勇士相手に真っ向勝負 #安田記念 全頭評価
レース展望
安田記念は力勝負になりやすいレースとなり、今年はそれに加え香港のチャンピオンホースの参戦。極端なスローペースとなった2022年を除けばまずまず標準的、ないし苦しい流れのラップが刻まれやすいため、純粋に力が反映されやすい背景があります。今年は雨の影響で道悪になるとは思いますが、本質は時計勝負となる点は否めません。
先にXでも述べましたが、想定理想値タイムは以下の通りとなります。馬場の速さは2024日本ダービーと同程度(2023安田記念と同程度)と仮定しました。
週末は雨予報となるためこの時計が出る事は無さそうですが、勝利水準は1:31.6を切る7頭辺りになると思います。馬場状態が悪化してもこのタイム順が変動する事はありません。ペースが遅くなった際は他馬の上昇があっても良いとは思いますが、ウインカーネリアンもドーブネもそれなりに速いラップを刻む逃げ馬なので、極端に遅い流れというのは考えづらいです。ウインカーネリアンの好走水準は前半45.8秒-後半45.8秒のイーブンペースであり、それより速いのも含めた速さのラップであれば概ねこういう時計の水準になると思います。
ペースが遅くなる可能性だと、ウインカーネリアンが取り切ってドーブネが完全に引いた場合とその逆、あとは前者が出遅れた場合ですかね。2頭が競り合う形が続くと56秒台で流れる可能性まで考えられます。ただ、この2頭は強気なラップを刻んで好成績を残した馬ですし、ペースはそれなりに流れると考えています。末脚に自信のあるナミュール、フィアスプライド、レッドモンレーヴ辺りは決め打ちも有効打かもしれません。近年でも追走力の高いメンバーが揃ったため、ガチンコのGⅠマイル戦になりそうです。
馬場状態が不明の為、具体的なタイムも含め前日に予想稿と共に追記しようと思います。
2024-06-02 11:30 追記
雨が降るので日曜朝に追記となりました。ここから雨が降ると思われるためもう少し遅くなりそうですが、土曜と今朝のレースとで比較しても日本ダービー時のタイムより更に時計が出るコンディションです。ガイアフォース基準で1:30.6、ペース次第ではありますが天皇賞・秋以上のパフォーマンスが出れば想定タイムはレコード更新とします。前述の想定タイム一覧からは0.2〜0.3秒程度速い馬場。雨の影響を考えても想定から0.5秒以上遅くなるとは考えにくく、ほぼ想定通りの時計が出ると思います。こうなると好走する馬は完全に限られている状況。速すぎる馬場ならセリフォスやレッドモンレーヴは上昇しそうです。
各馬見解
ガイアフォース
先にXで述べましたので、見解は下記に概ね記載しています。昨年の天皇賞・秋においてガイアフォースと同程度の位置で先行した馬はイクイノックス以外全滅しており、高いスピードレンジが可能とする抜群の追走力を持っています。1:30.9のタイムは天皇賞・秋の指数値をそのまま転用した値で文字通りの理論値。思えばハイペースの菊花賞も適性距離でない中踏ん張っていましたし、ほぼ全馬がオーバーペースだったフェブラリーSにおいても相対的スピード優位となる余力は残っていました。距離や芝ダート問わず流れるレースを経験しており、追走経験の中身が非常に濃いです。自力勝負はできますが逃げる訳ではないので、逃げ馬ペースに左右される側面はありますが、ガチンコの時計勝負には滅法強いタイプ。良馬場、ないし想定より1秒前後しか変わらない低速度であれば本命候補です。ただメンタル面で走らない時もあるのでそこは要警戒。
ロマンチックウォリアー
