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ムンバイで憧れのダッバーワーラーさんに会う

※2018年11月のインド旅行記です。

ムンバイに行ったら絶対に会ってみたい人たちがいた。

ダッバーワーラーさんだ。

彼らはインドの中でもムンバイにしか存在しない「弁当配達人」で、ヒンディー語でダッバー(弁当)+ワーラー(〜する人、ここでは配る人)という意味だそう。

約5000人のダッバーワーラーがおよそ20万個のお弁当を家庭から職場まで配達して、そして空になった弁当箱を家庭まで戻す。100年以上前からムンバイで続くビジネスで、誤配達はほとんどないというから本当に驚きだ。

私は彼らの存在をインド映画「めぐり逢わせのお弁当」で知り衝撃を受けて以来、いつか絶対本物に会いたい!!という思いを抱いていた。

渡印前、案内してくれるインド人ご夫婦にダッバーワーラーさんに会えますか?とドキドキしながら聞いてみたところ、「ムンバイで普通に見れるよ!」とあっさり。

やったーーー!!!!お目にかかれたら絶対写真を撮るんだ!と楽しみにしていた。


そして、その瞬間は突然やってきた。


みんなでムンバイ観光をしていたとき、アルティさんが「あっ、ほらっ、ダッバーワーラーさんいるよ!」と突然声を上げた。

えっ!どこどこ??あっ、本当だ!!!本物のダッバーワーラーさんだ!!!!

上下白のユニフォームに、白の帽子。映画で見たまんまのダッバーワーラーさんが目の前にいる。大量の弁当箱をリアカーに乗せて。

仕事中のダッバーワーラーさんたちは忙しそう。あっという間にその場から去ってしまいそうだったので、慌ててカメラを向ける。唐突に失礼かなと思ったが、ふふっと笑顔を見せてくれた。

もう、カッコイイー!!!!!キャー!!!

アイドルとか芸能人とか、今まで追っかけをするほどファンになったことないし、特に本物に会ってみたいとも思ったことはなかった。

でも、初めてダッバーワーラーさんを見た私は、完全にアイドルの出待ちをしているファン状態だった。

遠い遠いインド。いつか行けるかなぁ。行ってもダッバーワーラーさんに会えることなんてなかなか無いだろうなあと思っていたから、夢が叶って大感動してしまった。

テレビ画面で見ていた光景が今、目の前にある。生のインド文化に触れている。

実際にその土地に行って、会いたい人に会う、見たいものを見る、そして思いがけない素敵な出来事が起こったときの感動といったら😭この瞬間があるから、旅はやめられない。生きててよかった!とさえ思う。

ああ、ダッバーワーラーさんに本当に会えて幸せ!

彼らはテキパキと弁当箱を仕分け、運んでいく。システマチックでプロフェッショナルな姿はやはりかっこよかった。

ちなみにこんなに大量のお弁当箱を間違えずにどうやって届けるのだろうという疑問があるが、その答えはお弁当に直接書かれたアルファベットと数字の記号にあった。この記号までは写真に撮れなかったので、お弁当ハンターとして活躍されている阿部了さんの著書(「おべんとうの時間4」のムンバイのダッバーワーラーさんより)を参考にさせていただくと、たとえば「H 14 VP 12MHO」などと書いてあって、これらを見れば弁当を受け取りにいく家、電車に乗せるときの最寄駅、どこの駅で降ろすのか、届け先の職場住所まで把握できるというのだ。で、これを見れば絶対に間違えることはないのだという。

す、すごい。インド人、頭良い。

が、ここでまた疑問が一つ。ってか、朝普通にお弁当持っていけばいいんじゃないの?

しかしその疑問は、インドの通勤時の超満員の電車やバスを見れば吹っ飛んでしまう。東京の満員電車なんて比じゃないのだ。だって、ドアから体が半分以上はみ出した状態で走ってるんですもの。弁当箱なんて持ち込めないよね。

この満員電車をまずなんとかしようとか、だったら職場の近くでお昼を済ませばいいのではとか思うが、さまざまな宗教があり、廃止されたとはいえ未だにカースト制度の名残があるインドでは他人の作ったものを簡単には口にできない。だから、安心して食べられるお家の弁当が必要なのだという話を聞いた。インドの中でも人口密度が半端ないムンバイでダッバーワーラーという職業が生まれたのにも納得がいく。

なるほどなー。お弁当を通して、インドの文化にまた触れることができた。

(インド旅から約1年半後、インドで買ったお弁当に、お手製のインドカレーを詰めて友人に届けてみた。私自身も念願のダッバーワーラーさんになれたのだ!)

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