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わたしの祖母の物語

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このお話は、明治後半に生まれた祖母による「自称『おしん』より壮絶な人生」を描いたもので、明治20年から昭和54年くらいまでのことが便箋約40枚に綴られています。祖母が自分で書いた…
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#本所

父が探している~わたしの祖母の物語⑤

妾しが心配な祖母は小樽の家を売り、叔父を呼んで東三丁目に床屋の店を出してそこで暮らす事に成り、妾しが七才になった時、警察から捜索願いが東京の石坂幸益と云ふ人からだと○○でした。 秋田で母と妾しをおいて大學にもどつた父は、母一人子一人の人でした。 卒業して本所、柳島、柳島病院の院長と成った父は妾達をさがしましたが、秋田から北海道にわたり、又、野付牛に来たのでわからなかったのです。 また其の後も度々の話しにも女の人をむかいによこして○祖母は「何も不自由はさしてゐません。學校