十九歳で通風になる

 八月七日(日)砂原

 朝目がさめると左の肘がじんじんと痛かった。まるで自分がブリキのおもちゃになり、関節が錆びて嫌な音を立てているようだった。寝違えたのかなと思ったが角度を変えても痛い。

 朝食を食べ、歯を磨こうと洗面所へ向かう途中、今度は両膝に違和感を覚えた。歩こうと足を前に出すたびに膝が軋む。そこで初めて、もしかしたらこれは痛風ではないかと思った。

 結核の薬の副作用により、尿酸値が上がっていることは前に医者から言われていた。しかし具体的な自覚症状がなかったため、しばらく薬を飲むのを忘れていた。

 なるべくじっとしていようとベッドに寝転がって本を読んでいると、右肘も痛むようになった。触るとほんのり熱を帯びている。やがて読書もできないほど痛くなり、しばらくベッドの上で悶え続けた。

 夜になり、このままじっとしているより誰かと話していた方が痛みも紛れるのではと屋上へ行った。ベンチには野田君がギターを持って座っており、僕の知らない曲を口ずさんでいた。僕も一緒に歌いながら隣に座った。それから野田君の昔付き合っていた彼女の悪口を聞いた。関節の痛みも少しは和らいで、このまま眠れば明日の朝には痛みが全部取れているといいなあと思いながら十二時頃床に就いた。

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