最強とは才覚か・王道か・覚醒か・復活か #有馬記念 予想

 
調教評価・枠順分析

ボルドグフーシュ:A++
タイトルホルダー:A+
ヴェラアズール:A+
イクイノックス:A+
ジェラルディーナ:A+
ディープボンド:A+
ジャスティンパレス:A
アカイイト:A
ウインマイティー:A
ポタジェ:A
エフフォーリア:A
ボッケリーニ:A
ラストドラフト:A
ブレークアップ:A-
イズジョーノキセキ:A-
アリストテレス:B-

 冬場という事もあり、臨戦過程が身になっている馬の方が調教は良く見える。一番手はボルドグフーシュで、菊花賞の激走は全く感じさせないどころか、更に身が入って走っている雰囲気がある。イクイノックスは良いんだが前進気勢を感じる走りで、ルメール騎手が馬のメンタルをどう持っていくかが鍵となる。ディープボンドやジェラルディーナは比較的リラックスして走れており高評価。エフフォーリアはやはり絶好調時と比べると劣るもののまあここから上り調子になるはずなのでここを使ってどうかという所。
 ポタジェは悪くないが少し間隔が空いた分物足りない。アカイイトは上向いているが絶好までとは言い難い、とはいえ昨年の有馬より上で出走できそう。アリストテレスは奇策でも取りそうな不気味な雰囲気を感じる。悪くはない。ウインマイティーはやはり良い状態。ヴェラアズールは前走を100とするなら90〜95ぐらいでは出られそう。上積みこそ考えにくいが出来は殆ど落ちていない。

 今回の枠順は内枠差し馬と外枠先行馬という並びになった。内はロス無く立ち回れるが直線の短い中山コースで差し切るには位置を上げる為に外に出すロスが生じる。外は前に付ければ距離ロスを防げるが、ハイラップを刻むであろうタイトルホルダーに付いて行く形となり、消耗度合いも激しくなる。内ラチ沿いを取れなければ距離ロス以前に追走負けしてしまう。
 ゲートを出る馬はタイトルホルダーとイクイノックスが居る。最も有利なのは勿論イクイノックスだろう。取りたいポジションは超高確率で取れるだろうし、何なら内枠8頭より前で競馬もできるレベルにある。とはいえ、タイトルホルダーのペースの兼ね合いもあるので下手に先行すれば丁度良い目標にされて終わりとなる。この枠なら下げる訳にもいかない。
 もっとも有利となるのはインの5〜6番手で、おそらくイクイノックスが取るだろう。とはいえタイトルホルダーの消耗戦に巻き込まれるギリギリのラインである事は確か。立ち回り-ペース消耗が余力に繋がる。差し馬が狙いたいのはイクイノックスの真後ろ。アリストテレスがかなり前を取るならその後ろでも良いが恐らくイクイノックスをガンマークした馬が馬券に必ず絡むと思う。
 ディープボンドはタイトルホルダーをガンマークしたい所だが、ボッケリーニとブレークアップが余りにも邪魔すぎる。フリーにしたらどうなるかというのは想像が付きにくいが、後方各馬が瞬発力勝負となる可能性が高く、そうなればイクイノックスやヴェラアズールがガッツリ伸びて来れる条件となる。状態は分からないもののエフフォーリアが得意としている条件はこれなので、エフフォーリアは自分の走りをする前に、ディープボンドがタイトルホルダーに絡まないのを祈る事からレースが始まっている。
 鈴を付けに行った場合は消耗戦となり、抜群の瞬発力を見せて来た2頭には厳しい条件となり得るが、菊花賞組やエリ女組が有利な展開となるだろう。エフフォーリアはヴェラアズールよりは前だろうがペース次第でどうなるかという点がある。スローの方が望ましいのは明らか。アスクビクターモアは前傾時のタイトルホルダーに似たレース内容で性能も勝るとも劣らない。これを経験できているジャスティンパレス、ボルドグフーシュは消耗戦でこそ活躍の機会があるだろう。
 面白いのはジェラルディーナ。有力馬が望むペースが何であれ立ち回りを変えて来ている。スローなら内で溜めて動けるし、流れても外を回してタフに伸びて来た。この自在性は明らかにこのコースでは脅威。狙って紛れるという、まさに手品師のような操縦性と馬の性能がある。

