黒畑 智英

本業はコピーライターです。 企業のCIや、商品・サービスのコピーをつくっています。 裏…

黒畑 智英

本業はコピーライターです。 企業のCIや、商品・サービスのコピーをつくっています。 裏の顔は世相を切るラッパーです。 はてブロ⏩https://tomoe-kurohata.hatenablog.com/

記事一覧

結婚指輪恐怖症

結婚指輪恐怖症なのかもしれない。深夜に起床した私はそう思った。このことについて、私はこれまで無自覚無症状で生きてきた。それは幸せなことだったのかもしれない。…

黒畑 智英
9か月前
14

快楽を求めることは地獄の入り口か

快楽が好きか 人は少なからず、快楽を求める快楽主義者だと思う。人だけでなく、恐らく多くの生き物が本来はそうだ。有名な話で言えば、ラットを使った実験でこんなものが…

黒畑 智英
1年前
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読書感想文コンテスト、「こころが目覚めた日」が河出書房さんから最優秀賞をいただきました!ありがとうございました😊 #note #読書の秋2022

黒畑 智英
1年前
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5年後の大相撲を予想する

 みなさん、ごきげんよう。私は学生時代から大相撲中継のアルバイトを長年続けている大相撲LOVERの一人である。そんな私が、5年後の大相撲における三役以上の番付を予想し…

黒畑 智英
1年前
4

死にたい夜とアマミホシゾラフグの求愛行動

 その夜、私は相変わらずやってくる突発的な鬱周期に苛まれ「死にてえ!」と叫びながら、インターネットで「動物 求愛行動」と検索していた。自分は動物から好かれるムツ…

黒畑 智英
1年前
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よく似たお色 黒畑智英

いなくなったお父さんの記憶。曖昧なそれらを繋いでも、私にとってのお父さんは、母親の言う「ろくでなし」とは結び付かない「いい父親」でした。

黒畑 智英
1年前
1

カラフル屋根の上に、ロープウェイ

 私がリュック一つでコロンビアを旅していた時の話をしようと思う。当時大学生だった私は、夏休みを使って、中南米をアンデス山脈沿いにチリまで南下していく旅の最中だっ…

黒畑 智英
1年前
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ノウェルの亡霊

第一章 A piece of the dead runs far away.死体配達の任務 「上半身は北へ、下半身は南へ頼むよ」  中尉がそう言って、大きな袋を二つ、自分とマルクスに手渡した。片…

黒畑 智英
1年前
1

こころが目覚めた日

 朝起きて、まず体の内側、胃や腸なんかを意識してみる。意識を向けた途端に、下腹部がゴロゴロと鳴ったのは偶然だろうか。「おお、私の小宇宙が食事を求めておるな」と厳…

黒畑 智英
1年前
10

旅をして見つける、もうひとつの時間

極北を旅する 星野道夫さんの著書、『旅をする木』を読み終わり、そっと本を机の上に置く。手元のカップに残った紅茶を飲みきろうとし口をつけると、すっかり冷めていた。…

黒畑 智英
1年前
2

死にがいとよく似た、生きがいを探して

 朝井リョウの小説『死にがいを求めて生きているの』を読み終わったのは、もう数週間前。突き刺さって、心を抉るような内容だっただけに、その感想を書き始めるのには時間…

黒畑 智英
1年前
14

グラマラスパンティー恐るゝに足らず!

人目を気にして生きている  「これをしたら、あの人に悪い気がする」「こんなこと言ったら引かれるかなあ」「とりあえず、ここは遠慮しておこう」…。人を喜ばせる“おも…

黒畑 智英
1年前
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ドラえもんこそが、シンギュラリティの到来である

 大層奇妙なタイトルをつけてしまった。これは私のとある体験に基づく話である。私にとって異様に不可解だが、言いようのない感動と安心感を同時に与えてくれた奇跡のよう…

黒畑 智英
1年前
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コピーライターって何やねん?

「職業:コピーライター」という奇妙な肩書き 初めまして。黒畑です。クロって呼んでください。  私の職業はコピーライターです。  コピーライターという仕事を確立し…

黒畑 智英
1年前
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結婚指輪恐怖症

結婚指輪恐怖症

結婚指輪恐怖症なのかもしれない。深夜に起床した私はそう思った。このことについて、私はこれまで無自覚無症状で生きてきた。それは幸せなことだったのかもしれない。けれど、どうやら「結婚適齢期」と言われる年齢に近づくにつれ、深層心理で私は、ソレを意識し始めているらしい。そしてそのことによって初めて、自分の中に潜んでいた、まだ世に名称のない恐怖症の存在を自覚してしまった。

明日も仕事で早い

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快楽を求めることは地獄の入り口か

快楽を求めることは地獄の入り口か

快楽が好きか 人は少なからず、快楽を求める快楽主義者だと思う。人だけでなく、恐らく多くの生き物が本来はそうだ。有名な話で言えば、ラットを使った実験でこんなものがあった。電極に繋がれた自身の脳に快楽物質を発生させるボタンを目の前に用意されたラットは、寝食を忘れ、1時間に実に7000回以上もそのボタンを押し続けた。そしてそのまま快楽や多幸感の夢の中、飢えと睡眠不足によって死んでしまったのだ。それほどま

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読書感想文コンテスト、「こころが目覚めた日」が河出書房さんから最優秀賞をいただきました!ありがとうございました😊 #note #読書の秋2022