流石のチャンピオンホース。2024年現在、世界最強の10Fランナーで全く隙がありません。このレーダーチャートを作るにあたって参考記録としてイクイノックスを作りましたがトータル72点。トップスピードに下の補正を入れた上で60点台なので、総合力はマイルでなければ100点が出る水準になるかなと。勝負根性に優れているのもそうですが、特筆すべきはその余力にあります。2022年香港Cは逃げたパンサラッサが沈むほどのペースで、それを割と楽に追走してぶっちぎっていました。200m11.4秒前後の走破で8Fぐらいならこなせそうです。トップスピードがあまり高くなさそうなのと、スパート時に最後の減速はそこそこある馬なので、ペースはやや流れてくれた方が走りやすいですが、本馬自体は逃げ馬の1000m通過が57秒後半を超えてくると日本馬がスピード優位になりそうですが、今年のメンバーならまあ流れるでしょうし、シンプルに上位候補でしょう。気になるのはコックスプレートで左回りコーナーを追い通しだった点。高松宮記念のビクターザウィナーもそうですが、右回りが基本となる香港馬において、左回りは基本的にプラスとならないと思います。追走力は高いですが中団からの競馬になるケースが多く、ゲートボーイを付けられないのもややマイナスかなと。それでもこの評価は下限値。やはり力では圧倒しています。
ナミュール
マイルだと非常に高いレベルのパフォーマンスを出しており、メンバー中でも数字はトップ。かつ、マイルCSでは圧倒的な末脚で差し切り、富士Sや東京新聞杯では負荷を掛けた追走で鍛え上げられました。ヴィクトリアマイルほど相手と力差が開いているという訳ではありませんが、実績も含めてわずかに抜けていると思います。マイルCSの差し切りを見る限り決め打ちでも良さそうです。ただ、強くなった背景として追走経験を積ませて鍛えた事が挙げられ、比較的緩い流れの昨年のVMと安田記念では普通に走れていないため、スローペースよりは流れた方が走りやすいタイプ。上昇はあると見ていますが、結構頻繁にポカをやらかす気性なので期待しすぎると痛い目を見そうですし、馬券的なサブプランは用意しておきたいです。
ソウルラッシュ
上がりの脚が速くないタイプで、昨年の安田記念まではゆったりとした流れのレースが続いていたため、大舞台で結果を残せませんでした。昨秋からは速い流れが続いた事で持ち味を発揮し、追走力も高いレベルで安定するようになっています。香港マイルは後手を踏んだ事で最後まで捉える事は出来ませんでしたが、前が流れそうな今回は条件が好転。モレイラ騎手には強気なレースを期待したいです。前走のマイラーズCは6歳にしてキャリアハイのパフォーマンスですし、悲願のタイトルを奪取して欲しいです。改めてマイラーは良い世代ですね。
レッドモンレーヴ
極上の末脚を持っている馬で、そこまで流れてない京王杯SCを2年連続で後方から差しています。前走は些か急激にスパートしたため最後は止まってしまっているのですが、もう少しなだらかに加速すれば楽に差し切れていた可能性はあります。反応が良すぎるので乗り方一つでどうこうという訳ではありませんが、それでもトップスピードは相当のもの。マイルだとやや力勝負のレースが続きイマイチ結果が伴っていないため、横山和生騎手には思い切って最後方からレースをして欲しいです。
ヴォイッジバブル
香港マイルは緩い流れでナミュールやソウルラッシュを完封し、高いトップスピードを見せ付けました。ゴールデンシックスティには及ばずとも、日本馬を直線のスピード比べで下したのは純粋に評価できます。日本馬向きの流れで彼らを倒した以上、この馬もまた香港勢として侮れません。ロマンチックウォリアーとワンツーになった2024香港ゴールドCでは3着以下を引き離していましたし、余力の絶対値は日本馬と比べてもやはり上位です。あまり流れが速くならずとも、中盤が緩むような流れとなっても要警戒。
セリフォス
理想値タイムの1:31.6は昨年の安田記念、マイラーズCの水準で考えています。昨年の安田記念は斤量分きちんと強くなっていましたが、今年のマイラーズCは安田記念と同程度の水準。昨秋からは噛み合ってなかった部分もあったので、立て直した側面は勿論あると思いますが、成長しているナミュールやソウルラッシュと比較すれば少々パンチ不足。行くと良さは出ないので差す形が良いと思います。真っ当に成長しているのであれば勝利まで見えますので、最低でも相手には抑えておく必要があるのではと。
