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穴馬ギャンブラーともよ 第4話「ともよと過渡期の #スプリンターズS 予想」

 今年は凱旋門賞もスプリンターズSも低調なメンバーが揃いました。同日の盛岡で開催されるダービーグランプリでは、最後の年(翌年にダート改革)に相応しく、ミックファイアとベルピットという2頭の三冠馬が出走します。

 今のスプリント界が低調な理由は強い馬が出てきていないだけなのですが、理由の根拠としては、斤量と追走力の低さが挙げられます。

 例えば、2023年のスプリント重賞においてトップハンデの馬の成績は(1-0-2-9)と、かなり低調なのが分かります。斤量を背負う=実績がある、という事なので、実績馬が強くない=低調、という図式になる訳です。

 追走力の観点から考えると、9つあった(GⅠを除く)重賞の内逃げ馬は(4-1-1-3)とそこそこの好成績です。3回に2回は馬券。これが何を示しているかというと、逃げが強いのではなく、逃げが楽なペースで逃げているからです。逃げが勝ったレースの上がりを考えると

・セントウルS 上がり3F:33.7
・CBC賞 上がり3F:33.5
・葵S 上がり3F:33.5

この辺りはもう差すのは不可能なラインです。道中で6馬身離れていれば、上がり3Fが1秒以上速くないと勝てないですからね。

 とはいえ、GⅠではそんな上がりを使えるほどゆったりした流れで進みません。とりわけスプリンターズSは、下り坂から始まるコース形態の関係上、前半から速い流れになります。

 勿論逃げている馬もそうですが、それは最後方の馬にとっても同じです。殆どの馬は前走より斤量が重くなるので、更に速いペースの要求ともなれば、実質的なペースはもっと速い訳です。

斤量は1キロ重くなると1600mで0.2秒前後遅くなります。1200m換算だと0.175秒です。これで前走より0.5秒速い前半3Fを入るとします。0.175秒×3F=0.525秒+0.5秒なので、0.5秒速く入るだけで、実質的なペースは1秒以上速くなるという計算です。

 これで上位入線のメンバーがコロコロ変わるので、低調なのは元よりですが、それ以上に、追走力の低い馬が多いというのが挙げられます。追走力が高ければ、ペースが速かろうがいつもの位置を陣取ってしまえば走れますからね。

 このレースの正解は、斤量が増えてペースも上がっても同程度の好走をした馬、になる訳ですが、そんな馬が沢山居たら低調なメンバーになる訳がないですね。狙いたいのは逃げ馬(差し馬)が勝ったレースで差し(逃げ)きれなかったが、自身はそのレースより重い斤量かつ速いペースで好走をした馬、になります。

では、各馬の見解をば。買う馬、ないし狙いたい馬しか書かないです。

ナムラクレア

申し訳ないですが1人気が本命です。

 今年に入ってスプリント重賞を2勝していますが、そのどちらも逃げ馬が2着・3着好走しています。それを差し切っている時点で高評価。シルクロードSは斤量がGⅠよりも重い中勝っている点もプラスです。

 キーンランドCは内馬場が痛んでいましたが、外を回すロスというのは計り知れないもの。実際、昨年の同レースでは空いた内を突いたヴェントヴォーチェ(出走していれば最高評価でした)が勝っています。例えば、コースは違いますが皐月賞などを見てみると、一番外を回して勝ったコントレイルやソールオリエンスは、ダービーでもしっかり好走していますし、外を回して勝つ事が力の証明であると感じます。

Rのキツい函館で内を回して勝っているように、コーナリングの負荷はあまり無いタイプです。とはいえ、その時より斤量が6キロも違いますので過信自体は禁物ですが、最内でマイナスにするような馬でもないとは思います。

 懸念点はペースですね。昨年のスプリンターズSでは、上位が内を回していることから、外を回したから負けたと認識している方も多いと思いますが、コースロス以上にペースが速すぎた点が挙げられます。加えて、前に壁が居ないので早めにスパートを踏む形となり、結果的に前が壁で取りこぼした北九州記念より着順を落とす形となりました。

 浜中騎手は積極的な競馬を好んでいますが、今年に入ってからはメイショウハリオで待つレースが続いていますし、人気馬でもしっかり持ち味を出してくれると思います。捌けるかどうかは運という事で。