5年後の大相撲を予想する

5年後の大相撲を予想する

 みなさん、ごきげんよう。私は学生時代から大相撲中継のアルバイトを長年続けている大相撲LOVERの一人である。そんな私が、5年後の大相撲における三役以上の番付を予想したいと思う。あくまで、今幕下以上にいるメンツからの出世予想になるので、向こう5年の間に新顔がスピード出世する可能性も大いにあるが、そこは諦めて、現時点での予想をさせていただこう。

【横綱】 
朝乃山  豊昇龍
【大関】 
貴景勝  

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死にたい夜とアマミホシゾラフグの求愛行動

死にたい夜とアマミホシゾラフグの求愛行動

 その夜、私は相変わらずやってくる突発的な鬱周期に苛まれ「死にてえ!」と叫びながら、インターネットで「動物 求愛行動」と検索していた。自分は動物から好かれるムツゴロウさん的な異能者ではないが、それでもあらゆる動物に対し、報われぬ片思いをし続けている。どうしようもなくアニマルラバーである。犬や猫ももちろん好きだが、およそペットとして飼えないような僻地の珍しい動物に至るまで、私は無性の愛を注いでいる。

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よく似たお色 黒畑智英

いなくなったお父さんの記憶。曖昧なそれらを繋いでも、私にとってのお父さんは、母親の言う「ろくでなし」とは結び付かない「いい父親」でした。

カラフル屋根の上に、ロープウェイ

カラフル屋根の上に、ロープウェイ

 私がリュック一つでコロンビアを旅していた時の話をしようと思う。当時大学生だった私は、夏休みを使って、中南米をアンデス山脈沿いにチリまで南下していく旅の最中だった。メキシコではチラホラと見かけたアジア人も、コロンビアに渡ると全く見なくなり、たまたま入った店でウェイターに尋ねても、東洋人が来るのはかなり珍しいと言われたのを覚えている。
 女子大生が一人でフラフラしているのもあまりよろしくないような治

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ノウェルの亡霊

第一章 A piece of the dead runs far away.死体配達の任務

「上半身は北へ、下半身は南へ頼むよ」

 中尉がそう言って、大きな袋を二つ、自分とマルクスに手渡した。片方を受け取ると、袋はずっしりと重かった。死体の半分が入っているのだ、当然である。 
 俺たちは敬礼し、声を合わせて中尉の命令を復唱した。

「は!上半身は北!下半身は南!」

 ちらりと横目でマルクスを

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こころが目覚めた日

こころが目覚めた日

 朝起きて、まず体の内側、胃や腸なんかを意識してみる。意識を向けた途端に、下腹部がゴロゴロと鳴ったのは偶然だろうか。「おお、私の小宇宙が食事を求めておるな」と厳かに独り言を呟いてキッチンへ向かう。
 日々食事を摂るたびに宇宙との繋がりを感じるようになったのは、解剖学者・三木成夫さんの名著『内臓とこころ』を読んだせいだ。控えめに言って、今年読んだ中で一番面白い本だった。私の今後の人生にも大きく関わる

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旅をして見つける、もうひとつの時間

旅をして見つける、もうひとつの時間

極北を旅する 星野道夫さんの著書、『旅をする木』を読み終わり、そっと本を机の上に置く。手元のカップに残った紅茶を飲みきろうとし口をつけると、すっかり冷めていた。ずいぶん時間が経っていたようだ。
 もともと写真家・探検家としての彼のファンだった私は、ゆっくり、大切な思い出の箱を一つずつ開けるような感覚で、この本のページを捲っては、念入りに文字を追っていった。
 1ページ目を捲った途端、もうそこにアラ

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死にがいとよく似た、生きがいを探して

死にがいとよく似た、生きがいを探して

 朝井リョウの小説『死にがいを求めて生きているの』を読み終わったのは、もう数週間前。突き刺さって、心を抉るような内容だっただけに、その感想を書き始めるのには時間がかかってしまった。
 結構なボリュームのある小説だったが、ページを捲る手を止められず、間に仕事を挟みつつ二日で読み終わってしまった。映像も音もない文字の羅列にここまで引き込まれたのは、何年ぶりだろうか。

誰かと対立しないと生きられない堀

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グラマラスパンティー恐るゝに足らず!

グラマラスパンティー恐るゝに足らず!

人目を気にして生きている

 「これをしたら、あの人に悪い気がする」「こんなこと言ったら引かれるかなあ」「とりあえず、ここは遠慮しておこう」…。人を喜ばせる“おもてなし”の反面で、気遣いに狂わされている国、ニッポンへようこそ。諸外国から訪れた皆々様はどうぞごゆるりと見物していってください。

 “日本人”と一括りにするステレオタイプはあまり好きではないのだが、しかし日本という国のカルチャーとして、

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ドラえもんこそが、シンギュラリティの到来である

ドラえもんこそが、シンギュラリティの到来である

 大層奇妙なタイトルをつけてしまった。これは私のとある体験に基づく話である。私にとって異様に不可解だが、言いようのない感動と安心感を同時に与えてくれた奇跡のような体験なので、是非とも諸君らと共有したい。

 さて、諸君はシンギュラリティという言葉を聞いたことがあるだろうか。シンギュラリティとは、人工知能(AI)が人類の知識を超える技術的特異点。またはそれがもたらす世界の変化のことを言う。これについ

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コピーライターって何やねん?

コピーライターって何やねん?

「職業:コピーライター」という奇妙な肩書き 初めまして。黒畑です。クロって呼んでください。
 私の職業はコピーライターです。

 コピーライターという仕事を確立した人といえば、日本では糸井重里さんが有名ですね。
 かっこいい横文字の職業ですが、要は広告屋さんです。広告業界におけるライターさんが、コピーライターさんなのですね。
 そんなコピーライターの仕事って、実際どんなもんなんでしょう?あまりその

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