『火車』宮部みゆき著、新潮文庫
『火車』は、私がはじめて読んだ宮部ワールドだった。いつだったかはっきりと覚えていないのだが、冬休みの前だったのは確実だ。私は滅多とない休みに、くつろいで読む本を探していた。あまり難しいものではなく楽しみたいと考えて、ミステリーか本格推理ものを探していた。年末に出される雑誌の「このミステリーがすごい」でベスト1にランキングされていたのが本書だった。
まず、文章がいい。無駄なものがない鍛え抜かれた体を連想する。情景描写もさらりとしているのだが、うるさすぎず、少なすぎず、私は小