 今のスプリント界はそんなもんなので、正直期待値的にも高く見積もってはいないです。

ジャスパークローネ

対抗です。

 恐らくメンバー中で最も高い追走力を持っています。その証明に、CBC賞より2キロ重くなった北九州記念で、それより速い前半3Fを計時しても勝ち切っています

 同型こそ居ますが、前半3Fを33.0ぐらいで入るなら余裕で勝ち負けでしょう。休み明けの3月のレースは置いておいて、函館SSで負けたのは恐らく2Fと3Fの間のラップ差が0.3秒だった(競りかけられた)ものによると思います。他のレースは少なくても0.4秒以上のラップ差になっており、単純なオーバーペースだったというのが見解です。

 同型のテイエムスパーダが外に入ると、函館SSの二の舞になりそうだったので考えていましたが、それより外ならまだマシです。全6勝は全て逃げていますが、番手でも内容は残せるタイプだと思います。

 サマースプリントを3回使っての臨戦なので、お釣り自体は無いですが、そもそもお釣りがあっても力が足りない馬しか居ないので、シンプルにこれぐらい走る馬の出来が落ちてないなら狙う他ありません。

 後は単純な理由ですね。GⅠの好走馬を除いて58キロ(牝馬56キロ)以上で勝ったた経験がある馬はナムラクレア、ジャスパークローネ、キミワクイーン、モズメイメイのみです。まあクラスが違うので何とも言えないですが、戦ってきた内容が濃いのでやれるとは思います。

 懸念点は団野騎手が逃げ宣言をしている事。まあ逃げでしか勝ってないので当然かもしれないですが、モズメイメイが好発を決めた時などのオーバーペースの保険が無さすぎますね。逃げなくてもペースさえ良ければ走れる馬だと思うのですが…

アグリ

 単穴です。今回人気に寄ってます。

 阪急杯の辺りでは、純スプリントは荷が重いと感じていましたが、前走は追込に転じ抜群の末脚で追い込んできました。元々1400mで勝ってきた馬ですので、1200mで位置を取るのは馬にとってかなりの負担となりますし、脚質に自在性が出たのは良い事だと思います。

 阪急杯を好タイムで走破したように、スピード自体は1200mでも通用すると思いますし、ほぼ全馬のオーバーペースが想定される中で、自身が楽をできるラップで走破できる自在性は武器になると思います。

 とはいえ、それはあくまで差した時の話で、極悪馬場だったので比較はできませんが、位置を取った高松宮記念では直線で挟まれた以上に伸びきれていません。差しに徹すればピンパーではありますが勝ちも見えてきて、位置を取ると大敗も見えるという感じです。

末脚の強さ的にはメイケイエール、ナムラクレア、アグリ、ナランフレグ、エイシンスポッターの順で良いと思います。下2頭は差し損ねが目立ちすぎるのでさておき、質的には上3頭は抑えておきたいです。

メイケイエールさん

4番手評価

 一昨年のスプリンターズS、香港スプリントでのピクシーナイトの怪我を見て翌年のスプリント女王になると確信しており、事実重賞3勝を力押ししていたが、GⅠでは物足りない結果が続いています。

 とはいえ、絶対能力は明らかに高く、昨年のセントウルSなんかはトップスプリンターのそれでした。スプリント質のスピードではないのは確かですが、それでもそこら辺のスプリンターより全然速いので、力を出し切れさえすればGⅠタイトルに手が届くのは時間の問題だと思います。

 これが何回目の新馬具か分からないが、エッグバットハッピータンとかいう菓子みたいなやつの効果に期待するしかないですね。どうやら舐めると本当に甘いらしいですが、ドーピング以外で競走馬の能力を阻害せず効果のある馬具なら、武インパクト豊でも何でも使えば良いと思います。

 懸念点しかない馬なので多くは語らないですが、ハイペースは得意でないと思います。その上で掛かるから大敗しているのであって、それでも勝ったレースを評価するかどうかが全てという感じですね。

 ピンかパーかの馬なので、買うなら頭や軸として、という先入観を壊し、敢えて相手で買います。

狙いの穴馬①

1頭目はピクシーナイトです。

 3歳時のスプリンターズSから怪我をせず、順調に走れていたとすれば、あと幾つのGⅠを勝っていたのだろう、というレベルの馬です。

 復帰後は敗戦を繰り返していますが、これは斤量によるものが大きいです。前提条件として、2022年度のレースであれば、今年より負担斤量が1キロ軽いです。その上で、この馬はGⅠホースであるため、負担斤量は更に重く設定されます。

