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フランス人の思い込みvs日本人の幻想[2]トイレ

来日経験のあるフランス人に日本の印象を尋ねると、ほとんど必ず出てくるのがトイレ。

「すっごく綺麗で感動した」
ぐらいなら、私も笑って、そうでしょフフンと自慢気に鼻を高くしてみせるけれど、一度こう言われたことがある。

フランス人の思い込み:ご飯を床で食べられるトイレ

"si propre qu'on aurait pu manger par terre"
しプロプル
くぉんなれピュまんじぇぱーテール
つまり
「地面(この場合は床だけど)でご飯が食べれるぐらい綺麗」
ってこと

これを聴いたとき、私はマジ慌てたんだよね。

多分、、褒めてるよね?
きっとそうだよね。だって満面笑顔で目がうるうるしてるもん。
でも表現が、、、🤨😅
そもそもトイレでご飯を食べるという発想は何?
トイレでご飯を食べてみたいなと思っちゃったってこと?
ひょっとしてフランスにはそんな習慣があるんですか?

一瞬の間にこれだけの疑問文が頭の中を埋め尽くした。

だってそうじゃない、日本人の皆様?
トイレは食事をするというイメージに最も直結しにくい場所ですよね?

日本語でこんなことを言われたら、めっちゃ引く。確実に青ざめる。その後のお付き合いは止めておこうとすら思うかもしれない。

私だけですか?これって過剰反応ですか?

日本人に比べてフランス人は過剰な表現が多い、隠れラテン系民族※1だから、ここはスルーしよう。聞かなかったことにしよう。素晴らしく美しいと感動してくれたことだけ覚えておこうと、その場で私は必死に笑顔を作り、心の中の葛藤を押し隠したのです。

※1 隠れラテン系 フランス語はラテン語系言語で他にイタリア語、スペイン語、ポルトガル語等がある。だからフランス人はラテン系民族なんだけど、いわゆる私達日本人のイメージにあるラテン系はパーティー好き、明るくて誰とでも友だちになるオープンマインドという感じ。だからフランス人もラテン系なのさというと皆大抵驚く。でもフランスに13年住んで本当にフランス人はラテン系だとめちゃくちゃ思う。明るくてオープンマインドで誰とでも仲良く。ただちっとアルコールが入らないと、このモードには入りにくい。普通は、ちょっとシニカルな笑いで斜に構えた感じ。なんか的外れたことをいうと、完膚なきままに論破される。結構パリジアンに多いかもしれないけど、こんな感じの仮面を被っている。日々が演劇的だなあと思うのが、フランス人なので、「隠れ」ラテン系とわたしは勝手に呼んでいる。

日本の現実:トイレでご飯は食べないよ 滅多に😅

一応最初に断言しておきます。

もちろん、普段畳やテーブルの上でご飯を食べる私達だって、トイレの床では食事しませんよ!

ほとんどの場合には。

妙に歯切れが悪いのは、私が実際にトイレで食事したことが何度もあるからだ。

ただし、あんなところで食事をするのはやむにやまれぬ事情があるときだけ。

私の場合は、食事時間が10分もないのに、一人にどうしてもなりたかったからだ。

社会人スクールの臨時先生だったとき

私は30人ほどの生徒を持った、社会人スクールの臨時先生だったことがある。就職するための技能を学ぶ学校で皆とても熱心だった。だから午前中の授業が終わっても質問が絶えない。

フランスなら時間ぴったりに終わり、先生はさっさと退席するのだが、日本だとそうはいかない。熱心であればあるほど自分の時間を削ってでも対応する。

元々日本のスクールは長くて昼休みが1時間しかないので、こんな対応をしていたらほとんど時間などなくなってしまう。でも先生は皆の前で大きな声を出して、教室を歩き回りながら教えるから、お昼を食べないと、倒れそうになる。

