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企業再生(ターンアラウンド)の進め方

世の中はコロナ・ショックでどうも経済情勢の見通しが怪しいので、プロ経営者(特にコンサル出身)が使っている企業再生ノウハウをまとめました。

今回はリーマンショックのように影響が大きく&長引かないように願うばかりですが、必要な方のお役に立てると嬉しいです。

基本的な考え方:Shrink & Growthモデル

企業再生(ターンアラウンド)の定石は、Shrink & Growth(直訳すると、縮んでから成長)です。
何を縮めるのかというと、売上です。

企業が不振に陥る時、売上が下がり、それに伴い利益率も大きく低下(多くの場合は赤字転落)します。
しかし、すべての企業や事業は収益性に「バラつき」があります。どういうことかというと、全体(トータル)で見ると赤字でも、もっと細かく見ていくと赤字の事業と黒字の事業があり、赤字部分が黒字部分の足を引っ張っているということです。
(さらに、事業も細かく見ていくと商品、顧客タイプ、チャネルなどで差が出ます)

この中から、赤字部分を閉じて、黒字部分だけを残す。そうすると売上は下がるが利益額は上がる。
そうやって経営を筋肉質にして足元を固めてから、再び売上の拡大を目指すという考え方になります。

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ステップ①:事業のトリアージ

しかし、「赤字部分を閉じて、黒字部分だけを残しましょう」とシンプルな方針を決めても、実行するのはとても難しいです。

まず、事業別(あるいは商品別、顧客別など)の損益状況を明らかにしないといけません。
経営管理機能がしっかりしている企業であれば当たり前かもしれませんが、多くの企業ではそこまでの管理を行う体制もなければ、必要性も感じていません。
また、事業との紐づけが明確な直接費であれば問題ないのですが、間接費や複数の事業で共有している設備や人員がいるケースでの扱いは慎重に行わなければいけません。

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このような「交通整理」を行った上で、各事業の評価を行うことになります。
加えて、事業の将来性(黒字可能性)を見極めることも必要です。例えば、現状では赤字であっても早期の黒字化が望める事業(損益分岐点が低い等)は生かすべきだし、逆に今は黒字でも今後の見通しが明るくない事業は処分を検討するべきです。
この段階で、数値シミュレーションを行って議論することもあります。

ステップ②:計画的なコスト削減

ここで強調したいのは、ステップ①を踏まえた計画的なコスト削減です。
いきなりコスト削減から考えてしまうと、「項目が大きいものから」、「削りやすいものから」といった具合に、無計画な節約に陥ってしまいがちです。
そうではなく、閉じる事業はバッサリと、続ける事業は上手に最適化しながら進める必要があります。

真っ先に削減を検討したいのが固定費です。
オフィス賃料や各種サービスの見直しは手が付けやすいと思います。
難しい決断や交渉を伴うのが、人件費の削減です。「誰に残ってもらうか」と「辞めてもらう人にどう納得してもらうか」を考えていかなければいけません。

また、広告宣伝費や販促費は費用対効果を明確にしながら、最適化していきます。
(人件費の削減やプロモーション費の最適化の具体的な手法は長くなるので、別途記事にする予定です)

ステップ③:勝ち癖を付ける

これまで主に数字面の話をしてきました。しかし、そもそも会社を支える人材のモチベーションや経営陣への支持を維持できなければ、再建は難しくなります。

企業が不振に陥ると、中にいるメンバーは大きな不安を抱えながら、当事者として自信を失っている状況です。その中で新しい方針を立てて改革を行おうとしても、「本当にうまくいくのかな・・・」と不信(注:不振と掛けているわけではありません)を抱いています。

経営者がまず行うべきことは、最も有望な事業に経営資源を集中させることで、早期に「小さな成果」(Quick Win)を出すことです。これを続けていくことで、メンバーに自信が戻ってきて、会社にも活気が生まれてきます。(このあたりのノウハウもまた記事にしたいと思います)

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