幸子、実父に逢う~わたしの祖母の物語⑧
年頃に成った妾しに兄は、「お前はおれの妻になるのだ」と人様の前でいいます。
父もその気でゐるらしいのです。
妾しは嫌で嫌でたまりません。
いやな兄、面白くない家、つらい立ちばの母、何も彼もいやになった妾は育ててもらった、恩ある祖父母、やさしい叔父夫婦の事も忘れて家をとび出して旭川行き、女弁士としてたべて行く事になりました。
一年ぐらいたった時、父が妹をつれてむかいに来たのです。
帰らぬつもりの妾しも妹に泣かれて帰りました。
妾しが祖父と二人で野付牛に来てから、弟一