5/5感

 五感とは実は五分の五感ではないか。結局、五感を統合することで一つの感覚になるのではないかと思います。

 発達障害のASDの方で、床に置いてある無数のペットボトルの数を瞬時に把握できる方がいます。こういう人は視覚情報の把握は普通の人よりすぐれている。でも優れすぎているからこそバランスが取れなくて生き辛くなっています。障害と言うと劣っているというイメージもありますが、優れすぎているからこそハードルを感じてしまうこともあるのです。

 スマートフォンの新機種で、タッチの感覚の違いが判るものが出たと聞きました。これはあまり好感をもたれたニュースとなっていないようですが、私は新たな世界をひらくのではないかと思いました。これまでスマートフォンの進化は、文字情報、数字、画像、動画と言った視覚の分野に大きく偏っていました。タッチの感覚は触覚です。これから五感を刺激し相関性をもたらせば面白いのではないかと思います。

 仕事柄サインの認証もできるのではないかなんていうことも考えます。ひとそれぞれの筆跡の特徴をタッチで認識し人工知能のようなもので判別できれば。日本では印鑑証明、海外では公証人の面前での署名によるなど本人の意思確認の方法は世界的に見てもとても前時代的ですが、画面上にサインするだけで認証ができれば、大きなインパクトがあるのではないでしょうか。

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 石畳の、風情のある坂の町のBarによく行きます。

 シェイクが素晴らしい方でいつも音に聞き惚れています。キンキンと高い音が空間を満たすはずなのですが、ある時少しだけ低い音だったような、鈍い音のように聞こえたことがありました。あれっと思っていました。

 バーテンダーさんはお酒を注いだ後、一拍置いて自分の手元に引き寄せ下げてしまいます。そのお酒を頼んだお客さんに、ごめんなさい、 普通 のお酒を作ってしまいました、といってもう一度作り始めました。

 その場にいた全てのお客さんに何かを感じさせたと思います。ただお酒の味だけでなく色だけではなく、時間と全ての感覚が場を作るのだと思うし、だからこそBarに通っています。




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