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新しい資本主義と株式会社の限界

こんにちは、田上です。フライトで少し時間ができたので、「新しい資本主義と株式会社の限界」というタイトルで、次の世代である僕らが作っていく新時代の資本主義についてまとめていきたいなと思います。

新しい資本主義と株式会社

タイトルからお察しの通り、新しい資本主義はDAOと共にあります。ただし大前提として、Web3時代に全ての株式会社がDAOに置き換わるわけではありません。特に、アプリケーションレイヤーに位置する一般的なWebサービスを提供するような組織の場合、分散化されていない方が絶対に良いです。

言わずもがな、昨今のWeb3トレンドでは手段が目的化しています。本来DAOは手段でしかないはずが、トレンドを勘違いしてDAOを作ることが目的になっています。株式会社が25万円で作れるのと同じで、DAOを作るのは5分でできますよね。DAOの数よりもDAO関連ツールの方が多いというのは滑稽な話です。

本来Web3で目指したものは、分散化させるべきものを分散化させて運営できるようにすることです。したがって、ここで言及したいのは、株式会社がDAOに置き換わるという表層的な話ではなく、新しい資本主義を作るには株式会社だけでは限界があるということです。

資本主義における21世紀最大の発明

実際に起業してみて実感したことは、資本主義における21世紀最大の発明は間違いなく株式会社であるということです。

「株式」という実態のないものにある程度任意の価値をつけられる株式会社という仕組みは、莫大なレバレッジをかけることで資本主義を大幅にアップデートしました。例えば、創業者が1万円で設立した会社が、資金調達を行うだけでなぜか突然1億円の価値を帯びるのです。

昨今のWeb3の急拡大に疑問を抱いている人は、一度起業してみると良いと思います。暗号資産やNFTで起きているレバレッジは、なにもここ数年、数十年で始まったことではありません。

そういった意味では、新しい資本主義でスタートアップを後押しする政策は、ある意味間違っていないと思います。わかりやすく国力を高めるには、新たな市場、新たな企業を作るのが手っ取り早いです。これは、中央銀行の有するシニョリッジ(通貨発行益)や市中銀行が行う信用創造に近いものがあります。

なぜ日本人の給料は上がらないのか

しかし、当然ながらじゃあみんな起業すれば?というのは現実的ではありません。イーロンマスクの言う通り、日本は沈んでいくだけの国というイメージが強いです。要因はさまざまあると思います。

  • 出生率の低下

  • 年功序列

  • 内需への依存

沈んでいくだけのイメージが強い国において、新たなチャレンジに踏み切るのは相当な勇気がいります。インドやインドネシア、少し前の中国がなぜこれだけの経済成長を実現しているかというと、僕は人口の伸びだけが要因ではないと思っています。

実際に経済発展中の国にいくと、なんだかみんな前を向いている雰囲気を感じます。定量化できるわけではないですが、日本人みたいに他人のやることに揚げ足を取ったりチャチャ入れたりしません。

そんな国民性の貧しい日本では、仮に数百万円、数千万円単位でお金を受け取ったとしても、それを新たなチャレンジに使おうとせず貯金しようとする人が大半を占めると思います。その気持ちは日本にいない僕でもわかります。沈んでいくだけの国で、リスクを取ろうとする人の方がメンタルが異常です。

これは、企業にも同じことが言えます。経済成長が鈍化している国内市場では、利益を再投資しようとせず内部留保する傾向は避けられません。そればかりか、市場からの目もあり、できる限り売上・利益を高めようとするバイアス(PL脳というやつ)がかかるため、結果的に物価は上昇します。

これが、昨今皆さんが感じている「モノは高くなるのに給料は上がらない」の正体です。

新しい資本主義とDAO

新しい資本主義(念のためですが、政府が掲げているものとは無関係)では、「個人の所得倍増」「そのための給料アップおよび投資促進」「貧富格差是正」、このあたりが焦点ではないでしょうか。

