見出し画像

学ぶとはなにか、本を読むとはなにか【3】


「本を読むという行為は、『人生』という時間を差し出すことである」

人は、何らかの行為と引き換えに、常に自分の時間を差し出している。仕事をはじめ、子育てに料理、お風呂、映画、ゲーム……と挙げたらきりがない。

読書もまた他人が創造した言説に放り込まれ、現実世界で生きていることを忘れさせてくれる。「人生」という有限性の一部を差し出しているはずなのに、突然止められたストップウォッチのように静止した秒間を彷徨っている錯覚に陥るのだ。本を閉じ、ストップウォッチの動きが再会すると、そこには新しい自分が存在している。

読書とは、不思議な体験だ。

本を「読む」ことは、「読まない」ことの選択である

読む行為はつねに、「読まない行為」を裏に隠しているのだ。

『読んでいない本について堂々と語る本』より

膨大な書物の中から興味・関心のある本を読むということは、同時に「他の本を読まない」という選択を無意識的にしている。闇雲な読書は何も構築し得ない。「何を読まないか」を自律的に選択するためにも、積極的に「何を読むべきか」に思考を巡らせたい。

『読んでいない本について堂々と語る本』を読了。本は全て読む必要はない
ことに気づく。本書では、むしろ読んでいない本について語るほうが創造的だと主張しているのだ。

読んでいない本について語ることはまぎれもない創造の活動なのである。

『読んでいない本について堂々と語る本』より

先日、ある人が「小説を書くなら、既存の小説は読まないことだ」と語ったように、他人による言説や物語にふれることは、むしろ自分自身の創作に対して縛りを与えてしまう。ときには「“あえて”読まない」ことが意味をなすのかもしれない。

かつて、岩波文庫を読もうと『読書について』を手に取ったことがある。

読書は思索の代用品にすぎない。読書は他人に思索誘導の務めをゆだねる。

『読書について』より

ショウペンハウエル氏は「読書とは他人にものを考えてもらうことである」と言った。何をどれだけ読んだかよりも、どのような思索を深められたかのほうが重要だと再認識する。

勉強とは、ノリが悪くなること

『勉強の哲学 来たるべきパカのために』は、勉強する意義や深い勉強の仕方について具体的な方法を教えてくれる一冊だ。

「勉強することは、新しい自分になることだ」とこれまで教わって生きてきたが、千葉雅也氏は勉強について以下のように表現する。

勉強は、むしろ損をすることだと思ってほしい。
勉強とは、かつてノッていた自分をわざと破壊する、自己破壊である。
言い換えれば、勉強とは、わざと「ノリが悪い」人になることである。

『勉強の哲学 来たるべきパカのために』より

「勉強をすると付き合う人が代わる」と言うように、みんなが知らないことを知り、あるテーマについて考え続けると、これまで仲の良かった大勢の人は離れていき、志や思想を共にする新たな少数の仲間が現れる。勉強には、孤独がつきものだ。それでも、面白くてやめられない。

「物語を書く」ことは、現実と向き合うためなのか?

最近、文章のリハビリとして小説を書いている。といっても、大したものは書いておらず、ただ思いつくままに言葉遊びをしているだけ。小説を書きながらも、自分自身は小説を書く意味を見いだせずにいた。

そんな中で『生きるとは、自分の物語をつくること』を読み、一つの解釈を得た。

人は、生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていくという作業を、必ずやっていると思うんです。小説で一人の人間を表現するとき、作家は、その人がそれまで積み重ねてきた記憶を、言葉の形、お話の形で取り出して、再確認するために書いているという気がします。

『生きるとは、自分の物語をつくること』より

現実と心のつなぎ目として、物語が存在するというのは、立ち位置として面白い。たしかに、解釈しきれなかった現実を物語としてテキストに落とし込むことで、客観的に物事を捉えられる。もちろん、物語として現実を翻訳したからといって、簡単に世界に対する見方が変わるわけではない。けれども、多少なりとも心は軽くなる気がする。

「小説を読む」ということは、どういうことだろうか。幾重の分岐によって選ばれなかった、あり得たかもしれない人生(物語)を知るという行為なのか。それとも、現実と心の狭間でゆらぐ受け止められない「何か」を受け止めるために物語を読むのだろうか。

小説を読むということは、ある種、自分の心を読むことなのかもしれない。

企業の“価値創造の源泉”を見抜くために

ここからは、ビジネス寄りの本について──。企業の価値創造の源泉について理解を深めるために投資に関する本を読む。

『史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力』は、バフェット氏が財務諸表のどこに注目して投資を判断しているかがわかる一冊。チェックリストとして活用するのがオススメ。

歩きながら、audibleの最適な運用方法を考える

毎朝、audibleを聴きながら通勤をしている。kindle unlimitedにはなかった読みたかった本を中心に聴いているのだが、その選定方法が難しい。

哲学のような硬い内容の本をあえて耳で聞いたほうがすんなり入ってくるかと思ったら、意外と部分的にしか記憶に残らず、全体像をつかめないことが多い。2周聞くとトータル10時間近くかかるということもあり、それなら本で読んだほうがマイペースに思索を深められて良いのではないかと思ってしまう。

知りたい内容についてライトに語られた本を聴いた後に、どっしりと構えた本を聴くべきか。それとも、理解しやすいビジネス本を選ぶべきか。暗中模索の日々が続くが、とりあえず聴き途中のものを貼っておく。

* * *

来週は、ユング心理学や西洋哲学について理解を深めたいと思う。

いつも応援してくださり、ありがとうございます!サポートしていただいたお金は、今後の活動費として大事に使わせて頂きます。よろしくお願いいたします。