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Life954メール 2017.10放送 「失われた時間を求めて~ワークとライフのはざまで」

Lifeクルーのみなさんこんばんは。
テーマを聞いて思い浮かんだ話がふたつあります。

ひとつ目は、「ハンス・ロスリングと魔法の洗濯機」というTEDtalkです。
話者がまだ4歳だったある日、両親が何年もお金を貯めて買った洗濯機がやってきます。7人の子供を(手洗いの洗濯で!)育てた祖母もやってきて、洗濯機の前に陣取り、初めての洗濯を最初から最後まで熱心に見届けた後にこう言いました。
「ハンス、洗濯物を入れたらあとは洗濯機がやってくれる。その間図書館に行けるのよ」
と。これが魔法であり、母は彼のために児童書を借りて読み聞かせ、また自分自身のために教科書を借り、外国語として英語を学ぶ時間を作りました。

ふたつ目は、『お母さんは忙しくなるばかり―家事労働とテクノロジーの社会史』という、ルース・シュウォーツ コーワンの本です。
アメリカの家庭にテクノロジーが普及していく過程をたどっていくのですが、冷蔵庫・洗濯機・掃除機・調理家電が普及して家事の手間は減るものの、洗濯の頻度が増えたり、愛情の表現として手間の掛かる料理を作るようになったりして、全体の時間は減らずに忙しさはます一方。テクノロジーの発展は主婦の家事負担軽減にまったく寄与していないと結論づけます。

テクノロジーに投資して時間を捻出するところまでは同じにも関わらず、結果は全然違っています。両者を比べれば、時間を捻出するための投資・努力の度合いとワークとライフの充実は必ずしも比例するとは限らないことが見て取れます。
とすれば、新しい家電やGTDなどのタスク管理のテクニックを云々するよりも、捻出した時間を指向性をもって使えるようなマインドセットというか、しっかりとした足場となるものについて考えることが近道なのではないかなと思います。

p.s.
私が家電に投資して捻出した時間は、すべてスプラトゥーン2に吸い込まれてます

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文化系トークラジオLife

ハンス・ロスリングと魔法の洗濯機

『お母さんは忙しくなるばかり―家事労働とテクノロジーの社会史』

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