この前提に立って、少し株式会社におけるお金の回り方を整理しておきましょう。

株式会社における登場人物は、主に「投資家」「創業者」「従業員」です。この三者におけるパワーバランスは、完全に「投資家 > 創業者 > 従業員」となっています。

上記からもお分かりの通り、株式会社の場合、資本主義のもとでは従業員が最も報われない構造になっているのです。僕が新しい資本主義を実現するために株式会社では限界があると言っているのは、この構造上の欠陥になります。

株式会社の仕組みで勝つのは創業者と投資家だけです。ここに、従業員は含まれません。一方で、僕は4年間自分の会社をやってきて、僕と同じぐらい頑張っている従業員をたくさん見てきました。

もちろん、昨今はストックオプションの設計次第で、従業員にも大きなリターンを出すことが当たり前になりつつあります。しかし、それでも投資家・創業者と従業員のリターンには何十倍、何百倍もの差があります。

自分で言うのもあれですが、最初に始めたというだけでなぜそんなに差が出るのでしょうか?

理由はいくつかあります。中でも最も大きく影響しているのが、「株式会社の場合、ガバナンスとリターンが同じ資産であること」だと思っています。

DAOの構造

株式会社の場合、ガバナンスもリターンもすべて株式で行われます。株式の保有量が多い人が会社の意思決定を担い、株式の保有量が多い人が多くのリターンを得ます。

そのため、仮に従業員にリターンを多く出そうとすると、同時にガバナンスにも影響を与えてしまうのです。これが、株式会社の構造上の欠陥です。個人的には、資本主義における21世紀最大の発明だと思っている株式会社の、唯一どうしようもない欠陥だと思っています。

僕は、DAOが株式会社をアップデートできるのは唯一、この部分だけだと思っています。DAOはよく株式会社のアップデートだと言われますが、資本主義においてはDAOよりも株式会社の方が総合的には優れていると思います。

ただ、「DAOはガバナンスとリターンが異なる資産で行える」この一点に限り、DAOはとてつもないイノベーションを引き起こしています。

どういうことかというと、株式会社がガバナンスもリターンもすべて株式で行うのに対して、DAOは株式とトークンの両方を使います。

DAOのガバナンス・リターン構造:
・ガバナンス:株式
・リターン:トークン

これがなぜイノベーションかというと、この構造であれば従業員が投資家や創業者と同程度で勝てるからです。

前提知識として、DAOがいきなり分散化することはあり得ません。これはMVDという発想に端を持つのですが、いきなり組織を分散化してしまうと、旗振り役が不在となりプロジェクトが前に進みません。そのため、将来的にDAO化する組織でも、立ち上げ当初は株式会社でスタートするのが一般的です。

つまり、DAOになるであろう組織のガバナンスは、引き続き株式で行われるのです。

一方で、株式会社がDAOに切り替わるタイミング(これがWeb3におけるExit)で、株式の保有比率に関係なくトークンが付与されます。つまり、株式を保有していなくてもリターンを得ることができるのです。

株式会社→DAOというフォーマットが出てきたおかげで、ガバナンスとリターンを切り離すことができるようになりました。これは、資本主義におけるとてつもないイノベーションです。


Go far, go together.

海外の有名なことわざに、“If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.”(近くに行くなら1人で、遠くに行くならみんなで)というものがあります。

僕はこの先、1人で事業を立ち上げることはもうしません。小さな目標を達成しても意味ないし楽しくないからです。気の合う仲間と遠くのゴールを目指します。

そして、みんなでゴールに到達した時に、みんなで大きなリターンを手にしたいです。そのためには、株式会社だけでは限界があるわけです。これが僕の描く新しい資本主義です。

僕がDAOにワクワクしているのは、みんなで遠くのゴールを目指せる構造になっているところです。

次回のnoteで、すでにスタートしている2度目のチャレンジについて少し詳細を明かせたらと思っています。積極的に仲間集めも行なっています。良ければTwitterをフォローしてお待ちください。

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