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【ヤフー&LINE経営統合】株価算定パートの考察

はじめに

11月18日(月)にZHD(旧ヤフージャパン)とLINEの経営統合に関する基本合意が締結されました。

株価算定パートについて、少し読んでみたので内容をまとめます。

対等合併と言う「結論ありき」と言えど、同じ算定手法でも違いが大きく出ていました。

株価算定結果

ZHDが三菱UFJモルガン・スタンレー(MUMSS)を、LINEがJPモルガン(JPM)を算定機関として起用し、それぞれ独立に適正な交換比率のレンジを算定しています。

⓪最終合意の内容⇒交換比率11.75

①市場株価分析
MUMSS⇒7.52-17.57
JPM⇒11.44-12.65

②類似企業比較分析
MUMSS⇒9.36-16.04
JPM⇒算定なし

③DCF分析
MUMSS⇒9.39-14.37
JPM⇒7.05-14.21

表:最終合意の内容

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表:MUMSSの算定結果

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表:JPMの算定結果

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①市場株価分析

憶測記事が出た11月13日から、1か月、3ヶ月、6ヶ月の株価を計算に使ったのは両社とも同じです。

それぞれ、

MUMSS:【最高値&最安値】を使う⇒7.52-17.57
JPM:【終値の単純平均値】を使う⇒11.44-12.65

という違いが結果の違いに出ています。

(個人的には、JPMの方がレンジが絞れていてスマートな感じがします。)

②類似企業比較分析

これはMUMSSのみが実施しています。
事業別に価値評価を行う Sum-of-the-Parts 分析(SoTP分析)を実施していることが目を引きます。
(ソフトバンクグループが決算説明会で多用している分析で、孫さんが好む分析なのかもしれません。)

比較対象は、カカクコム、サイバーエージェント、電通、博報堂DY、ZOZO、楽天、GMO インターネット、DeNA、PayPal、Squareの日米株式市場に上場しているメディア、EC、金融事業を営む10社です。

これを、EV/EBITDA マルチプルやPER マルチプル等を用いて比較し、「9.36-16.04」という結果を出しています。

③DCF法

いずれの会社も、両社が提出した事業計画に基づき算定しています。

LINEの事業計画の特徴として、直近は投資による赤字が続き、その後大幅に改善する計画であったことが説明されています。

なお、計画そのもののDDはされていないようです。
MUMSSはここでも先ほどの【SoTP分析】を使っています。

その結果、以下の違いが出ています。

MUMSS⇒9.39-14.37
JPM⇒7.05-14.21

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