 メンバー考察をすると、今年の古馬中長距離GⅠの勝ち馬が全頭顔を揃えているという超豪華メンバーである。その中でも、同じレースを100回やって100回勝つ馬が3頭存在する。イクイノックス、タイトルホルダー、ジェラルディーナである。この3頭はあくまでその相手関係での限定ではあるが、GⅠを格上として勝っている訳で、ここでは最有力候補として考えたい。
 イクイノックスはハイペースを超スローで追っかけながら差し切るという異次元の末脚を見せた。どう見ても余力が有り余っており、もっと数字は詰められるはずだし、本来ならパンサラッサが逃げ勝つ唯一のパターンであった。あの展開ではブエナビスタが3着に敗れたエリザベス女王杯のように差し届かないケースが殆どの中、あれで着差を付けて勝つんだからどう転んでも勝っていた。
 タイトルホルダーは天皇賞春や宝塚記念をスタミナで圧倒した。ステイヤーがバテバテになる中脚を使って勝つんだから往年のオルフェーヴルとかキタサンブラック級の超レベルのパフォーマンスを見せている。阪神競馬場で付けた着差は15馬身近い。しかもGⅠしか走っていない。長距離のカテゴリーではない頭3枚抜けている。
 ジェラルディーナはトラックバイアスがあったとはいえ着差が強すぎる。ウインマリリンは後に香港ヴァーズを先行策から一転後方一気で勝つレベルには状態が良く、これを並ぶ間も無く突き放しているのだからレベルが違う。覚醒したのか元々はこのレベルにある馬だったのか、最終判断には困るものの、力が違ったのは確かである。
 他は展開や枠順でどうとでもなる相手関係であるし、今回はこの3頭を軸に予想を組み立てていく。

予想・見解

◎ジェラルディーナ
 有馬記念に求められるのは機動力とパワーである。純粋な力比べでは2強に劣る可能性もあるが、近2走はトラックバイアスの有利があったとはいえこれまでとは別馬レベルの性能を発揮しており、まだ上がり目があって良い。内を器用に立ち回る機動力、外を豪快に捲り差すパワーを追走レンジを上げながら完勝というのは非常に評価できる。
 前走2着のウインマリリンは明らかに最高潮の状態でのパフォーマンスだったし、事実後に香港ヴァーズを勝っている。そこを加味した数字を考えればメンバー中でも相当のレベルにあると言える。特筆すべきは、トラックバイアスを味方に付けたとはいえ全く違う内容のレースをしている点。オールカマーでは内で溜めて瞬発力を活かし、エリザベス女王杯では外をスムーズに回し持続力を活かした。鞍上のフィーリングがそのまま馬に伝達される操縦性は絶対に有馬で生きてくる。気性面と距離適性に疑問は残るが、やはりプラス材料が多いのも事実。

○イクイノックス
 今年に入ってからずっと世代最強を言い続けている馬で事あるごとに相手として選んでいるが今回は対抗に。前走の勝ち方を見るに府中なら現役最強を謳っても良いが、中山ならタイトルホルダーとどっちが上かはまだ未知数。それでも着実に完成形に近づいており、馬体は恐らく500キロが完成の目印。それでも自在性のある脚質に異次元の直線性能に高いスピードレンジで長く走っても全く崩れないスタミナと正直やりたい放題な能力。枠の並びを考慮すれば内枠各馬は全くスタートが早くなく、この馬はゲートを出る馬なのである程度の位置を取れるしそのまま押し切れる。
 ただ厄介なのはあまりにも内枠に出が悪い馬が多い事。下手にインの5〜6番手を取ったらすぐ後ろにジェラルディーナやヴェラアズール、ボルドグフーシュを入れられた場合競り負ける危険がある。待てば内ラチは取れないので取り切った後でリズムを重視する乗り方になるだろう。とはいえ、常に最高水準で走り続け、かつ内容を格段に上げ続けている馬が容易に負けるとは考えにくく、熱発で香港を回避した後に惰性で出てきた同枠のアーモンドアイと比較しても臨戦過程的に連対は外さないように思う。

