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かんざしを通して日本人のカッコよさを伝えたい!銀製かんざしアーティスト 居野家 華枝さん

プロフィール
ドレスメーカーで5年間勤めたのち本格的に宝飾と彫金を学び、2005年にブランド「Atelier華e(アトリエハナエ)」としてWebショップを立ち上げる。2007年より京都で個展を開催するほか、関東を中心に各百貨店に作品を出展。  2017年 日伊芸術文化教育実行委員会より『日伊王朝ワインラベル芸術創造アーティスト特賞』を受賞する。
2018年 パリ12区のベルシー美術館での【日仏アートハーモニー HIBIKI 展】
シャンパンのアートラベル展示において、   銀製櫛とかんざし【三貴神】が
『日仏至宝芸術アートラベル 名誉栄冠賞』を受賞する。
2019年 モンゴル国立近代美術館での
【日本モンゴル友好アートラベル芸術祭】において、銀のかんざし【イチキシマヒメ】が
『日本モンゴル国際功労芸術褒賞』を受賞する。
現在は、個展やデパート催事で商品の販売をしつつ、一般のお客様からのオーダー品から京都の芸妓や舞妓の銀製装飾品(ぽっちり、かんざし)を手がける。

海外で評価されることで日本の素晴らしさを伝える

記者 居野家さんの今の夢はどんな夢ですか?

居野家 30歳になった辺りで、家紋帳を見て魅了されたんです。自分が、その時やっと家紋のデザインが素晴らしいということに気付いたから、慌てて「知らない日本人がいっぱいいるから伝えないと!」と思いました。
最初は、日本人に日本人のデザイン力の素晴らしさを伝えたくて家紋をやっていたんです。別にヴィトンばかりが素晴らしいわけじゃなくて日本でも十分素敵なものがあるよと。ですが、なかなかストレートに伝えられず、だんだんと自分の力不足も感じるようになりました。
そんな時、だったら一度海外に行こう!と思ったんです。海外で評判になった日本のものって割と日本の人も注目するじゃないですか、そういう意味もあって今は海外でも伝えようとしています。
ただ、最終目標は海外から折り返って、日本の人に改めて日本の文化に興味を持ってもらい、素晴らしさを伝えることです。手描きで描いた友禅の着物を着てみたり、もちろん、かんざしも挿してみてほしいです。

文化交流だけでは終わらせない

記者 期間としていつまでに海外で、いつから日本でという計画はありますか?

居野家 そうですね、私、具体的な計画は・・・なかったですね(笑) 
ちょっと甘いところですね。
1人でやっていて誰も焦らせてくれないから。
ただ、3年前に3年後の春にニューヨークでやりたいってfacebookに書いてたんですよ。そして実際3年後、今年の春に行ったのはモンゴルです(笑)。ちょっと羅針盤がだいぶ違う方向へ行っちゃったんですけど、緩やかに近づいて行けばと思っています。
一気にニューヨークはちょっと難しくて、どこかツテを使えばできるとは思うんですけどね。今までの海外での発表の場は文化交流なのでお金を1円もいただいてないんです。私がこだわっているのは、ニューヨークに行くんだったら文化交流だけでは終わらせられないというところです。物価も旅費も高いので、文化交流じゃなくて、ビジネスにしたい。作品を作る際、彫る作業は職人さんにやってもらっているんです。私が稼げていないと、そういう手伝ってくれる人達にもお金が回らないので、やっぱり文化交流で日本の人達の為に役に立つのかというと、それはズレていると思っています。
なので、そうですね、あと2年後にしましょうか(笑)
2年後にニューヨークでちゃんとビジネスできているようにする。
1年後はちょっとまだ自信がないな。

記者 1年後にするには、何が足りないと思いますか?

居野家  先程言おうとしたのですが、ツテが有れば誰でもニューヨークで展示会みたいなことはすることができるんですよ。でも、私の目標としては、持って行った作品を完売させるくらいの勢いで行きたいと思っているので、そうなると、日系の人がやっているギャラリーを借りて内輪で人を集めて、日本人の人が買って、終わり。という感じでは無理だなと思った時に、足りないのは人脈かな?あと、広報。SNSも日本語でしか書いてないので、海外の人には読まれないですよね。動画の方が色んな国の人に伝えられやすいとも聞いて、発信の仕方を考えています。
海外に行くとしても、海外の人たちがある程度知っている土台をつくって、向こうの人から来るのを待ってます!と言われている状態で行けたら最高だと思います。それには今までのように1人でやるのは難しいです。かんざし単体じゃなくて、日本舞踊の先生やファッションショー等、身に付けてくださる方や宣伝力が有る方など、強力な助っ人が必要なのかなと思います。

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真剣に1人の人と向き合いながら物を作る

記者 今まで話していただいた夢や計画を実現するために、日々どんな実践をされていますか?

