月影花之丞大逆転(ネタバレあり)




劇団☆新感線がyellow新感線と題して池袋の東京建物Brillia HALLで公演を行っているので見て来た。100人単位の出演者で休憩挟んで3時間超の演目が常の新感線で、演者11人で2時間を休憩なしの演目。これまでも見に行きたいなと思っていたもののチケットが取れずにいたので、コロナ禍で首都圏に人が来ないのもあってか複数日のチケットをゲット出来た。

ここからはガッツリとネタバレになるので、これから見に行くので知りたくない人は読まないでくださいね。



あらすじを簡単に説明すると、言ってることがハチャメチャで妙なテンションの女優月影花之丞(木野花)が主宰する劇団に伝説の殺し屋(古田新太)が潜伏しているということで、インターポールの捜査官(浜中文一)が潜入捜査で逮捕しようとする。捜査を進めていくうちにいろいろととんでも無いことが判明してくる話。殺し屋とインターポール以外の劇団員も、月影花之丞同様に訳ありでクセのある人だらけ。売れてないというには少し届かないくらい売れたアイドル暗闇坂666の元メンバー(中谷さとみ、保坂エマ)、訳ありの元トップ女優(西野七瀬)、契約を取りたいがために劇団に出入りしてる保険の外交員(阿部サダヲ)、暗闇坂666の元リーダーでプロのパートのオb…お姉さん(山本カナコ)、出自に訳はなさそうだけど月影先生の片腕として働けてるというだけで曲者な劇団員(河野まさと、村木仁)。そして殺し屋と繋がる財閥の女(村木よし子)と映像だけで出てくるインターポール極東支部長(賀来賢人)。この面々が2時間ひたすらハチャメチャにやる。

とにかくパロディやらオマージュがそこかしこに仕込まれてるので、放送や円盤化は厳しいだろうというのが専らの声。お伺いを立てる関係各所が多過ぎる。金さんやら刀剣乱舞やら鬼滅の刃やら劇団四季やらディズニー、ハイジやキャッツやトライ先生やらクララやら過去の劇団☆新感線の演目やら。終盤に出てくる公園は「集まらないどうぶつの森公園』だし、暗闇坂666の曲にしても『故意のテレフォンナンバー6666-6666』は曲の雰囲気もさることながら歌い出しの振り付けがまんま乃木坂46の『インフルエンサー』だし、『不肖ナオン』は欅坂46の『不協和音』だし。レコード大賞受賞曲と紅白歌合戦でウッチャンが欅坂46に混じって踊ったやつである。その上、髪型や衣装といったビジュアルはしれっとBABYMETALだし。秋元康は面白がってくれるだろうけど、劇団四季や自分のところの家庭教師を撃ち殺された家庭教師のトライはどうだろう(笑)。実際、お伺いを立てるとなると何処までやるのかはわからないけど、何気に一番大変なのはアルプスでヤギがハイジに殺められるくだりじゃないのかね、他の人はあまり指摘しないけど。


ハイジ: 山羊の頭のスープになっちまいな
 〜ハイジ、ヤギにトドメをさす〜
ヤギ: アンジー、アンジー(絶命)



これ、ローリング・ストーンズのアルバムタイトル『Goat Head Soup(邦題:山羊の頭のスープ)』と、そのアルバムからの先行シングルでビルボードチャート1位になった曲『Angie(悲しみのアンジー)』の歌い出しだからねぇ。ミック・ジャガーやキース・リチャーズ相手に説明して理解と許諾をもらえるのか(笑)?

それはさておき、演目自他は非常に楽しめた。これまでの演目を劇場で見ていないから一概には言えないけど楽しめた。そこかしこに仕込まれたパロディやオマージュ、力技ともいえる展開。難しいことをあれこれ考えず、目の前で繰り広げられることに素直に笑える、いい意味で下らない作品だった。

何よりも月影花之丞を演じる木野花。演者の中で最年長ということだけど、舞台に立ってしまえば関係なし。存在感とパワフルさととっ散らかり具合がものすごい(笑)。でも、終盤の台詞は胸に刺さるものがあった。この一年のエンタメ業界の状況やそれに対するモヤモヤだったり思うところだったり。そこに至るまでがドタバタで力技だったりするので、余計に心に刺さった。

古田新太と阿部サダヲの2人も十分すぎる存在感。「髑髏城の7人」で捨之介を演じた2人が揃うのだから、期待したものは見られますわな。Tokyo Speakeasyでも言ってたけど、主演の木野花さんよりずっと動いてた(というか動かされてた)。

同じ客演でも浜中文一さんのような舞台経験のない西野七瀬はお客さん扱いなんだろうなと思ってたが、予想外に馴染んでた。これまで舞台は乃木坂46結成直後の『16人のプリンシパル』のみだったのもあるし、どの現場でも共演の方に「大きい声って出る?」と言われるくらい『声を張るイメージのない人』なので、推しではあるけど不安しかなかった。実際、稽古中も声を張ることをずっと言われてたようだし。でも、声も出ていたし、初日に比べてアドリブ入れたりしてアップデートしていた。

残り一週間の東京公演とその後の大阪公演、芝居がどうなるのか楽しみ。

#月影花之丞大逆転
#劇団新感線

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