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【読了】「繁花」金宇澄著(中国小説邦訳本)

2023年12月末から始まったドラマ「繁花」が中国で大ヒットしているというので早速観ようと思い検索したらCCTV、テンセント(腾讯)で配信の模様。テンセントは結構YouTubeで正式に広告付きで観る事ができるドラマもあるので、探してみたら、さすがに豪華キャストなので海外ライセンス予定なんだろう、海外配信対象ではなかった。

この機会にテンセントの会員になるのもなんとなく悔しかったので色々調べたらなんと2021年に翻訳本が発売になっていることを知った。これは日本でライセンス放送される前にまずは原作を読もうと思い翻訳本を購入。単行本上下巻合わせて5,400円(税抜)、消費税入れたら約6,000円。諦めてテンセントの会員入会のが安かったかなというオチもあるが、今回に限ってはまずは翻訳本購入で良かったと思う。

なぜなら、「繁花」はほぼ上海ことばで書かれており、ドラマも上海語、北京語、広東語などのパターンがあるらしい。いきなり上海語でドラマ観ても普通語もままならない私にはたぶんこの上海語の台詞の面白味はどうせ理解できないだろうなという判断である。

邦訳本、翻訳された浦元里花先生は訳者あとがきにも書いてあったが本当に苦労された事と思う。上海語というか上海ことばはさすがに現地で暮らして
いないと先生でも難しいと思う。それをまた関西弁で訳していただいているのもなんとなくその土地感に密着していてすんなりと受け入れられた。

内容は、中国、上海の60年代~90年代において激変していく社会の中で生活していく様を非常にリアルに細かく表現している。ただ卑俗的な表現が多く個人的には好きにはなれなかった。そういった部分、場面の翻訳も本当に難しかったんだろうなと思った。

中国語の先生にその話をしたところ、配信されているドラマの内容はこの小説の内容とはかなり異なる。ドラマはウォン・カーウァイ(王家卫)監督、豪華キャストなんですが、豪華キャストに合わせてかなり綺麗な感じに改編されている。そもそもウォン・カーウァイ(王家卫)監督は映画が多いので今回は上海のあらゆる場所が綺麗に描かれてるそうだ。小説の内容はかなり泥臭いのに、ドラマはかなり風変りしてしまっているようだ。

小説を題材に改編ドラマとしてまったく違うものであることがわかった。いつか日本で字幕付きが観れるかなと期待して張り切って小説を読んだが、なんか拍子抜けしてしまった。

中国で、ヒットしている要因はきっとウォン・カーウァイ(王家卫)監督の
映像や豪華キャスト(胡歌马伊琍唐嫣)だけなのかなと実感した。

これ、日本でライセンスされるのか。キャスト、監督の名前だけだといくらでもプロモーションはできるだろうが、たぶんこれは日本では厳しいんじゃないのかなと思った。


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