PMIで最初にやること
引き続き、M&A関連です。
今回は、M&Aに伴い発生するPMI(経営統合(Post-Merger Integration)について書きます。
事業の目線合わせ
今後、買収した会社をどのように舵取りしていくのか、関係者(ステークホルダー)間で協議します。
ビジネス・デュー・デリジェンスの過程で大枠が明確になっていることが望ましいですが、そうであったとしてもなかったとしても、見直しが必要な部分は改めて検討します。
そして、事業計画をベースに具体的な目標をKPIレベルで設定します。
目標を具体的に定めておかないと、後でうまく行った/行かなかったの判断がぶれてしまうからです。
この方向性が現経営陣と一致しない場合は、入れ替えも検討しなければなりません。
稀にですが、経営陣の退任はPMI前に決定していて、新たに経営陣を送り込んだが、彼らと親会社との方向性が擦り合わず、また他の経営メンバーを探すことになることもあります。
しかし、時間が経ってからそういうことが判明するよりも、PMI開始前に「見切り」を付けて適切な手を受けたことは賢明な判断です。
自社側の体制整備
対象会社の経営陣とやり取りする自社側の担当窓口を検討します。
親会社の経営陣が直接と言うこともあるでしょうし、特定の事業部との協業が見込まれるのであれば、事業部長や統括役員が見ることもあるでしょう。
機能的な観点に加えて、人間同士の相性も考慮に入れる必要があります。
対象会社の経営陣と水が合い、親密な人間関係を構築できる人選が望ましいです。そうしないと、PMIの過程でどこかぎくしゃくしてしまいます。
これは必ずしもスキルの問題ではなく、人間は誰でも合う・合わないがあるので、適性の問題だと考えます。
コミュニケーション設計
PMIを進めるにあたって、親会社と対象会社の間でどういうやり取りを、どのタイミングで、誰と誰が行うのかを決めます。
経営レベルでは、最初のステップで設定した目標値の進捗確認や経営会議を定例化するとして、月1で関係者総出やるのか、週1で関係メンバーだけでやるのかといったことです。
また、計画のマイルストーンを達成するためにいくつかプロジェクトも走らせる必要があると思いますので、それらのスケジューリングも必要です。
スタッフレベルでも、現場同士の顔合わせ、各種イベント、研修・トレーニング、交流会(飲み会)など、いつどのタイミングで、どんなメンバーを対象に、どんなことを行うのが効果的かを入念に検討する必要があります。
どうするのが「ベスト」かはケースバイケースです。例えば、以下の観点から検討するとよいと思います。
・対象会社を独立組織として扱うのか、統合してしまうのか
・事業シナジーとして、機能統合をどこまで織り込んでいるのか
・現場レベルの連携は戦略的にどの程度重要か
・企業の制度や社風はどれぐらい近いか
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