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言葉が見せる風景

今回、コラボする美佳先生の作品。
市橋美佳 ichihashimika - 月ピンクひまこれっきりすきなものは

鈴木しづ子の俳句とともにつくられた作品だ。
市橋さんは俳句について、言葉と言葉がつくる空間みたいなことを言っておられた。言葉と言葉のづれだったかもしれない。

自分は、言葉が見せてくれる風景を撮りたいと思っていると書いたが、思っていない。自分が見ているのは言葉が見せてくれる風景でしかない。聞き取りをしているので、言葉は聞き取りによってえられたことばであり、聞き取りの言葉と自分が、それを本からえた解釈の言葉と目の前の風景との関係に関心がある。
今回は、くらし館での展示であり、くらし館という空間がそこに加わる。見に来てくれた人に、聞き取りの言葉、写真、本の言葉、空間との関係が伝わる展示にしたいと思っている。
(91) hokushi - YouTube  このユーチューブのなかで、話者は、戦争のことを語っている。
北支は雨が降る ぬかるみで歩けん 歩けんのところだけ、自分は、いやに頭に残る。北支に行った藤原さん(話者)がいま、目の前にいる。北支に行ったときの藤原さんは、私の生まれる前のことだ。北支に行った藤原さんが、この山村にいて、80年前のことをしゃべっている。歩けんという一時点の記憶は、80年間も、山村から北支を超えて、ここにある。
雨が降る中国の土地と、戦争と、山のなかで、私はごちゃごちゃになる。

藤原さんの記録をテープに起こしたり、映像と合わせたりしている。藤原さんは大正の生まれだった。
藤原さんの生まれた土地は、厳しい。その山に雨が降っている。岩が、霧が、本当は人間を拒絶している。



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