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しつもんは教育を変える【4】

マツダミヒロさんの著書『質問は人生を変える』の文章の一節をもとに、教師目線で感じたことや学んだことを書いていきます。

そこにはどんな事実がありますか?
私たちは主観で生きています。
その主観は今までの経験に基づいて出来上がっています。過去の体験や知識によって、正しいことと正しくないことの判断をします。
・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・
主観の奥には、事実や出来事があるだけで、その事柄自体には何の意味もありません。
その事実に対して、自分が過去の経験から意味づけしているだけなのです。
人と意見が合わない、価値観が違いすぎる、と感じることはお互いの「意味づけ」が同じではないという状態です。
でも、お互いの主観が異なっていてもかまわないのです。
いろいろな考え方がある。
いろいろな人がいる。
フラットな状態で人と接することで、良好なコミュニケーションを築くことができます。
そのために必要なのは「主観をできるだけ取り除き、事実を見つけること」なのです。
なぜならば、主観がある限り偏った言葉を使ってしまうからです。
たとえば、登校拒否をしている子どもと話をする場合。
親が「学校には行くべきだ」という主観を持っていたとすると、こんな質問をしてしまいます。
「なんで学校に行かないんだ?」
これは、理由を問いただすための尋問ですね。
こう聞かれると、行かない理由行きたくない理由である「言い訳」を答えてしまうのです。
あるいは、うまく言えない言いたくない、と黙ってしまうかもしれません。
行きたくない理由は、今現在、本人の力だけでは変えられないことかもしれません。
学校に行くべきという主観のまま対応すると、こんな言葉が出てしまいます。
「ちゃんとしなさい」とか「わがままだ」とか「みんな我慢しているのだから」とか「学校でしか学べないものがあるのだから」など。親としてその子を「矯正」しなければ、という流れになってしまいます。
これは、相手を誘導していることになります。
子どもに選択の自由がなく、親の思う通りにコントロールしたいという状態です。
しかし、人はコントロールされると反発します。
コントロールは逆効果なのです。
相手が本当の答えを見つけることをサポートしたいと思うなら、あなたの主観は一度手放しましょう。
事実だけを見て、質問することが大切です。

質問は人生を変える(マツダミヒロ著、きずな出版)

この文章では、親の言葉を例に挙げていますが、私が教師をやっていた時も同じような言葉を子どもに言っていました。
「なんでやらないの?」
「みんながやっているんだから、やらないといけないよ」
など、周りから自分がどう思われるかということを気にするあまり、自分の意のままに子どもをコントロールしようとする言葉を使っていました。

そういう時はやはり、子どもは私に心を開いて話をしてくれませんでした。
事実だけを見て、質問することって大事なんですね。
では、どんなふうに子どもに言葉かけをするといいのでしょう。
マツダミヒロさんは以下のように文章に記しています。

先の例で言えば、事実は、「その子は、今日は学校には行っていない」という状態。
そのこと自体に、いい悪いはないのです。
・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・
たとえば、
「どんな気持ち?」
という質問で、相手の今の状況を話させてあげる。学校に行きたくない状態などの理由を口にしてもらいます。
「学校に行くかわりに、今何をしたい?」
という質問で、もっとワクワク取り組めることにフォーカスするなど。
学校に行っていない、という事実だけを取り出します。
そして、正しいかどうかはさておき、目の前の相手の状況や、どうなったらいいかを聞きましょう。
自分の主観を捨て、事実だけを見て質問すると、実りある答えが返ってきます。

質問は人生を変える(マツダミヒロ著、きずな出版)

「どんな気持ち?」とか「学校に行くかわりに、今何をしたい?」という質問を教師をやっていた時にわかっていたらな~、子どもに真から寄り添うことができたのにな~って、今となれば思います。
特に、もっとワクワク取り組めることにフォーカスする質問なんて思いつきもしなかった…。

自分の主観を捨てることはそう簡単にはいかないことかもしれないけど、いいか悪いかジャッジせず、事実だけを見ることを普段から心がけると、教師と子どもの信頼関係をよりよいものにしていけると思います。


主観の奥にある事実を見つけよう


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