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『魔法唱女エミュレート』全曲解説 前編

こんにちは、幡野です。

本日は、M3秋2021お疲れ様でした!
そして、CDをご購入してくださった皆様本当にありがとうございました!
初めての総監督という事で、色々と詰め込んで制作を突っ走ってきましたが、「全然人が来なかったらどうしよう……」とか思って正直不安でした。
ですが、終わってみればたくさんの方々が手に取ってくださって、とても嬉しかったです!
頑張って作って本当によかった。
BOOTHにて通販も行っておりますので、まだ手に入れていないという方はぜひ!

さて!
本記事では、サークルFAVORITE STEPSのプロデューサー・幡野智宏から見た各楽曲の解説(的な感想)を書いていきたいと思います。
ちなみに各曲には、魔法唱女=MagicalDiva Emulateの頭文字をとって各トラックはMDEというコードを振っています。
今作は第一弾ということでMDE1、そこに曲番号を入れてMDE101というような表記になってます。ちょっとした豆知識でした。
では、スタート!

MDE101『Faith of Emulate』

作詞:内田ましろ
作編曲:ふじそば
歌唱:幡野智宏・かざみりか
楽曲オーダー:00年代のゲーム主題歌みたいなシンセバキバキでかつシンフォニックな曲! そのうえでデュエットにしてほしい!
背景:今アルバムの表題曲です。アニメ・ゲームの主題歌を意識して、キャラクターでなくアーティストが歌っているという形をとっています。

〇作編曲について
偏見と無茶ぶりに満ち溢れたオーダーにも関わらず、ふじそばさんから120%の解答が返ってきてビビりました。
そして、二人のメインメロのラインがいつまでたっても合流しなくて困惑してました。本当に最後まで一緒のところほぼ歌ってない。
ふじそばさんは合唱とかやられている方で、とにかくコーラスワークが巧みです。
ボーカルレコーディングの時、ただひとり作曲家だけが全てのパートを完璧に口ずさめていたのは最早ホラーでしたね……。

〇作詞について
内田ましろ先生の手腕に助けていただきました。
とにかく詰めこみまくったキーワードと世界観と設定を、見事に歌詞のストーリーとして組み込んでくださりました。
アニソンに対しての理解の深さに心から感謝です。もはやエスパーの域。
作品タイトルの"Emulate"を組み込む箇所の見事なこと!

〇こぼれ話・よもやま
実は、今回のコンピアルバムの裏テーマは"格好いいデュエットを作りたい!"でした。
前から「アニソン・ゲーソンで男女デュエットであんまりないよなあ」って思ってたんですよね。
カラオケだったりイベントだったりで男女で一緒に歌うってなった時に、実は選択肢がめっちゃ少ないやん……ってなって悩む、みたいな。
この曲がたくさんの人に好きになってもらって、いずれカラオケで歌ってもらったり、ライブとかでカバーとかいっぱいしてもらいたいなーって願望があったりします。

MDE102『Unite』

作詞;幡野智宏
作編曲:青田圭
歌唱:友利羽乃(starring 幡野智宏)
楽曲オーダー:夕方17時に放送しているようなバトル系ホビーアニメのOPを彷彿とさせる楽曲。
背景:いわゆるキャラクターソング。今回このパターンは"Starring"表記で統一しています。理由はもちろん、格好いいから。
もとは女の子の友利羽乃ちゃんが、人前で歌が歌えないという苦手をはねのけるために別の姿=男性態に変身するというぶっ飛び設定の一曲。自分じゃないから顔出ししても恥ずかしくないもん!

〇作編曲について
青田さんからラフミックス届いた時、良すぎて笑っちゃいました。
イメージピッタリの楽曲だったこともそうですが、とにかく音域が広くて。
幡野をこれでもかって使ってやろうっていうオーラがメロからビンビンに伝わってきました。ありがとう。

〇作詞について
作詞は幡野が担当。
この作品の根幹のモチーフである"歌"と、私自身の物語に対してのこだわりである"手を繋ぐ"ことへの想いを綴っています。
書いている時はずっと今の世界的状況に対しての事と、歌の持つ力でいったい何ができるのかを考えていました。
ちょっと暑苦しいけど、伝わったら嬉しいです。

〇こぼれ話・よもやま
ちなみに最後のフェイクは元々はありませんでした。
レコーディングの時に私が「おさまりつかないんでいれてみたいものがありまして……」と提案して歌ってみたら、ブースの向こうで大ウケして採用されました。
こういう出来事が、誰かと音楽作ってて一番楽しい瞬間かもしれませんね。

MDE103『蒼のインテグリティ』

作詞:西本和子
作編曲:雲毛
歌唱:藤代せつな(starring 未知琉)
楽曲オーダー:とにかく蒼い曲。黒髪美少女が日本刀振り回してる画。たぶん和ロック。
背景:キャラソンその2。武士の家系に生まれた品行方正黒髪ロング美少女剣士・藤代せつなさんが歌い上げます。もしかしたら全曲で一番キャラソンしてる曲かもしれない。ドンドコドンドコピヒョロ~~。

〇作編曲について
雲毛さんはもともとバンド出身で、あまりアニソン方面は詳しくないとのことでした。なので、私の方からいろいろとリファレンスやらイメージ画像や動画などを送りつけました。

キャラクターソング"にとって大事なことは、キャラクターを表現するためにメロディやアレンジ、音作りなどを通常よりもやや誇張・強調(デフォルメ)することだと思っています。
今回では、和ロックということもあって、
「なんか和風の笛がピヒョロ~~ってなってて、シャキーン! みたいな曲です!」
という(アホみたいに語彙力の低い)オーダーを出してしまいましたが、雲毛さんはこれを完璧かつ忠実に再現してくれました。
あまりにも忠実だったがために、ちょっとギャグに片足突っ込んでしまっているきらいもないわけではありませんがそこはキャラソン。デフォルメしたもの勝ちです。

さらに、この曲によって曖昧だった"せつな"のキャラクターの輪郭がはっきりしました。
実をいうと、私のなかで"せつな"というキャラは『真面目な剣道少女』っていうくらいのイメージでした。
真面目以外のキャラクター性や良さが彼女のなかにあるはずなのに、それがわからない。
そんななか、彼女はこの曲を背負ってやってきました。
デフォルメされたアレンジはともすればギャグめいて聞こえるにも関わらず、颯爽と登場した"せつな"はいたって真剣。
この「ピヒョロ~~シャキーン!」を本気で恰好いいと思っているのです。
大真面目で恰好つけられるそんな姿が可愛らしく、そんな一面を垣間見たことによって"せつな"の性格が一気に理解できるようになりました。
自分ひとりでは決して辿りつけなかったであろう発見が出来たのはチームで制作している最大の魅力ですね。

間奏のギターソロが"せつな"の抑圧された感情と決意への昂ぶりを表しててマジでいいから注目して聴いてほしいです。
雲毛ギター、いい音してます。

〇作詞について
作詞は西本和子さん。初稿の時点でクリティカルなDメロの歌詞上がってきてニヤついてました。
改稿を重ねるごとに研ぎ澄まされていって、最終稿は全曲で一番キャラクターの背景や成長が感じられる歌詞に仕上がったと思います。
西本さんから見た『藤代せつな像』のおかげで、さらに"せつな"というキャラクターの深みと筋が通ったと思います。本当にありがたい。

前半はここまで!

結構な分量になっちゃいましたね……。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
4曲目以降は次の記事に書いていきたいと思います。

それではまた!

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