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80歳に老後のお金について聞いてみた(後編)

先日、老後、第二の人生の過ごし方について伺いました。どんな過ごし方が豊かさを感じさせてくれるのか、とっても参考になりました。が、しかしです、お金について聞き忘れましたので、今回は老後のお金について聞きました。年金の話から、自分が今の同じ立場だったら何にお金を掛けるか、さらに社会や政治に対する関心といった話まで、たくさんのメッセージをお預かりしました。前編・後編に分けてお届けします。よろしくお願いします。

MONOGATARI KAIGI @DAIKON no KAI
#56GIJIROKU

ストーリーテラー 
だいこんの会 
ガチな美術マスター 上さま(85歳)
江戸っ子オーガナイザー かとちゃん(78歳)
言葉のファンタジスタ スーさん(80歳) 
精巧な折り紙職人 ぐっさん(77歳)

ナビゲーター
いまちゃん(36歳)

いまおれだったら、自分に金かけるね自分に。ステップアップ。



ぐっさん 
アメリカの大学なんか、学費もすごく高いから、奨学金返したりするのが大変なんだってね。そういうの報道でやってますよね。

上さま 
日本だっていま奨学金の問題がね。

スーさん 
返してもらえないんだよね、あれ。

上さま 
いま困ってるひと多いよね。

ぐっさん 
アメリカは完全な消費社会だから、若いときにバンバン金使っちゃってね。

スーさん 
でもいま言ったように、リバースモーゲージっていう制度っていうのは、そうやってできてるわけ。

うまいことにね、アメリカの家って新品のときには、うちん中に何にもないのね。で、どんどん金を掛けて良くしてくの。壁を良くしたり屋根を良くしたり。そうすると、古い家が風格が出てくる。

だからそんなに値下がりは、いまんとこ起きてない。

いまちゃん
ああ、そういうことなんですね。

ぐっさん 
日本の家屋だと逆だよね、どんどん建物の価値が下がってくって言うね。

スーさん
だけどむかしは、土地の価値が上がってったから、土地持ってりゃ安心だったでしょ。いまその辺が難しいよね。

ぐっさん
その制度もうまくバランスが取れてればいいけど、リーマンショックのときがその逆だったんでしょ。どんどん「うち買え、うち買え」っつって、金貸し出しちゃって。それで爆発しちゃったわけでしょ。

上さま
アメリカはね。

ぐっさん
だから、いつそういうのが、上手くいかないときが出てくるかだね。

でもリーマンショック、あれで儲けるひとが居るんだってね、やっぱり。

スーさん
あれは金融工学つってね、金融に工学部のひとが入り込んできちゃって、金融を考え工学にしちゃった。

そうすると、いろんな組み合わせの商品が出来上がって、一見よく見えるような商品がたくさん出てきて、みんなそれに食いついちゃった。

ぐっさん
そうなんだってね、数学とか工学のひとが証券も牛耳ってんだってね。やっぱり数字って大事だね。

スーさん
だから、とりあえず、いま家とかマンションを持ってたりするひとたちが、老後食えなくなったとき、銀行に「リバースモーゲージやりたい」って相談に行ったら、とにかく金は出てくる。日本もようやく。

いまちゃん 
なるほど。

ぐっさん 
日本でも土地があるひとは、アパートを建ててどうのこうのって話あるじゃない。あれは?

スーさん 
あれはね、30年で借りてくるんだって。

ぐっさん 
リバースモーゲージってのと似たような話ですか?

スーさん
あれは全然違う。

上さま 
あれは定期借地権かな。

ぐっさん 
そうですか。でもとにかくアメリカってのは、消費しないとダメな国なんでしょ、だからどんどん際限がないんだよね。

スーさん 
でも、資本主義っていうのはそうなんだよ、使わないとダメなんだよ、使って金が回わさないと。

日本人はお金を使わないのをよしとした国民でしょ。だから、資本主義が一番回りにくい形態で発展してきた、おかしな国だよね。

ぐっさん 
だけど、どっちがまともなのかね。

アメリカは4億人居てさ、そのひとたちがみんな消費してぐるぐる回してるわけでしょ。だから上手く回転してるうちはいいけど、うまく回転しないと、よその国行ってちょっかい出して。

アメリカは年中、よその国にちょっかい出してるじゃない。

上さま
いまは景気がいいからね、とくにアメリカはね。それは大統領がいいのか、悪いのかいろいろあるだろうけど、とにかくアメリカってのは資産を持ってるから、国が豊かなんだよね。

