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なぜ阪神は優勝できたのか~強かった後半戦を振り返る~

 2023年9月14日、阪神タイガースが18年ぶりに優勝を果たした。
 今年の阪神は、岡田監督の「勝負は9月」という言葉通り、9月に入り11連勝、8月も18勝7敗と後半戦に圧倒的な強さをみせた

 例年の阪神は、後半戦に失速することが多かった。では、今年の阪神は例年と何が違ったのだろうか。本記事では、「勝負の9月」を体現した岡田采配を取り上げる。

「明暗を分けたハマスタ3連戦」

 5月、19勝5敗と大きく勝ち越した阪神は首位に立った。しかし、交流戦を7勝10敗1分けと負け越すと、2位DeNA(当時)が交流戦を11勝7敗で優勝し、ゲーム差を2.5にまで縮められてしまった。そして、リーグ戦再開後、阪神は2位DeNAとの直接対決を迎えた。

 この3連戦、阪神とDeNAの戦い方は対象的であった。

 DeNAが今永、東、バウアーの勝ち頭3人を先発させてきたのに対し、阪神は岡田監督が初戦の前に、「別に負けてもええやんか」と発言するなど、初戦に当時未勝利のビーズリー、2戦目伊藤将司、3戦目才木とそれまで勝ち頭であった村上、大竹両投手を首位攻防戦に先発させなかった

 結果は、阪神の3連敗。首位をDeNAに明け渡すことになった。そして、このままDeNAが首位を走り続けると思われた。しかし、DeNAの勢いは長く続かなかった。翌週、阪神が首位を奪還すると、DeNAはそのまま失速し、前半戦を3位で終えた。

 6月のハマスタでの3連戦、岡田監督は「勝負は9月」という言葉を象徴するように、首位攻防戦ではなく、普通の3連戦と変わらない采配を行なった。結果、一時的に首位陥落となったが、続く中日との3連戦に勝ち越すなど、安定した戦いを続けることができた。そのため、前半戦を首位で折り返し、後半戦の快進撃につながった。

 一方、DeNA三浦監督は「是が非でも阪神を叩き、首位に立つ」というような采配を行ってきた。結果、3連勝し、一時的には首位に立つこと出来たが、表ローテと裏ローテがはっきりしてしまうという大きな代償を払うこととなった。

 交流戦後から、前半戦終了時までDeNAは主にバウアー、東、今永といった勝ち頭3人が登板した金曜日からの3連戦は6勝5敗1分けと勝ち越しているが、火曜日からの3連戦は2勝7敗と大きく負け越している

 DeNAは6月下旬という早い段階で、阪神戦に勝ち頭3人を固めたことによって、先発ローテ全体のバランスが悪くなり、失速することとなった。

 このように、勝負を焦らなかった岡田監督と、焦ってしまった三浦監督。両監督の采配が今シーズンのペナントの行方を大きく左右した。

 また、9月の8日からの広島3連戦時には、先発ローテを一部変更し、村上、大竹、伊藤将司というチーム最多勝投手3人を先発させた。言葉通り、9月には勝負をかけ、3連勝した。このように、岡田監督の状況に応じた采配が阪神に優勝をもたらした。

巧みな先発投手運用

 岡田監督は槙原氏との対談で次のように発言している。

「9人は絶対に作っとかないといけないと思うね、先発ね。2、3人はファームで常に準備しとくていうかね。みんなが1年間調子良くね、ローテーション守れないからね。」

https://news.yahoo.co.jp/articles/1149aac2d5f0b457a0d032ac89b8105b7493b57b?page=4

 この言葉通り、今シーズンの阪神は村上、大竹、伊藤将司の3人はローテーションを守り続けたものの、あとの3枠は才木、西純矢、ビーズリー、青柳、西勇輝というように様々な投手が登板した。結果、常に状態の良い投手が先発することが可能となり、優勝に繋がった。

終わりに

 今シーズン、優勝を果たした阪神。9月に今シーズン、最大の連勝を達成することができたのは、偶然ではなく、必然であった。

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