▲タイトルホルダー
 昨年は大外枠に加え道中が緩んで直線勝負となってしまったが、この1年で大きく成長し現役最強馬として確固たる地位を確立した。菊花賞や春天は正直ノーマークという点もあったが特筆すべきは宝塚記念。自身の追走レンジが最速になりながら余力を残して2番手から圧勝。まあこの2頭が明らかにレベルの違う力を持っているのは明らかではある。別に大外でも逃げるので距離ロスは無い為この馬は状態そのものが明暗を分けると言える。1戦ごとに内容を上げるタイプで、前走こそ案外だったがここでも更に強くなっている可能性はあり、やはりこの馬も連対を外すとは考えにくい。
 とはいえ、今回は単騎逃げでありカテゴリー的にはまだ距離が持つ馬が多く、無警戒に中弛みのペースを入れてしまったらラストが直線勝負になる可能性がある。追走各馬を消耗させる逃げ、まあ正攻法のスタミナ比べであれば負けすら考えにくいが。ロングスパート戦にするにしたって道中で相手の余力を削る必要はあり、ペースをどうコントロールするかに注目したい。菊花賞では自信の本命を打ってそこから妥当めな評価は毎回下しているが、この馬は常に自分の想像を超えてくる。楽しみ。

△ボルドグフーシュ
 菊花賞のレベルは非常に高く、長距離適性と地力の差が如実に現れてしまった。馬場差はあれど、記録したレコードタイムを2500mに換算すると2:32.0となり、例年の勝ち時計以上の水準となる。この馬は機動力が高く脚を長く活かす競馬が上手いのだが、注目したいのは前走のラップタイム。菊花賞は異例のハイペースで、1000m通過時点では、今年の最後方の馬が去年では4〜5番手に居るレベルでレースを進めている。勿論アスクビクターモアが仮想タイトルホルダーとして走れたのも大きいが、それ以上に自身の追走レンジを相当なレベルに上げている。それでも内容を上げて来れるのだから成長度を加味すれば2強に噛み付ける可能性はゼロではない。
 思えば京都新聞杯でこの馬もレコードで、消耗戦に強いタイプなのだろう。取りこぼしが少ない脚質なので勝ち切れないのは仕方ないが、それ以上にスタートが悪すぎる。福永騎手に替わるのは明らかにプラスだし、輸送と疲労度以外で減点する要素が全く無い。

△ジャスティンパレス
 神戸新聞杯がコントレイルと同水準なので比較すると、機動力と勝負根性はコントレイル並の劣化コントレイルである。言い方が悪いものの、それはあくまで天皇賞秋やJCを想定した際の話であり、有馬記念であればコントレイルが出たと仮定してかなり近い数字に迫れるのではと思う。枠の並び的に近2走のようにインを使ってという内容は難しいが、それはあくまでインから捌くのが上手い鮫島騎手の話、マーカンド騎手は馬をしっかり動かすことができる騎手だし、内2頭目ぐらいの追走なら問題無く力を出し切ってくれると信頼できる。タイトルホルダーのラップは未知数なものの、ディープボンドの後ろに付ける形で好位を取り切ればどういう局面でも大崩れは無いと信じたい。
 とはいえシンプルな実力面としては一枚劣る印象で、底力比べの勝負になると弱い面を見せるのも事実。充実一途の秋に金星なるかだが、春からの成長分を考慮してももう一歩推す材料が欲しいとは思う。

