『悪魔の辞典』A・ビアス著、奥田俊介・倉本護・猪狩博訳、角川文庫
なんとも怪しげな書名であり、その内容もえげつない毒を含んでいる寄書といえる。辞典だから言葉の解説なのだが、そこは「悪魔」という物々しい言葉で形容される書であるから、言葉や概念のとらえかたも、「悪魔」がかっておりにたりと笑わせる薬がよく効いている。
私はときどき、こいつを書棚から取り出して言葉を意味を引いてみる。その定義の的確さに喝采したくなったり、意味がよくわからなかったり、あまりに毒気に反発したくなったりしたりもする。そして、しばらくすると、その意地悪な見方をふたたび