シン・エヴァを観た中年おじさんの感想(薄いネタバレあり)

シン・エヴァをレイトショーで観てきた。

公開初日だったこともあり辺鄙な片田舎の映画館にも関わらず、上映時間には9割方の席が埋まっていた。2時間半の長丁場に腰が悲鳴を上げながらもエンドロールで誰一人席を立つことなく、この素晴らしい映画を制作したスタッフ一人一人の名前を食い入るように最後まで見続けた。

自分語りになるが、私が初めてエヴァを観たのは95年のテレビアニメシリーズ本放送、もっと言えば少年エースの貞本エヴァの初回連載からだ。

テレビアニメシリーズの最終回は当時16歳だった私には強烈なトラウマと鬱病を植え付け、数年後大学生になって観た旧劇には追い討ちのように完全に精神をヤラれ、2021年の今までずっとエヴァの呪縛に囚われてきた。

そう、まるで新劇のチルドレンたちのように。

=========ここからネタバレ含む========



エヴァは最後まで徹底徹尾、繰り返しと他人との関係性の物語だった。

マリやヴィレなどの存在はありこそすれ、旧劇の終局とほぼ一緒の出来事が繰り返される。

しかしほんの少しの変化が25年のエヴァの呪縛に終止符を打ったのだ。

その変化とは、シンジの人間としての成長であり、同時に庵野秀明の人間としての成長そのものだった。

そしてそれは同じ過ちを繰り返しながら成長していく私たち自身の物語でもある。

ある別れをきっかけにシンジはアスカに対して、父であるゲンドウに対して正面から向き合い、エヴァの呪縛という輪環に終止符を打った。

逃げてばかりいたかつてのシンジはもうどこにもいない。

少年から大人になったチルドレンたちの姿によって私にかけられたエヴァの呪縛は完全に打ち払われた。

これ以上なく素晴らしい映画に庵野監督とスタッフの皆様に25年分の感謝を申し上げます。長年に渡り本当にありがとうございました。早く漫画版ナウシカのテレビアニメシリーズを作ってください。



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