ハイパーインフレに苦しむベネズエラ
2018年8月21日と26日のツイートより
> https://twitter.com/tomo161382/status/1031750323025534976
ベネズエラの通貨、ボリバルの現状です。
他のチャートはこちらをご覧ください。
https://ja.valutafx.com/VEF-USD.htm
Yahoo! News にも出ていました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180821-00000016-jij_afp-int(今は消えています)
後で書こうと思っていたのですが、先にニュースが出ているので、そこでカバーされていなさそうなところを時間のある時に補足しようかと思います。
ベネズエラから亡命した人々が隣国のコロンビアを超えてエクアドルにまで達し、さらにそこからその先のペルーやチリまで向かう人もいるようです。
ベネズエラはカリブ海に面する南米の産油国で、西にコロンビア、東にガイアナ、南にブラジルと国境を接しています。
エクアドルはコリンビアのさらに西の国で、すでにコロンビアを通って55万人ものベネズエラ人が入国しているようです。
コロンビアとエクアドルの国境はアンデス山脈の高地にあるのですが、それでもそこを超えようとする人が毎日何千人と集まってくるそうです。
ベネズエラはニコラス・マドゥロ現大統領の専制政治のような状況になっているのですが、脆弱な通貨に苦しんでいました。そして、8月20日に金額から0を5個削り取る(通貨単位を10万分の1にする)デノミを行った事が話題になりました。
ベネズエラの通貨のボリバルは、公式にはドルペッグの固定相場制をとっていますが、米国よりもインフレ率が高いため相対的に安い外国製品の輸入が止まらず、たびたび通貨の切り下げをしてきました。
また、国内に固定相場の為替制度(DIPRO)の他、補助的な変動相場の為替制度(DICOM)を持ち、DIPROが適用できる対象は限られていました。
そんな中、2月にボリバルの価値を99.6%下げると発表しました。これは変動相場のDICOMに対しても86.6%も下回った価値です。
これは進行中のインフレに対応するための措置でしたが、それでもまだ闇市場の相場を上回っていたそうです。
そして、その後もインフレは止まらず、さらに何度も通貨の切り下げを行って、とうとう今回のデノミになりました。
さらにデノミ後の新しい通貨は、ドルペッグではなく、独自の暗号通貨「ペトロ」にペッグするとしていて、ペトロの価値はベネズエラの油田で担保するとしています。が、油田が算出する石油の権利は、大半が中国とロシアに対する借金の支払いに回されてしまうと指摘されています。
このような状況なので、今回のデノミがインフレを止めることになるとは誰も信じていません。
また、今年の5月の選挙で、大統領の任期が2025年にまで延長されたため、政権交代がこの状況を止めるということも期待できません。
8月4日には、国家警備隊設立81周年イベントの最中に、大統領暗殺を意図したドローン爆弾が爆発するという事件がありましたが、今後も亡命者の増加と暴力的な反政府運動は止まらないのではないでしょうか。
インフレを止めるためには、通貨の無制限の発行を止め、財政規律を回復して通貨の信任を取り戻すことしかないと指摘されていますが、それが実行される見込みは今のところないようです。
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