイスターの2021毎日王冠が一番強いパフォーマンスであり、この数字をシュネルマイスターが出せないという状況が続いていたからです。
この数字以上のレースは3つで、2023読売マイラーズC、2023安田記念、2023富士Sが数字としては最上位になります。斤量を比較した相対評価で2023京成杯AHも最上位のパフォーマンスになりますが、あくまで相対評価です。同レースにおける他馬のパフォーマンスを斤量比で大きく下げる必要があるので。
逃げるのは恐らくバスラットレオンかセルバーグとなりそうですが、宣言しているのが後者なのでそこになるかなと。セルバーグは追走負荷を上げて結果を残したタイプで、逃げ馬らしく、実力を抜きにした追走力では2位です。1位はビーアストニッシド。
直線の短い安田記念のようなレースとなりそうで、追い込むには抜群の末脚かコース利が必要です。京都伝統のイン突きですね。とはいえ、合流点付近を最内で走るような馬は春から見受けられないですし、コース改修によりイン突き自体が難しくなっている印象です。
内から2〜3頭目から直線でインを捌くという方法であれば、擬似的なイン突きは可能な印象ですが、それ自体は大外を回すより強いものの、まあ着順を大逆転させる神の一手になり得るかと言われれば難しいです。最後の決め手として着順を2〜3上げる程度なら問題無さそうなので、そこは気にしたい所。
それなりに追走力が求められるレースとなりそうですし、追走力が無い馬は、末脚のレベルは高い次元で求められると思います。1列目はこの4頭で問題無いと思いますが、2列目でしくじりそうな雰囲気ですし、本線として4頭の馬連から。トリガミがありますが、三連複で気になる目を抑えます。
以降は各馬の見解で。今回は10頭に評価を高く付けました。
各馬見解
セリフォス(◎)
超抜の追走力や末脚を持つ訳ではありませんが、非常に総合力が高いタイプで、過去10戦の内9戦が1600mになる中で、5勝、2着2回、4着2回と安定感を披露しています。
絶対的な余力のキャパシティを誇り、追走負荷を上げた今年の安田記念、昨年のNHKマイル、一昨年の朝日杯でも崩れていないように、自身の好走レンジが幅広く、かつこれらは古馬GⅠ、3歳GⅠ、2歳GⅠと全て基本的なペースが違う中での好走であり、馬自身も強くなっていると言えます。
スローペースとなった昨年のマイルCSでも、後方の大外から差し切るという、一番強い内容で勝っていますし、若干ではありますが、末脚が生きる内容になるとベストです。
懸念点は休み明けですね。元々は富士Sを使う予定でしたが、夏負けが延びてしまいスキップしました。中内田厩舎なのでそこまで気にする要因ではありませんが、その富士Sが非常にレースレベルの高い内容だっただけに、そこを使えていれば文句無しに評価できました。
また、ハイペースの先行は流石に余力以上に苦しくなるタイプだと思います。前述の先行時は好走こそしていますが勝ち切ってはいないので、勝ち切るには差した方が良さそうです。とはいえ、流石に現役のトップマイラーですし、ここでは最高評価を下します。
評価:95点(S+)
シュネルマイスター(○)
プログノーシスと並ぶ後半1000mのトップランナーです。前者はトップスピードはそこまでですが、こちらは今年の毎日王冠で見せたような高いレベルのトップスピードも持っています。
とはいえ長く脚を使うタイプなので3F単位ではそこそこの数字です。今年の安田記念も後半1000m55.6秒という圧倒的な速度で追い込んできました。キレがあるようにも見えますが、欧州血統らしく重厚な差し馬です。
走破時計も高いレベルで安定している事から、やはり国内GⅠマイルでは最上位層に位置している馬だと感じます。ここでも当然上位候補です。
懸念点はやはりネックすぎる追走力です。プログノーシスと違いそこを強化する事がほぼ無かった訳なので。昨年はスプリント戦を使って道中を改善しようという目論見でしたが、本番で掛かって終了とギャグみたいな事になりました。
結果、いつも通りの後方一気スタイルになってしまっている訳なので、まあ位置的にハイペースの負荷というのは低いですが、スローペースや先行馬のスパート始動タイミングで、前の脚が止まらない形となった際、いつもの差し損ねが見られる可能性は高いです。
コーナーが特段不得手ではありませんが、直線の短い=早仕掛けが起こりにくい京都コースの適性面も気になります。マイラーズCはギリギリでしたしね。マイルだと相変わらず諸刃の剣の評価、JCに出走して欲しい限りです。
評価:90点(S)
ナミュール(▲)
新興勢力その①
前走富士Sのパフォーマンスレベルが高いです。春は不利だけで負けたとは思いませんが、元々の高い能力に、ようやく追走力が伴ってきたと思います。
