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「PERFECT DAYS」

「PERFECT DAYS」を映画館で観た。

主人公平山の日々のルーティンが、同じことの繰り返しではなく、何でもない1日がこんなにもドラマチックなんだなと、あらためて気づかされた思いがする(映画作品だからというわけではなく、本当はどの人の日常もすごくユニークで、まったく同じ日はやって来ないという極めてあたりまえの事実に気づく)。

ヴィム・ヴェンダース監督のロングインタビューで、平山がmonk(僧侶)であると形容していて、なるほどと思った。市井の人に見せる無口で穏やかで優しい表情ばかりでなく、家族(妹や姪)に見せる温かな言動が見えたり、職場の後輩や会社に対し感情的になる場面もあり、喜怒哀楽がとても人間的だなと。何より、時折見せる平山の嬉しそうな笑顔がすごく心地よく印象に残った。

ラストシーンの平山の笑顔と涙の意味は何だったんだろう。

映画を観終わった後トイレに立ち寄り、このトイレを清掃する人の日常を勝手に想像してしまい、にやけてしまった。

映画館へ行く途中、地下鉄の車内で隣に座る人から、何か異臭がした。作業服を着ていて、どこか現場に行くのか、仕事終わりなのか分からないけど、ちょっと汗っぽく、ケミカルな臭い。不衛生かも・・と、ふと思ってしまったのだけど、平山を観た後は見え方が変わった。あの人にも、ユニークで貴い日常がきっとあるのだなと。

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