勝利圏内はここまで。
ステラヴェローチェ
負荷の高い消耗戦に強く、2歳時から耐えるペースで走り続けた追走経験はここでも脅威。トップスピードはそこまでですが、後半1000m単位ではしっかりとした脚を使うことができ、ペースが流れれば上位入線も可能かと思われます。マイルでガチンコのスピードレンジには無いため、前半1000mを57.5前後で走破する形で力勝負をしに行くのが好走基準となりそうです。ゲートは速くないので前は取れなさそうですが、ほどほどの位置から勝負を仕掛ければ、ないし全馬が苦しい速さの流れであれば地力での上位入線は可能に感じます。
ウインカーネリアン
展開の鍵を握りそうな馬になるため、ある程度解説をしていこうと思います。2023東京新聞杯、および同年の安田記念では同程度の馬場でした。同斤量、ないし後者の方がペースが遅かったにもかかわらずタイムが遅かったのですが、先頭に立つまでに掛けた負荷に違いがありました。前半2Fのタイムは東京新聞杯が23.1、安田記念が22.8です。ゼロ発進を含むため、字面上の0.3秒差以上の負荷が掛かっていたという経緯。これがGⅠのプレッシャーという側面はあるのでしょうが、安田記念の方がややオーバーペースだったという事。スプリントを使っているためもう少し速く走れそうではありますが、オーバーペースとなる基準としては、前半1000m57.0秒を切る辺りになると思います。これがガイアフォースやジオグリフ辺りなら問題無いですが、ウインカーネリアンに関してはこの辺りが追走限界になるのかも。主張すると思いますし、完全にノーマークになるのであれば展開は向きそうです。
エルトンバローズ
3歳時から斤量分強くなっているか未知数な点はあるものの、昨年のマイルCSからの3連戦は追走負荷の高いレースが続きました。その経験が糧となっているのであれば前進があって良さそうです。道悪が良くなさそうなのはマイナスでしょう。トップスピードに関しては無い馬なので、8Fで勝つにはもっと追走力を地力に変換できるようなレースができれば変わってくると思います。
フィアスプライド
末脚は非常に高いレベルのものを持っているのですが、前走はしっかりとした追走をして2着に残しました。とはいえ、自身のラップ自体はオーバーペースでしたし、3着以下は力と適性差によるものを感じました。キャリアハイの走破でもありましたが、もう少し伸びそうな気も。ライトバックの桜花賞のような決め打ちであれば前進があっても良いと思います。
パラレルヴィジョン
全く数字は足りませんが何とも不気味で、初ダートで流れた3勝クラスも一発クリア。この2連勝は相手関係とペースに圧倒的に恵まれた側面はあるので評価はできませんが、ハイペースにもすぐ順応できそうな雰囲気があります。現状どう乗っても勝ち筋がありませんが、今2000mを使うのは案外アリなのかもしれません。
ダノンスコーピオン
この馬のパフォーマンスの最大値は富士Sで、前走で復調気配は見せましたがまだまだ3歳時の強さにはないです。流れてくれた方がパフォーマンスが上がる可能性は高いですが、追走経験を積んできた訳でも無いですし、ここで好走するには「3歳時の強さを取り戻す」+「3歳時から成長した姿を見せる」の2つが必要です。福永調教師がそういう事を考えているとは思えない上、馬に負担を掛けない戸崎騎手の起用にもそれが現れていると思います。また強い姿は見せて欲しいですが。
ジオグリフ
えらく遠回りになってしまいましたが、近2走はまずまずの内容で走れています。昨年のサウジCのように断続的に流れるラップで持続力を発揮するのが強いのですが、前走の大阪杯は思った以上に力を発揮できていません。1800mの中山記念を考えるともう少し際どいレースができてもおかしく無いと思っていたため、短縮自体は良いと思います。とはいえ、3歳時からあまり強くなっていないというのが本音なので、相手関係に恵まれないと馬券的には組みづらいですね。メンバー的に流れるレースは向くとは思います。