×ディープボンド
 今年はワンチャンあるかと思えば地獄枠。しかもタイトルホルダーをすぐにマークしに行きたいのに格下のボッケリーニとブレークアップが邪魔すぎるという何とも残念な形。鞍上も変わった事で新味を見出すしかない。タイトルホルダーに鈴を付けなかったレースは2回、昨年の有馬記念と天皇賞春になる。今年の天皇賞春では完全敗北を喫した訳だが、単騎逃げでペースが緩むかどうかは運次第みたいなところはある。まあどう転んでもマークするかどうかだろう。マークしないならこの枠で内ラチが取れるとは思わないし、単独2番手で引っ張る形の方が理想。欲を言えば後続の追走に脚を使わせてマッチレースに持ち込みたい。
 確かに枠は最悪だがスタミナを活かした脚質の自在性があるので距離ロスもそこまで無いだろうし、ロスがあっても最後まで伸びるので極端な大崩れは無いはず。勿論勝ちに行って玉砕する可能性こそ内包しているが、それは仕方の無いことで、この枠からどうレースを運ぶか楽しみで仕方がない。

×エフフォーリア
 馬体に関しては一旦ノーコメントで。この馬の特性は2走の惨敗で明らかになった。追走能力である。勝ち方が鮮やかなだけに分かりにくい点ではあったが、良いパフォーマンスをしているレースでは必ずと言って良いほどこの馬が息を入れるタイミングがあった。大阪杯、宝塚記念の地獄ペースで削られてしまったのが大きいと見ている。その点で距離が伸びる事自体は大きくプラスと見て良いだろうし、鞍上も追走に脚を使って伸び切れていない事実は把握している。皐月賞や天皇賞秋みたいな好位から圧倒するレースは、タイトルホルダーをはじめとしたハイラップを刻む逃げ馬相手には全く歯が立たなかった。いっそのこと追込に転じるなんて事も。
 元々の性能は高く、機動力に直線性能もある。現状の負け方が続くのであれば何か新味を取り入れるしかない。イクイノックスの真後ろは普通に取れる馬だと思うが、どうレースを進めるか。消耗戦になった際にまた負けるのかそれとも伸びてくるのか、真価が問われる一戦となる。復活するには土台が足りないので抑えが妥当。

☆ヴェラアズール
 消しと激走は表裏一体で、この馬は正直消しレベルにあるが、激走もあり得ると見ている。芝の長距離で安定した成績を収めているが、その実は条件戦からの延長線上でしかなく、スローペースの持続力のある上がり勝負で好走している。勿論それだけの馬がGⅠをポンポン勝てる訳が無いのだが、あれだけダートで行き脚が安定しない馬が芝中距離の後方一気で結果を出すという事は、元々の追走レンジが高くなく、ゆったりと構えて直線で余力十分に走る競馬が向いているというところにも繋がる。勿論中山コースで捲りも出来る馬だとは思うが、エフフォーリア以上に器用な馬だとは思わないし、本質はエフフォーリアと相当似ている馬なんだと思う。
 大前提としてスタートが早くないのがマイナス材料。その上掛かる馬でもあり言ってしまえば勢いと上昇度を加味しても3歳時のエフフォーリアと同等レベルの性能の馬。それを超えて来たタイトルホルダーやイクイノックス、余りにも上昇度が高いジェラルディーナや3歳勢と比較すれば、やはり格こそあるが一枚落ちる印象。元々詰めて使える馬じゃないし展開が向くかも疑問。取りたい位置が取れるかという疑問もあるし中3週のJC→有馬は基本的には飛ぶイメージしか湧かない。

買い目

単勝・複勝:⑤
三連複:⑨-⑬-①②③⑤⑥⑦⑨⑩⑫⑯
三連単軸2頭ながしマルチ:⑨⑬-③⑤⑥⑩⑯

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