ぐっさん 
資源もあるしね。

スーさん 
いま、アメリカが産油国の2番目くらいでしょ。すごいよあの国は。

ぐっさん 
なんか、岩盤の下にある石油を汲み上げるのができたから、どんどん、埋蔵量が増えてるんだって。

上さま
だから石油価格が上がらないで済むんだよね。

ぐっさん 
それでも自然破壊とかっていう問題があるんだって、やってるとね。

スーさん 
石油産出するのに水使うから、その水を流すと川が死ぬっていう、そういうのはあるんだよね。

ぐっさん 
いまはそれでうまく回転させて、儲けてるけど、後にはその跳ね返りがくるわけだよね。

スーさん 
でも、その水をきれいにする技術ってのが、日本にはあって、そこに食い込むって日本が爛々としてんだよね。だからみんな上手く噛み合ってんだよ。

ぐっさん 
おれたちが高校生ぐらいのころかな、学校で「あと20年か30年で石油がなくなる」とかって、言われたけどねぇ。

上さま 
言ってたねぇ。

スーさん 
でも、だんだん、埋蔵量増えてくるもんなぁ。

ぐっさん 
何百年分もあるとかってね。掘削技術とか、技術の進歩ってのは、すごいもんだよね。

上さま 
そう、ほんとねぇ。だけど、年金の話にもどるけど、ぼく、定年後あっちこっち行ってみて、マレーシアだったかタイも、あんまり日本の年金と変わらないね。イギリスもスウェーデンも、ドイツなんかもそうだし。

だから、日本の年金が少ないのか高いのかっていうと、別に高くも低くもないんだなって思ったよ。

でもイギリス人なんか、たとえばさ、元兵隊だった人で、兵隊の方が年金高いだろうと思うけど、まあ、ともかくちゃんとセカンドハウスをもって、女をもってさ。

一同 
(笑)

上さま 
10年も15年もまえの話になっちゃうけど、ちゃんと奥さん本国置いてさ、5年目だか6年目だかってやってたけども。それでも十分食っていけるってのは東南アジアの物価が低かったからだけども。

まあでも、日本の年金っていうのはさ、そういう意味でヨーロッパと変わらなかったね。

スーさん 
年金てね、やろうと思ったら貧しい国が突然やれるんだよな。

貰う側の分母がでかくなるとおかしくなってくんでさ、払う側の分母がでかければいいんだから。だから、カーッと集めたのを分配すれば。

いまちゃん 
ああ、そうですね。

スーさん 
だから結論、あんまり信用しないほうがいいんだろうな。

上さま 
そう、若いひとはこれから考えないといけないよね、いろいろと多角的に。

いまちゃん 
そうですねぇ、まあ20代のころはそんなに考えなくてもいいのかなんて思ったりもしたんですが、35を超えて「少し考えないとなぁ」と思ってきました。

・ ・ ・

20代なり人生前半のひとは社会性もって、世の中の矛盾をなくして、平等の方向にもっていけるような風潮をつくっていってほしい。



上さま 
そうかったってさ、スーさんみたいな儲かる仕事ってないもんね。

スーさん 
そんなこと言っちゃって(笑)。

いまちゃん 
そうですね(笑)。

上さま 
ある程度決まっちゃってるもんね、ベースってね。

スーさん 
どうしてもなくならないような職人っていう、手の仕事がいいですね。手に職をつける。

上さま 
うん、だけど、むかしっからそれは言うじゃない。大工さんでもなんでも、そりゃたしかに間違えはないけど。

ぼくなんかの時代は、女性も腕を磨いとけって言われてたね。

とくに女性の場合は未亡人だったりしたら、子ども残してちょこちょこパートじゃ食わせらんないから、看護婦さんでも先生でも、ほかの技術屋さんでも、技術もってなきゃいけないだろうって。

まあそれはどの世界でも、誰でもみんな同じじゃないの。

いまちゃん 
うーん、たしかに。

スーさん 
おれだったら、自分に金かけるね、自分に。ステップアップ。

いまちゃん 
手に職つけるのに?

スーさん 
も、そうだし、旅して世の中を見るとか、やりたいことを思いっきりやってみる!そういう意味じゃ中途半端だった、わたし。

めんぼくない、めんぼくない(笑)。

いまちゃん
いやいや、そうですか!?

ぐっさん 
スーさんの話聞いてると十分じゃない。

上さま 
スーさんそうやって生きて、生き抜いてんだもん。

スーさん 
生き耐えてね、貧乏でもさ、みんなに遊んでもらうために饅頭持ってきてぇ(笑)!

上さま 
だって、いまのうちだって、まだ若いうちに取得しちゃったんでしょ。

スーさん 
ローン終わったのは、60くらいですよ。

上さま 
自分のうちを早く持つってことは、なんたって強いよね、うん。

スーさん 
そう、帰れる家がいつでもあるってのはいいね。

ぐっさん 
おれがね、金銭的にあんまりダメだってのは、親からすぐ家を譲ってもらったわけ。

スーさん 
あら!やわなんだわ(笑)!