ドーブネ
前走の中山記念はかなり速い流れを演出し2着に残し、ウインカーネリアンよりも追走限界が高いと考えています。思えば昨年の中山記念でもそこそこの追走ができていましたし、コース適性的な面もあるのだと思います。1800mだと中々良い追走ができているのですが、1600mだとスピードレンジなのか凡走が目立ちます。前走の内容からウインカーネリアンに競り掛ける可能性は高いですが、前走は些か失速率も高いので馬券に組み込むには難しい存在。斤量を考慮すると数字もそこまでですし。追走力で買うならガイアフォースのような抜群の鍛え方をしていないと難しいですね。トップスピードは速めです。
エアロロノア
毎度の事ながら良い脚で追い込めてはいるのですが、ちゃんと負けているというのはウィークポイント。前崩れの展開は欲しいところですが、今年のメンバーであればガイアフォースやステラヴェローチェはどれだけ流れても耐えると思いますし、流石にポツンでも圏内まで差してくるイメージが湧かないです。前走も長休明けではありましたが負け過ぎですし。
コレペティトール
まずまずの末脚を繰り出すことができますが、現状では力不足の感は否めません。まだまだ4歳で強くなる馬ですし、前走の京都金杯では追走面でも成長が伺えました。そこよりも明確に馬場の遅いマイラーズCでタイムを縮めているため、きちんと強くはなっています。現状の着差は後方一気の決め打ちでも覆すのは難しいです。
カテドラル
前崩れの展開を差すレースが多いですが、流石に距離が短いですし、スピードレンジ的にも厳しいです。衰えもあるでしょうから何ともですが、以前より1600mへ適性を示さなくなっている印象。馬場が非常に悪くなって絶望的なハイペースとなれば消耗度の違いで差してくる可能性はあります。
予想
想定タイム上位を順当に評価した形となりますが、香港馬はオッズ以上に評価しても良いのではと思います。ぶっちゃけナミュール、セリフォス、ソウルラッシュ、レッドモンレーヴは能力的に大して変わらないですが、前者の2頭は調子のムラが激しいタイプとなりますので抑え評価に。ガイアフォースは数字的にはやや抜けており、流れそうな今年のメンバーであれば追走力を遺憾なく発揮してくれると思います。ソウルラッシュは成長しているという点も含めて好パフォーマンスに期待します。レッドモンレーヴもムラが激しいですが、末脚の火力は現役でも屈指のモノ。後方待機から一発、あっても良いと思います。ロマンチックウォリアーは流石に人気しますが、ヴォイッジバブルは流石に低評価過ぎですね。
買い目含めた最終的な部分に関しては、本日の夜に追記しようと思います。
2024-06-02 11:30 追記
買い目を更新しました。かなり時計の出るコンディションのため、正直ステラヴェローチェに関しても買いづらい位置にいるのですが、全馬が苦しいペースになった際の浮上は大いに考えられる上、恐らく横山典弘騎手も手の内に入れているであろう点を考慮しても買い目からは外しづらいです。三連複で買うと点数が増えるのと、レッドモンレーヴが高速化で上昇しても良いと思うので、そこのワイドを抑えるためにステラヴェローチェの三連複は切りました。
ソウルラッシュは59キロで1:31.6の走破をした経験もあるため、高速馬場が向かないという事はないと思いますが、上がりの脚が求められる位置取りを取るとやや厳しい印象です。ナミュールやセリフォスはオーバーペースにならない位置取りが重要。高いレベルの好レースに期待します。
ここまでご覧頂きありがとうございました。少しでも馬券の参考となれば幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?