2歳時から良い上がりを使っているのでキレがあるタイプに思われますが、本質はスピードの持続力にあります。着順的に大敗しましたが、本来は桜花賞のような強気なレースが理想的で、早めに踏んでも途切れる事なく脚を使えます。
オークス時から追走負荷を上げるようなレースが続いており、レースラップもそういった流れになる中で、速い流れになっても余力を必要以上に消耗しなくなりました。ようやくピュアマイラーとして完成されてきたイメージで、そこそこの位置から弾ける事も可能なレベルに到達しました。
とはいえ右回りは外に膨れる面があるので、そのカバーは懸念点として存在しますし、よりにもよって今回は大外枠なので、早めにコントロールできる位置で競馬を行って欲しい所です。流石キョウエイマーチの牝系というのもあり、追走負けしたレースは一度たりとも無い辺り、ここでも高評価です。
評価:85点(A++)
レッドモンレーヴ(△)
新興勢力その②
高いトップスピード能力を持ち、負けはしましたがダービー卿CT、次走の京王杯SCで素晴らしい脚を見せてくれました。近走も崩れてはいないですが、脚は若干止まり気味なのは懸念点。
とはいえ、年明けから数字を上げ続けているのはまさに圧巻であり、絶賛成長中の1頭であると思いますし、GⅠマイルでまたパフォーマンスを上げてくれる可能性は高いと思います。
富士Sは高いレベルでしたし、スパートを遅らせる事の出来る京都競馬場は向くと思います。ナミュールとの斤量差を考慮すれば、同程度の数字は持っていますし、オッズ妙味を考えても、期待値はかなり高いと思う1頭です。
懸念点は追走力で、数字が出るマイルで妥当なラインの追走を図るには、もう1段階馬が強くなって欲しい所です。シュネルマイスターみたいに超抜レベルの末脚ではないですからね。あくまでキレ勝負。あとはゲートが悪いというのも中々に良くない点。そう考えると、高評価の馬は軒並み出し抜かれそうですが…
評価:85点(A++)
ソウルラッシュ
GⅡぐらいまでのクラスであれば常連中の常連なのですが、GⅠ級だとスピード不足で惜敗が続きます。前走59キロや前々走の57キロの好走を見ても明らかな通り、数字としては非常に高い水準にあります。
武器は末脚の持続力で、シュネルマイスター程では無いにしろ、最後まで衰えず脚を使う事が可能です。また、道悪にも強い馬で、今の京都のインは荒れていますが、ロス無く運んで力押しも可能には映ります。
とはいえ、これで安田記念は惨敗、マイルCSは惜敗している訳なので、明確な理由は幾つもあります。1つはスピード。京成杯AHの時計が速いので誤認されがちですが、今年の安田記念や富士Sを1分31秒台で走破する能力はこの馬にはありません。今までのレースから見ても明らかですが、トップスピードが明確に遅いですね。
これを更に助長するのが追走力の低さ、というより追走負荷を上げていないレース内容に問題があります。抜群に速い上がりは使えないが持続する馬であれば、追走レンジを上げてしまえば解決しそうなものですが、マイルで連勝してからこの馬は、抜群に負荷を掛けた追走を行っていません。
一応3勝クラスの水準ではありますが、それなりの追走はできているんですよね。今回は先行が絶対条件。普通に差すなら内馬場の痛み具合。こういう「力を発揮するにあたって外的要因が絡む馬」は私はそれなりに毛嫌いしている節があります。ペースは緩んだ方が良さそうですが、内で動けないとそれはそれで困ります。
評価:80点(A+)
バスラットレオン(☆)
謎すぎるローテで滅茶苦茶人気していないですが、まあ芝マイルだと一線級です。そもそもこの馬の国内最高パフォーマンスはダートの武蔵野Sであり、海外を含めてもダートのゴドルフィンマイルです。
とはいえ、芝が走れないという訳ではなく、サセックスSではBaaeedに0.6秒差ですし、1400mの阪神Cも良い着順になっています。ハイペースに強い訳ではありませんが、非常に持続力に富む馬で、出たなりの脚を維持したままゴールまで一定の失速率に保つ事ができます。
自身が一番強いレンジで走るには逃げるか番手でペースを守るの注文は付きますが、サウジアラビアの1351ターフスプリントも時計が速いですし、恐らく京都マイルであれば熟せるレベルにあると思います。
流石に位置取りの労力を加味しても末脚質は微妙ですが、後述する中距離馬はその追走を10Fで出しているのに比べ、こちらは7〜8Fで出している点が優秀です。人気以上に走りそうなので狙いの穴馬ですが、まあ頭を取るかと言われるとそれまでですね…
評価:80点(A+)
ダノンザキッド