 3歳のスプリンターズSから成長曲線が一時停止しているとすれば、重くされる分以上の重さを背負う訳なので、当然負けてしまいます。とはいえ、それはあくまで慣れなので、何も出来なかった高松宮記念と比較して、セントウルSは何とか出来そうなラインまで持ってきました。

 その上で、今回の「ほぼ全馬の斤量が重くなる」点と「自身が緩やかに復調している」点を考えれば、着順の交差地点がここにあっても不思議ではないと感じます。とはいえ勝つまでのビジョンは見えにくく、複勝圏内での読みですが。

 来年の高松宮記念辺りで全開の能力を出してくれると思いますので、要はそこまでに何個買えるレースがあるかという話。ここでもあると思います。今回が初ブリンカーなので、想定よりも前の位置が取れそうです。

狙いの穴馬②

2頭目はナランフレグです。

 重賞初勝利が高松宮記念、丸田恭介騎手も苦労人であったことから、非常に感動的なレースになったのは記憶に新しいですね。

 この馬がスプリントGⅠを取るまでの過程を振り返ってみると、高い追走レンジを育てている事に確信が持てると思います。重い斤量を背負っては凡走していますが、定量戦での無類の強さはピカイチ。

 この馬が差せるというのは、つまりは先行馬がオーバーペースである事を示唆しています。まだまだレベルの低いスプリント路線であるので、この馬がもう一華咲かせられる可能性も秘めていると思います。

 ピクシーナイトにも言える事ですが、この2頭は今年に入ってから57キロ以下で走った経験がありません。つまり、1キロ以上重くなる他馬に対して、実質的な負担斤量が1キロ以上軽くなる相手関係になる訳です。

 勿論各馬を縦軸で見ないといけないのは当然ですが、この馬が有利にならない相手関係になるより、他馬が不利になる相手関係になると考えた方が妥当でしょう。

調教評価

ジャスパークローネ:S
キミワクイーン:A+
ナランフレグ:A+
ナムラクレア:A
メイケイエール:A
マッドクール:A
ママコチャ:A
アグリ:A
ピクシーナイト:A
ジュビリーヘッド:B+
ウインマーベル:B+
エイシンスポッター:B+
ドルチェモア:B+
テイエムスパーダ:B
モズメイメイ:B-
オールアットワンス:B-

https://x.com/tomoyo_taiyuji2/status/1708112809702355163?s=46&t=1yKEZipQL47a7vV6U1oa9A

 夏場というのもあり、殆どの馬が抜群と呼べる出来に感じませんでした。臨戦過程の都合もありますね。

 一連の出来を完全にキープしているジャスパークローネが最高評価。上積みまで感じる登坂内容に思います。キビキビとした動きのキミワクイーンやナランフレグが良い動きです。

 ナムラクレアは昨年の時と出来は同じぐらいかほんの少し落ちるかなという印象です。メイケイエールは落ち着いているかどうかが全ての馬。悪くはないと思います。

 B+ぐらいまでは上積みがあるなという感じで、Aが実力8〜9割まで出せるかなというライン。A+は実力を100%出せそうな仕上げ、Sは120%も見込める可能性を秘めた馬という認識です。

 ここでの高評価はキミワクイーンです。枠で非常に嫌われていますが、外から捲るパターンは強いので是非抑えておきたいです。ジャスパークローネが最下位に沈むレベルの負荷を外から捲って勝ってる訳ですから。面白い1頭だと思います。それにしても、最高評価が函館SSの1着とドベなのが面白いですね。

予想

◎ナムラクレア
○ジャスパークローネ
▲アグリ
△メイケイエール
×ナランフレグ
×ピクシーナイト
☆キミワクイーン

予想軸
能力25:TB40:展開35

 次の国内GⅠはリバティアイランドが居るのでノーチャンスの馬も多いですが、スプリンターズSはどの馬にもチャンスがあると思います。
 オカルト馬券ですが、初GⅠが3連続で続いているので、②⑫⑭は単勝を100円だけ持っておくのもありかもです。

 今回ママコチャに関して一切触れていませんが、安土城Sとの比較ですね。抜群に切れた安土城Sと比較して、北九州記念では思ったよりは伸び切っていません。3着以下は幾らなんでも弱いですからね。走ればしょうがないという感じで買いません。

馬券は◎-印-印の三連複と○▲△××☆の馬連ボックスで買います。NHKマイルで×→×で決まった買い方ですね。15点ずつ計30点で。

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