見出し画像

BranCo!優勝したのでBranCo!攻略法を書く

BranCo!2020優勝しました。去年のBranCo!2019が一次予選落ちでめちゃくちゃ悔しくて(しかもサークル同期が決勝に進んでめっちゃ嫉妬した)、一年間いろいろなコンペ出たりして経験積んで、一年越しにリベンジしました。

BranCo!のコツとかってどこかに乗ってるようであんま乗ってないので(2016の優勝者が記事書いてたのは見つけました)、来年以降出る人に向けてアドバイスやコツ的なものを書きたいと思います。

①過去の作品をめちゃくちゃ研究する

どんな作品が評価されたかの傾向を知るため、知り合いで二次予選まで進んでいる人がいたらスライド資料を送ってもらいました。僕が参考にしたのは、2017(平和)のギリギリ決勝いけなかったやつ、2018(笑い)グランプリ、2019(暇)のグランプリ、決勝進出、決勝ギリいけなかったやつ、です。その他、「BranCo! 決勝」とかでググると、博報堂だったり朝日新聞だったり東大のウェブメディアだったりが決勝のレポート記事を出しているのを見つけられるので、それも参考にしました。2016くらいまでは遡れます。

BranCo!以外だと、コクヨデザインアワードTOKYO MIDTOWN AWARDとかを参考にしました。あとキャリアインカレ2017の優勝作品。これは僕が今までみたビジコン系のアイデアで一番面白いと思っています。ちなみにこの人たちはBranCo!2017も優勝しています。

②企画は3行で伝わるように

審査員は20の企画案を数時間でみるので、基本的に覚えてもらえないと思ったほうがいいです。inputのロジックを複雑にしたり、outputに要素を盛り込みすぎると、結局何が伝えたかったのかがわからなくなります。inputからoutputまでを三行で伝わるように書けなければ、要素が多すぎて伝わりづらいです。

ここでおすすめのやり方が(ボヴェさんに「攻略法見つかっちゃったね!」って言われた)、「記事になったことを想定して逆算する」です。BranCo!って毎年だいたい決勝レポート記事がどっかしらであがるんですが、その記事に載ることを想定して企画案の要約を書きました。こんなかんじ↓

アイデアの豊洲市場は、「自分だけが知らない、自分以外は全員知っている秘密」を「逆秘密」を名づけたうえで、「人は自分の持つ狭い『いい顔』に縛られてる」というインサイトのもと、他者とのインタラクション・コミュニケーションを通して、今まで気づいていなかった自分の魅力的な一面(=逆秘密)を知るポーカーゲームのブランド「face poker」を提案しました。

アイデアが複数乱立して、どれを選ぶか迷ったときは、一旦記事化して、記事映えするものを選びました。この選び方って結構重要で、今回の決勝でかなり面白い案があったのですが、その案は「プレゼンは面白いが記事になったときに誤解を招かれない」という理由で受賞しませんでした。「小学生が学校でう〇こをするといじめられる」問題を解決する、画期的な提案だったのですが、「今年の優勝作品はう〇こです」は記事的によくない。

③とにかく名前をつけろ!

BranCo!はinputでどれだけ新しい概念に名前をつけられるか勝負です。2019の優勝作品は、何もしないことに「ぼんやりんぐ」という名前をつけました。BranCo!特別編サントリー部門の優勝作品は、「飲みに誘ったときにはモチベ高かったのに、飲み会当日になったらモチベ低い」という状況を「タスク飲み」と名付けました。僕たちは、ドッキリのような「自分だけが知らない、自分以外は全員知っている秘密」を「逆秘密」を名付けました。

これってけっこうプレゼンテクニックじゃない?って思われがちで、実際僕もずっとただのプレゼンテクニックだと思ってたんですが、BranCo!2020をやってくうちに実はもっと重要なことなのではないかと考え始めました。

それは、「社会記号」です。詳しくは一橋大学商学部の松井剛教授と博報堂ケトルの嶋浩一郎さんが書いた「欲望することば」という本を読めばいろいろわかると思います。

要約すると、名前をつけることによって潜在化していた欲望に人々が気付き、市場が生まれるというものです。例えば「加齢臭」という言葉を資生堂が生み出されたことによって、中年男性が自分の体臭を気にするようになり市場が拡大した、みたいな話です。また「電博」という言葉を博報堂が生み出したことにより、博報堂は今の地位を築いた、とかも。たぶんGOの三浦さんの「言語化力」にも似たようなことが書かれているんじゃないでしょうか。(まだ読んでないけど)

つまりBranCo!において、input部分で新しい概念に名前をつけることは、そのままそれが社会実装されたときの社会記号になります。「ぼんやりング」「タスク飲み」という言葉を人々が認識することによって、そのブランドが新しい価値として定着します。「ぼんやりング」をしたいから、「タスク飲み」を避けたいから、そんな理由で消費行動は生まれます。

僕も企画を考える際に、まずコンセプトとして社会記号を考えて、その社会記号がどう社会に定着するかを想像してアウトプットを作っていきました。

④BranCo!は「パクられたら勝ち」!

僕はBranCo!以外にも広告コンペに出てて、何個か優勝したことがあるのですが、BranCo!と他のコンペで決定的に違うことが一つあると感じています。

それは、他のコンペは「パクられたら負け」なのに対して、BranCo!は「パクられた勝ち」という点です。

どういうことか。他の広告コンペ(ここではマスナビチャレンジや販促コンペなどを想定してます。キャリアインカレなどのビジコンもそうでしょう)には基本的にクライアント企業がいます。そして、企画に求められるものの一つとして「他の企業(商材)じゃできない」があります。つまり、他の企業が再現できてしまう企画は良くない企画なのです。キリンがクライアントなら、アサヒやサントリーじゃできない企画が求められます。

対して、BranCo!は「パクられたら勝ち」です。BranCo!で求められているのは、社会に新しい価値を提案できるか。そして提供価値を一言で表すのがコンセプト。現に2019優勝作品「燔屋」で評価されたのはアウトプットではなく、「ぼんやりング」というコンセプトだと僕は考えています。「何もしないこと」に名前をつけることで、そこに消費行動を生み出し、社会に新しい価値を生み出した。もし本当に「燔屋」が世の中にリリースされたら、きっと非公式の「燔屋」や個人経営の「燔屋」が世の中に溢れかえると思います。すなわち、パクられる。でも、それでいいんです。ビジネスを生み出すことがBranCo!の最終目標ではなく、社会に新しいイノベーションを生み出すことが最終目標です。「何もしないこと」に価値を付与した時点で、イノベーションは生まれた。コンセプトの時点で「燔屋」の優勝は決まっていたのです。


こんなもんですかね。細かいテクニカルはいろいろとありますが(outputはアプリよりプロダクトのほうが好まれる、とか)、優勝を狙っていくにあたって意識しておきたいのは以上4つだと思います。これを無料公開することで来年度のレベルがぐんと上がってくれたら幸いです。