決算の読み方:シャープ

2018年5月24日のツイートより

> https://twitter.com/tomo161382/status/999637352258592768

このツイートをした後に、決算報告を読むのはそれほど難しいわけではないのに皆読まないんだなあと思いまして、どこから先のツイートの内容がわかるか説明してみようかと思いました。

まず、決算報告は年次と四半期の2種類があるので、年次の「平成30年3月期」を見ます。

まず確認したいのは売上高で、これがどれだけ商品が売れているかが分かります。単年度ではなく、数年間の推移が見たいのですが、決算短信には2年分しか載っていないので、過去の決算短信も見て数年間の売り上げの推移を見ます。

エクセルで整理してもいいと思います。

平成30年3月期 決算短信より抜粋)

平成28年3月期 決算短信(2016年5月19日訂正)より抜粋)

平成26年3月期 決算短信より抜粋)

すると、平成26年の2.9兆円からどんどん下がって、29年に2兆円で底を打ち、30年に2.4兆円に回復しています。特に29年の落ち込みは激しく、28年の2.4兆円から17%もの激減になっています。30年の回復は、数字上はその落ち込み分を取り戻しただけだと言うのが分かります。

次に営業利益を見ます。これは、本業の利益、シャープの場合はエレクトロニクスの製造販売からの利益で、売り上げから費用を引いた金額になります。
これは売上とは異なり、26年には黒字でしたが、27年、28年と赤字が拡大して、29年、30年は黒字に転換しています。

鴻海の買収は29年の決算からですから、買収によって製造販売コストが大幅に削減されたということがはっきり見て取れます。
決算短信にはあまり詳しい内訳が書いてないのですが、短信と並んでリンクされているプレゼンテーション資料には「営業利益要因別増減分析」があるので、それを見てみます。

2018年(平成30年)3月期 決算資料 プレゼンテーション資料より抜粋)

2017年(平成29年)3月期 決算資料 プレゼンテーション資料より抜粋)

29年と30年を比べると、「売価ダウン」と「コストダウン・モデルミックス」はありますが、29年は「販売減」で30年は「販売増」となっているところが大きく異なります。

つまり、この2年、値下げとコスト削減が継続して行われていること、販売台数は一度落ち込んで回復したことが分かります。

販売台数の減少と回復の理由についての分析はないので分かりませんが、29年の現象は生産設備の再編に伴う生産減があり、30年は生産量の回復と値下げによる競争力の強化が原因なのではないかと、ここまで見た内容から想像してみることができます。

ただし、元ツイートにあるような海外売上がけん引したということについては、残念ながら、決算資料のどこにも地域別の売上高の情報が公開されていないので、正しいとも間違っているとも言うことができません。

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