フランスなら、お昼ごはんを食べながら教えても、あるいは食べ終わるまで自習させても、多分あまり問題はなさそうだ。でも日本でこれをやると恐らく一回目は厳重注意、2回目には仕事を失うことを覚悟しなくてはいけない。

先生方の集まる部屋はあるが、臨時教師には机もない。食事用スペースなどもなかったから、部屋で食べるなら立って食べるしかない。それに生徒が質問に来たら、僅かな昼食時間もなくなってしまう。

そこで、家から持ってきたおにぎり(コメをボール型に固めたもので、中に鮭やツナなどを入れてある)を鞄に隠して、トイレに入った。

ここなら少なくとも個室だから誰にも邪魔されない。でも最初の一口はやはりかなり勇気がいった。外で食べればいいという考えも浮かんだが、外に出るときに生徒に合うことも多いので、リスクを考えると出ないほうがいい。時間はもうない。食べずに授業を始めるよりはと意を決して食べ始めた。

食べ始めてみればほんの数分。他の誰かが入ってくる訳でもなかったから、学校を辞めるまでの数ヶ月。トイレが時間がまったくないときの昼食場所の定番になった。

その後は一度もトイレで食べたことはない。でも似たような状況で、時間とスペースに制限されて、トイレで食事した人は多分絶対にいると思う。いろいろと制限の多い日本ならではの光景かもしれない。

と話は横にそれましたね。ということで本題に戻りましょう。

日本人の事実:ほとんどのトイレはかなり綺麗、でも例外あり

確かに日本のトイレは至るところにあるし、殆どとても綺麗。コンビニのトイレも、カフェのトイレも、ショッピングモールも大体ピッカピカです。

でも割と知られていないトイレってのがあるんです。小さな駅に備え付けのトイレ。時々ほぼ無人の駅のトイレとか、町中に突然存在する公衆トイレ。これは結構ヤバめです。

管理している人がはっきりしているトイレはわかりやすく綺麗。でも誰が管理してるのかぱっと見わかりにくいトイレは結構おぞましいことも多く、パリの汚いトイレとかの比じゃないこともあります。

フランス人の皆さん、日本でトイレに行くなら、大きめの駅のトイレ(有料もある)や、管理者がはっきりしているトイレ(カフェとかレストランとかショッピングモールとか)なら、殆どハズレはありませんよ。安心してね。

フランス語と日本語のTIPS:トイレは複数?トイレ専用の履き物?

フランス語でトイレを探すとき
Où sont les toilettes?
ウソンれトワレット?
といいます。
トイレが複数形なのがね、混乱するの。

日本人はトイレに行きたいとき、「自分の行きたいトイレという場所」をイメージするから、一つしかないでしょ!と思うんだけど、公衆トイレでは複数並んでいますよね?だから複数形なの。

でも実際在仏13年目の私はとっさに、「トイレは複数」とならなくて、
ウソンらトワレット
Où sont la toilette?とか
Je peux aller aux toilettes ?
ジュプあれおトワレット?
とやっちゃいます。
きっと笑われてるけど、今そんなことは大した事ない!私は目的を果たしに行くのだ!
という毅然とした態度でいると、別に何事もなくちゃんと教えてくれますよ。

フランス人の方は、日本の個人宅などで靴を玄関で脱ぐのは知っていると思います。大体スリッパが用意されているから、それを履くのだけど、トイレには別のスリッパがあるから気をつけてね。トイレ専用のスリッパをトイレの外に履いて出てきてはダメです。



元々トイレは汚い場所だから、そこ専門の履き物を使ってねということで、小学校からの集団生活でも、必ずトイレで履き替えるので日本人は慣れているのです。

とはいえ、これも時々やっちゃうのよね。

それぞれの風習にはちゃんと理由があるということを、理解しておくと馴染みやすいかもしれませんね。


次回はもうちょっとトイレの話を続けたいと思います。色んなトイレがあるのよという話。お楽しみにね。


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