ぐっさん 
そう、だからやわなんだよ、考えが(笑)。

おれは次男なんだけど、「お前はダメだから、将来自分で家を建てるような能力なさそうだから、このうちやるからお前が継げ」つって、兄貴が出てったの。兄貴は出てって、自分でちゃんとやったんだけどね。

スーさん 
それは田舎のうちの話?田舎のうちをもらったの?

ぐっさん 
いやいや、東京の。東京のうち。

スーさん 
東京のうちもらったの!?

上さま 
いいね。

スーさん 
いっちばん、いいね!まいったね。

かとちゃん
すごいね。

ぐっさん
「兄貴は優秀だけどお前は・・・・」って、もらって(笑)。

上さま 
でもいい親だねぇ。

ぐっさん 
兄貴はうち出て、会社でも取締役にまでなっちゃったから、自分でマンション買ったり、家買ったりなんかして。株もやって、だいぶ儲けてるみたい。

そういう兄貴だから、親も分かってったんだろうね。いい学校も出てるし、お前ならほっといても自分でやってくから大丈夫だけど、弟が心配だって。だから、ますますダメになっちゃった(笑)。

上さま 
あるからいいんだよ。

ぐっさん 
若いときにそうやってさ、家のことも心配しないで済んじゃうとさ、どうしてもぼーっとしちゃうんだろうね、楽観的に考えちゃってさ。

でぇ、いまんなって自分たちの孫の将来とかさ、子どもたちの行く末ね、そんなんが心配になちゃって。いまの日本の政府のやり方でいくと、20年後には困ったような社会になるんじゃないかなって、そういうこと心配してるわけだよ。

いま国会でも、ろくに話し合いもしないで、どんどん法案通しちゃうじゃない。外国人雇用の問題だって、そうでしょ。

上さま 
チェックできないんだから、どうしようもないよね。

スーさん 
だってさ、会社で日本人採用するのにね、採用してみんな失敗してんだから。外人のひとをどうやって入れようかなんて、誰もできないよ。いいやつもいれば、悪いやつもいるし。

ぐっさん 
けっきょく外国人を安くつかってっちゅうことでしょ。

上さま 
そうそうそうそう。

スーさん 
人手がないんだから、あれは農家の外国のひとの使い方がよくないんだよ。

上さま 
影で力がはたらいて、変なね、矛盾した法律つくらせてんだから。でも、そういう国なんじゃない、日本ってのは。そういう政治(笑)。

ぐっさん 
移民じゃないとかなんとかってね、わけの分からんこと言ってね。

上さま 
それはもう、選挙に勝つためにめちゃくちゃなこと言って。

でも、選挙なんて言っても若いひとも行かないし、行っても、何にも考えないでみんな自民党に入れちゃったら、そういう意味じゃ、この世の中はもうほんとに終わりだよ(笑)。

スーさん 
われわれの若いときは、どっちかっていうと左だったですよね!どうして変わっちゃったんですかね?

上さま 
そういうステータスがあったんだよ。

スーさん 
ああ〜、やっぱりマルクス、レーニンに影響されて(笑)。

ぐっさん
だからそれをおれね、心配してんの。

いまのね、20代のひとが自民党に入れちゃうのはいいけども、将来自分たちが40、50になったときにどうなるのかと思って。

おれは、いまの政治のやり方だと、70年前に戻るような感じしてるんだよね。物言えないっていう。

スーさん 
70年前ってのは戦後っていうこと?戦前?

ぐっさん 
戦前。なんにも物言えない国になっちゃうっていうことでね。

スーさん 
なんにも物言えないよ、日本は。武力がないんだもん、だから韓国にバカにされちゃってさぁ。

ぐっさん 
だからいまのままで、自民党がずっと権力握ってていいのかなって、思うんだけどね。おれはそれが心配なんだよね。

スーさん 
受けて立つ力だけでやっていこう、っていうのは難しいよね。攻めていく戦争は勝てるけど、受けて勝つってのは将棋だって大変だもんね。もう、受けて受けてさ、大金いっぱい使って固めるだけで。これは大変ですよ。

ぐっさん 
でも世界中がなんか、いまおかしな感じになってるから、まただんだん始まるんだろうね、戦争がね。

スーさん 
戦争は始まんないんじゃないかな、どこの国も教育が上がってきてるからね。

ぐっさん 
世界中がさ、きな臭い感じじゃない?中国にしたってさ。

スーさん 
けっきょくは、みんなおっかないから、口ばっかりだから。

上さま 
やっぱし、世の中ってのは繰り返すんだろうけどさ、ぼくらの時代は強制的に行かされたじゃない。

スーさん 
そう、国民に選択がないんですもんね。

いまちゃん 
ああ。

ぐっさん 
そんな世の中に戻らないようにしたいなって、思うんだけどね(笑)。

上さま
だけど、われわれがこれからずーっとさ、リベラル派で動いたとしても、いまは、われわれが持ってるステータスがないからさ。もう、これからのひとたちがやっていくしかないんだけど。

