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感情の迷い家―特別篇「森羅に謎めく万象と虚実が継ぎ接ぐ感情世界」考察メモ

本日過去イベントとして実装されたノーフィール+感情4姉妹特別篇の考察記事です。twitterからの再掲です。

迷い家に招かれる客、招かれざる客

今回のイベストの下敷きになっているのはシードモンスターのマヨイヤの名前にもあるように、「マヨイガ」伝承です。マヨイガは迷い家と書き、有名なところでは柳田國男『遠野物語』に記述があります。

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マヨイガ伝承では、山中で道に迷った村人が突然無人の豪邸に行き当たります。その家にある什器を持ち出すことで迷い人のもとに富が舞い込むようになるという顛末をたどり、こうした話の類型は「椀貸物語」とも呼ばれます。

ではなぜノーフィールがマヨイガに呼ばれることになったのか?

遠野物語には2つの説話があります。最初のひとつ(六三)では、ある貧しい家に嫁いだ女性が蕗を取りに谷奥に入り込み、黒い立派な門と広大な畜舎を持つ豪邸に辿り着きます。家の中には朱黒塗りの膳椀や鉄瓶が放置されているのですが、女性は恐ろしくなって逃げ出してしまいます。マヨイガに迷い着いたものの何も持って帰ってこれなかったこの女性の元に、後日になってその家の椀が流れ着きます。それで穀物を掬ってみたところいくらでも湧き出てくることがわかり、この富をもって女性の家は代々栄えることとなりました。

しかしもうひとつの話(六四)は、違う結末を迎えます。同じくマヨイガにたどり着いた男性は、村に戻ったあとでそこの椀を持ち帰れば長者になれたのにと聞き、もういちどその家を探します。しかし富を求めてマヨイガを探した2回めは、再びそこに辿り着くことはできませんでした。男の家はその後も富を得ることはなかったと記されています。
つまりマヨイガを訪ねるには、無欲であることが条件だったのですね。

だから感情のないノーフィールにしかこのマヨイガに呼ばれる資格はなく、感情の具現である妹たちはそれを封じられなければその中に立ち入ることはできなかったわけです。
ノーフィール自身もゼアとの対戦で、感情を取り戻して勝気に逸った途端劣勢になります。欲を捨てなければマヨイガでのゲームには勝てなかったということですね。

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ふつうは感情のないキャラが感情を得て覚醒だ!みたいなストーリーになりがちなのだけど、そうではなく感情を保留することが虚無兄の在り方なんだというところに設定込みで持っていくのが、さすがメルストだなって思いました。


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