居野家 日々、していることと言えば、引きこもって作品を作ることですね。一昨年くらいまではデパートにたくさん物を持って行って売っていましたが、最近はデパートで買い物をする人が少ないと聞くこともあり、私自身が1週間、朝から晩までデパートの売り場に立ってその分の成果が出るのかどうかの疑問がありました。
だったら、今できることは日本の人に対しては、1人1人ご要望を聞いて作品を作ることかなと、真剣に1人の人と向き合いながらオーダーメイドで物を作っています。あちらこちらで出会った人からのオーダーもあるし、全くお会いしたことのない人からオーダーが入って、メールのやり取りだけで作品を完成させたりしています。
どういう望みがあるのかを引き出して、私が形として出してどこまで満足していただけるか、お喜びいただけるものが出来るかというのを真面目にやっていくことで、様々なニーズに対応するという強さが出てくるんですよね。他に社員も居ないので比べるものがないし、何年か前の自分と比べて成長しているのかというのも、なかなかわかりにくいのです。だからそれは、お客様がどれだけ満足しているのか、私にどれだけの対価を払う価値が有ると思ってくれているのかというところで確認しています。
お互いが満足する取引になるように丁寧にやっています。

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かんざしのカッコ良さを知って欲しい

記者 なぜ、そもそもかんざしを始めようと思ったのですか?

居野家 就職は、ウエディングドレスが作りたくてウエディングドレスのメーカーに就職したんです。当時は大阪から京都の会社に通っていて、そのうち京都に住むようになったのですが、やはりドレスは一生やるのは違うなと思うようになって、5年で辞めたんです。
そして、何か身につけるものを作りたいと漠然と思い、ドレスは大き過ぎるし、ターゲットが結婚予定のある女性だけになるので狭い。ジュエリーなら老若男女全てに当てはまるので、ジュエリーデザインの学校に通うことにしました。
学校に通いながらお茶を習ったり、着物を着てみたり、日本文化にも触れ、銀のかんざしにも興味を持つようになりました。かんざしは身に付けてなくてもそれ自体の形がカッコイイですよね。銀のシンプルなかんざしは、時代を経ても飽きのこない力強さがあり、それを現代の人が身につけるともっとカッコイイと思い、かんざしの製作を始めることになりました。せっかく、着物をよく着る街であり、舞妓さんもたくさんいる京都に住んでいるので、かんざしの文化を伝えていきたいです。かんざしの形の銀の透かし模様は、見る人の心を奪う光の陰影があり、日本人の髪色にとても映えるということを知って欲しいですね。

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また “ぽっちり”という装飾品も作っています。舞妓さんが身につける大きな帯留めを“ぽっちり”と言うんですけど、“ぽっちり”が作れたらジュエリーデザイナーとしては頂点かなと割と最初の時に目標したんですよね。せっかく京都に住んでいるので、”ぽっちり”の製作を任されるようになりたいと思っていました。

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『居野家さんが手掛けた、先斗町の舞妓さんのぽっちり』

記者 ”ぽっちり”を作るようになったきっかけは?

居野家 元々、舞妓さんの装飾はやりたいという気持ちがありました。10年目まで毎年、上七軒で個展をやっていたんですよ。5年目ぐらいの時に芸妓さんから、かんざしの依頼があったんです。そこから、”ぽっちり”ももうすぐと思うじゃないですか。そこから5年かかりました(笑)
丸10年目の時に”ぽっちり”を製作することになりました。なかなか入口がわからないですよね。誰に営業に行けばいいのかもわかりませんでしたから。
痺れを切らして、頼まれてもいないのに先に”ぽっちり”を作りました。私がやる気満々でスタンバイしてるけど誰も頼んでくれないのは、やはりあなたに作れるの?という不安があるからなんですよね。なので、頼まれる前に見切り発車で作りました。作り方は誰に教わったわけでもなく見よう見まねです。だってかんざしも誰にも教わったことはないですもの。私のやりたい思いだけですよね。

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記者 最後に読者の皆様に一言をお願いします。

居野家  自分の好きなことしか続かないし、エネルギーが乗らないと思います。そこにエネルギーが入っているからこそ、周りの人が見て素敵だなと思ってくれると思います。多分、器用なだけでエネルギーが入っていないと空虚な感じになってしまう。とにかく好きなことをやるのが大事だと思います。

記者 今日はありがとうございました。

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居野家 華枝さんの活動、連絡については、こちらから↓↓

https://www.hanae18.jp/?mode=pc
Atelier華e(アトリエハナエ)facebookページ→
https://www.facebook.com/Atelierhanae

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編集後記

今回インタビューの記者を担当した帆足、森です。
好きな仕事を通して、沢山の出会いと発見があり今の活動に至っているのだと感じました。かんざしを通して、日本の魅力を世界へ発信される姿がもうすぐそこまでと思うと、とても楽しみです。ご活躍を期待しております。

この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


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