高校時代の同級生に復讐する

 八月十四日(日)野田

 夕食後から就寝までの時間に病院を抜け出し、駅前のライブハウスへ行った。本当に新井がバイトしているかを確認するためだった。

 会場はライブがこれから始まるところのようで、入口に人だかりができていた。待ち合わせしているふりをして階段を何度か行ったり来たりしていたが、いつになっても新井は現れなかった。今日は外れか。帰ろうとしたところで階段に張ってある色とりどりのチラシの中からふと一枚が目にとまった。

 それはライブの告知だった。殴り書きされたバンド名の下に新井の名前を見つけたとき、心臓が喉元辺りまで跳ね上がるのを感じた。ベース、新井和人。日付は八月二十三日、会場はここ。

 五日後、新井がここでライブをやる。

 ちょうどいい。ライブ終わりに最高のプレゼントを届けてやる。俺と同じ、右目に同じ傷を。鏡を見る度に思い出せるように。

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