後述のソーヴァリアントも含め、この3頭は追走力の高さが目立ちます。掛かったレースなどはさておき、追走負けしているシーンが見当たりません。昨年の香港Cは、日本馬が圧倒的に追走負けする中Romantic Warrior相手に2着まで差し込んでいます。
今年の大阪杯も終始外を回しながらの3着は立派で、追走レンジから考えても、2023安田記念4〜6着相当の実力はあると見ます。とはいえ、この2レースは負けているというのは念頭に入れねばならず、マイルCSも好走こそすれ絶対に勝てない内容なのも、スピード能力には一抹の不安があります。
外回りであれば問題は無さそうですが、コーナリング性能にも若干の不安があり、コーナーで消耗するレースは今年のQE2世Cのように、見せ場無く終わってしまうケースが多いです。また、ゲートも悪いため再審査を食らった経緯もあります。
定期的にあり得ないレベルの大敗をするように、ムラも激しいタイプですし、2022安田記念の際は、最終坂路の調整パターンをベタ褒めして秋に結果を残した経緯がありますが、久々にCW調整なのも気掛かりです。まあ寒い時期の方が強いので、今年もそれなりには走って来そうですが。
評価:80点(A+)
エルトンバローズ
目下4連勝中、倒した相手にシュネルマイスター、ソングライン、レーベンスティールと格だけ見れば相当です。とはいえ数字はまだまだ。
とりわけ強い数字を持っている訳ではありませんが、未勝利から段階を踏んで強くなっています。毎日王冠の数字は過去5年と比較してもかなり低調ですが、それでも勝ち切った内容自体は評価するべきで、ここでもさらに一段階上げればという所ですが、それすらもこなしてしまいそうな雰囲気があります。
トップスピードの質を見るに、どう見てもマイルは荷が重く、来年の大阪杯で楽しみがあるような馬ですが、この中でガンガン内を使って全く問題が無いのがこの馬なので、展開利を得るという観点では相変わらずトップレベルにあります。
杉山調教師が、ジャスティンパレスと併せ馬をするにはこの馬ぐらいしかというレベルで、やはり自力の部分で大幅な強化が見られるのはポイントです。ただ、追走負荷を掛けたレースは今まで少ないので、そこで結果が出るかどうかはかなり運次第になりますね。2勝クラス以上の水準のマイルは未経験な訳なので。
評価:75(A)
ジャスティンカフェ
かなり質の高い上がり3Fの速度があり、OPに上がって以降はクラスを問わず堅実に差してくることが可能な馬です。大負けもしていませんが勝ち切れてもおらず、GⅢ以下であれば力押しも可能ですが、上級条件になると脆さが出てしまいます。
この馬に限らずエフフォーリアやモリアーナにも言える点で、どうにも脚を一気に使ってしまう傾向にあります。上がり最速を出しているにも関わらず差し返されるケースが多く、最後の減速率が非常に高い点で、上級条件だとかなり難しい脚質でもあります。エピファネイア産駒はこういう傾向にあるイメージです。
直線が短い京都外回りであれば直線だけ頑張れば良いという、紫苑Sでモリアーナを対抗にした時のような予想も出来なくはないですが、この馬は追い出しを遅らせる事が出来るほど追走力が高くありません。毎日王冠2着時はそれなりの追走ができていますし、大体最後方なので追走負けはしていないですが、前に行ってダメという訳では無さそうではあるものの…
昨年のようにインを捌いてくるのが理想ですが、自分より前であまり強くない馬がインにいるというのも捌きづらいです。ソウルラッシュの後ろ辺りを確保できるなら。
評価:75点(A)
ソーヴァリアント
ダノンザキッド同様、追走力に優れた馬でセルバーグやビーアストニッシドを引くと、上位5頭(上からバスラットレオン、ダノンザキッド、ソーヴァリアント、ナミュール、レッドモンレーヴ)には入ります。
セントライト記念、2022チャレンジC、札幌記念のような非常に負荷を掛けた追走でも安定して成績を残しているように、前走富士Sでも流れたマイルの追走で脚を安定して使えていました。とはいえトップスピードは中距離質で、マイルでガッツリ差すのは向かない印象です。
とはいえ、定期的に信じられないレベルの負けになっているように、気性的、体調的な問題が常に付き纏うのがこの馬の特徴です。どうやら馬群がダメな印象で、揉まれるよりは外から強引に押し切る形が強いです。
正直な所、セリフォス(も気性的な問題はあります)以外は安定して買い要素が無いというのがありますし、信頼できる追走力や末脚をベースに考えるのが良さそうです。富士Sの際は末脚のレベルを考えて、阪神や京都のマイルが向くと発言していましたが、東京マイルよりは向くはずです。負荷は上がりますが、もう一列前で競馬できればという所でしょうか。
評価:75点(A)
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