若いひとたちっていうのは、革新的に選挙で勝つようなムードなり、仕組みが全然できてないじゃない。

とにかく生活が豊かで安心で、われわれが考える平和じゃなくて、いまのこういう状況で楽しく生きていけるように、自分たちで考えて動いていかないと。

いまちゃん
たしかに。

スーさん 
おそらく混乱は待ってるから、自分に金掛けとかないとね。

いまちゃん 
そうですよね。

上さま 
あのねぇ、ちょっと話戻るけど、ぼくが田舎行って子どもながら驚いたのはね、田んぼ作ってるわけでしょ、みんなね。でぇ、その田んぼに稲が、二重にも三重にも筋になってるじゃない。

そうするとそれを5筋ぐらいづつに分けてね、刈っていくわけ。だから虎刈りになるんだけど、5列刈って、5つ飛んで、5列刈って、また5つ飛んでって。

それでさ、「なんで、こういうことするのかなぁ」って、まだ小学生だから聞いたんだよ。そしたら地主が半分もらうからなんだよね。

スーさん 
っはあ〜!!

上さま
だから、作ったひとは半分きしもらえないわけよ。でぇ、その収穫のうちから、またこんど政府に供出させられちゃう。戦争に勝つためだよ、国にみんな出すわけよ。

そしたら食べる物なんて、ほんっとにねぇ、残んないんだよ。地主は、まあ、どんどん入りますよ。

だけど、ぼくはあの現実見たときね、」いいお米をたくさん作ろうって、みんな一生懸命作って、あれじゃあ」って思いましたよ。

だから矛盾してるんだよ。ぼくが育った時代、ぼくの時代でさえ、そうなんだよ。そういう不平等な時代なんだよ。

スーさん 
それは、でも、ムッとしました?

上さま 
子どもながら、差別っていうかな、「ちょっと酷いんじゃないかなぁ」って思ったよね。

スーさん 
ああ、だから左に寄るような、土壌があったんですよね。インテリってのは左ぽかったですよね。

上さま 
そう、だからそういうんで、われわれはさぁ、大学の経済学でも3分の2がアダムスミスなんてのはどうでもよくて、マルクス、レーニンとかそっちにみんな行くっていう、そういう学校の雰囲気とか風潮だったよね。

スーさん 
そうそう、そういう風潮だった。

上さま 
そういうステータスもってたから、みんな。だから労働組合だろうがなんであろうが、社会性をもって対抗していこうとする。

平和じゃないとき過ごしてるから、それが芯にあるんだろうけどもさ。いまは世の中が平和すぎちゃうから、全然もうね。

スーさん 
でもたしかに左だったのに、なんだか知らないけどいつのまにか、右っぽくなってきましたね。

上さま 
それは20代の学生の頃は左でさ、マルクスだ、なんだっていいけど、30代になると子どもできてね。

ぼくの例で言えば、30代になると子育てで保育園行ったりとか、自分が大変じゃない。それで子ども大きくなると、40代50代でさ、労働組合の先頭に立って「賃金上げろ!」なんて、言えない立場になってきちゃうんだよね。

だから20代なり、人生前半のひとは、いま仰るように社会性持って欲しいよね。世の中の矛盾をもっとなくして、平等の方向にもっていけるような取り組みを、そういう風潮をつくるようにもっていってほしいよね。

残念ながら、いまはあんまりなさそうだから。大学生のアンケート見たって、みんな自民党のほうに平気で入れてるみたいだし。

いまちゃん 
とりあえず入れとけばいい、みたいな?

上さま 
うん。

いまちゃん 
そうかぁ。お金の話もそうですが、社会についても関心がないってのが正直なところだったので・・・・。

ひっじょうに勉強になりました。いろいろありがとうございます。今日は時間がきてしまいましたが、またアドバイスを頂ければ嬉しいです。では今日もお疲れ様でした。

・ ・ ・

2019-10-25-FRI
(おわります)

聞いてくれてありがとうございます。いかがでしたか?気に入っていただけたら、ぜひスキ(♡)やフォローをお待ちしています。励みになります。感想やヴィダンシ(ヴィンテージ男子)へのコメント、聞きたい話題などもいただけたら、嬉しいです。頂いたコメントは、ヴィダンシにもちゃんとお届けします。今後の会議の参考にもさせてもらいます。よろしくお願いします!

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